【レビュー】08年第12節 磐田戦@スワン

アルビレックス新潟 1-0 ジュビロ磐田
スタッツ
うひょー。さっさと書こうと思ってたのに結局こんなタイミングになってしまった。という訳でばばっと行きます。
この試合の立ち上がりは磐田ペース。40歳・中山雅史が積極的に裏を狙い磐田の攻撃をリードする。しかし40歳だぜ40歳。すげーな。俺の後ろに座ってたあんまりサッカーが詳しく無さそうなおねーちゃんが「あれ中山?うっそー、気付かなかった!だって髪形全然違うじゃん!」とか言ってたけど、それは言っちゃいけない事になってるんだよおねーちゃん・・・・。ていうか「中山雅史」でググって出てくる関連検索の一発目酷いよそれ・・・・。
それと村井が左サイドで余るシーンが目に付いて、そこのボールが出て彼が前へと突破するシーンが連続して若干危ないシーンを作られていた。ただ、それは10分くらいまでの話で、うっちーが前から村井をしっかりと捕まえるという形を徹底すると、磐田の攻撃はあっけなく停滞した。
また、もう一人の危険人物の駒野に対しては松下がまずしっかりケアし、その後ろに松尾がフォローに入るという3-5-2に対して4-4-2で得られるサイドでの数的優位をしっかり生かすという形。これを見ただけで、この試合に対していい準備ができたのだと言う事が分かった。ていうか最近数試合は必ずこういう「おお、こういう準備してきたのね」が見て取れるのがいいな。完封試合を続けるのはやっぱ偶然じゃできないんだよな。開始3分で「うわー何の準備もしてねえ!」って分かって頭を抱えてしまったFC東京戦とは大違いだ。
そして流れが新潟に傾き始めた17分。うっちーの縦パス→アレがポストでマルシオにはたく→マルシオ貴章に勝負パス→貴章がファーストタッチでDFをいなしてシュート→こぼれ球をまたしても「はい、どうも〜!」とアレがプッシュしてゴール。素晴らしい流れ。前節の川崎戦で見せた、磐田の縦へのボールの対応のまずさを逆手に取ったという意味でも、見事だった。
しかし、前から薄々感づいてはいたけど、このゴールで確信。アレッサンドロはいわゆる「人でなし系」のFWだよな。つまり味方の選手がチャンスを迎えても、「入るな!キーパーやDFやポストやバーに当たって俺の前にこぼれて来い!」って願うタイプって言う。だってそうじゃなかったら、誰もが貴章のシュートのタイミングと行方を見守って歩みを止めたあのタイミングで、一人だけあの位置に走りこまねーだろw絶対あの時のアレは「貴章のシュートぜってー入らねー」って思ってたはずなんだよwwなんて嫌なヤツだアレッサンドロ。最高すぎるぞアレッサンドロ。まあ、ミスキックだったけどw
で、そこからは完全に新潟ペース。プレビューでも言及した通り、この試合の最大の狙い目だった「磐田のボランチの軽さ・ゆるさ」は全く期待に違わない物で、前節の川崎戦の壊滅的な守備がまったく修正されていない事が分かった。その結果アレと貴章の2トップへは、パスの出所を磐田が抑えてこないので簡単に縦パスが通り、ボランチからのプレスもないので簡単にキープ出来る。それに二人の動き出しの素晴らしさも相まって、今日の二人はまるで純正のポストプレイヤーのよう。これが毎試合できればリーグ屈指の2トップになれるのに!
しかし反町は何で五輪代表チームに千葉じゃなくて上田を重用してたんだろう。一発のパサーなら他にもいるし、守備を考えたら、ねえ?そんな事を今日磐田の攻撃をほぼ完璧にブッチンブッチンと潰し続けた千葉と、ふらふらとバイタルエリアを彷徨う上田を見て思った。まあ、千葉ちゃんを五輪代表に取られたらヤバイからいいんだけどさ。千葉ちゃんはA代表目指してくれ。
また、前半の圧倒的な新潟ペースのもう一つの理由は、磐田のサイドを狡猾につきまくっていた為。3バックのチームとやる時のセオリー通りのこの攻撃が、磐田の準備不足もあって本当に決まりまくる。特にマルシオ、うっちー、そして右に流れたがる貴章の3人で攻め込む右サイドは圧倒的で、貴章が意図を持ってダイアゴナルにサイドへと走るとほぼ必ずチャンスとなっていた。やっぱこういう「意図を持って走れる」状況になった時の貴章のアスリートとしての能力は凄い。それと前半の何分だったか忘れたけど、うっちーが右サイドでボールを持ってパスの出し所を探っていたところに、貴章がオフサイドポジションからウェーブの動きでサイドに走る→そこへすかさずパス→クロス、って流れには感心した。やっぱ貴章は走ってナンボ、走りの質でナンボの選手なんだよな。
しかし磐田の内山監督の中では、数年前で時計が止まってるんだろうか。ひどく分かりやすくサイドのスペースという弱点を晒している、実に前時代的な3バックだった。
ただ、前半は圧倒的に攻めながらもアレの1点のみ。丁度去年のホーム広島戦の前半を思い出すような展開だった。
そして後半。磐田の守備が3バックとボランチの距離感を近づけてはっきりとさせたこと、それと新潟の運動量、特にマルシオの運動量が落ちてきた事で、前半のような新潟の猛攻は影を潜める。ただ、それでも新潟の守備は相変わらず磐田の攻撃に対して完璧に対応し、チャンスを作らせない。
それを見て磐田ベンチは満を持して60分に前田遼一を投入。これがこの試合の分水嶺となった。前田が前線でボールを受けて基点を作り始めたことで、新潟のディフェンスラインは前半と比べて低い位置を保つ事となった。しかもこのタイミングで千代がコンタクトを付け直しにベンチに引っ込むというハプニング発生。3分くらい10人で戦うという状況に。しかし千代は何であんなに時間かかってたんだ?俺なんて10秒で両目入るぞ。多分焦りまくってぽろぽろ落としまくったりしたんだろうなあ。まあ気持ちは分かるけど。とりあえず千代はコンタクトをすぐ入れる練習必要だな。がんばれ。
ただ、全体の運動量が落ちてきた事と前田の投入で新潟のディフェンスは低くなったけど、こういう状況でもしっかり守れるのが今年の新潟。結局やばかったシーンって加賀のスローインを北野が弾ききれずに前田に詰められて、うっちーが間一髪クリアしたのと、永田さんがボールを後逸して中山に突っ込まれそうになったのを北野がセーブしたシーンくらいか。何れも単純なミス絡みで、組織は最後まで崩れなかった。しかしこの試合の北野は、ウォームアップのときからパンチが微妙で、案の定前半の最初のパンチの所もかなり微妙だったので、今日はパンチに関してはハズレの日かなーなんて思ってたらあれだったから、正直小便ちびりそうになったぜ。うっちーに最敬礼して、しっかりパンチの確認を。
その後は怪我の松下に変えてアトム、アレに変えて勲を投入して3ボランチ気味にして守りに入る新潟。田中誠がボール処理にまごつく間にアトムがボールを掻っ攫って完全に裏を取った所で、後ろから田中誠に浴びせ倒し食らって、はいPK〜!かと思ったらなぜかシミュレーション判定でアトムにイエローなんていうシーンもあったけど、最後は駒野潰しのために万全の策としてヒロシを投入し、最終的には5-3-2という、クリスマスツリーというよりは「このー木何の木気になる木〜」のあの馬鹿でかい樹みたいな形のシステムで試合終了。
今まで淳さんはここまで極端な形はやってこなかったけど、今のチームはこういった明確な守備メソッドを与えればそれをしっかりこなしてくれる、っていう信頼もあるんだろうな。いい事だ。


という訳で完勝といっていい試合だった。こういう試合ができるチームなのだ、新潟は。しかしここで立ち止まってる暇はない。順位を更に駆け上がるために、そして今年の大きな、いや最大の目標といってもいいナビスコ予選突破のために、この勢いを萎えさせる事なく邁進するぞ。キツイ日程がやっと終わった今こそ、本格的な巻き返しの始まりだ。