白子は神の食べ物

白子。魚類の精巣。早い話が魚の金玉である。
金玉と言えば、それはイコール未来だ。ありとあらゆる分野の未来を作り出すためのごくごく礎のモノだ。あれがなければ、絶対に未来など手に入らないのだ。あの中には、未来そのものが詰まっているのだ。
だからこそ、白子は旨いんだと思う。同じく未来を形作る礎となる、イクラすじこキャビアや明太子が旨いのと一緒で、そこには未来という大きな力が凝縮されているから旨いのだ。というか未来は旨くなければいけないのだ。だって未来を食してマズいなんてあまりに夢がないからだ。未来に触れた時、絶望を感じるなんて間違ってるに決まっているからだ。
そして「誰かの未来を頂戴している」という本能的・潜在的な意識が、きっと人に「白子は旨い」という感覚を与えているのだと思う。その誰かの未来を頂戴したという責任感が、人の味覚に訴えているんだと思う。


とまあ、俺は白子が大好きなんだ。死ぬほど好きなんだ。で、昨日スーパーでタラの白子が安く売ってたんでどう料理してやろうか、とクックパッド観てたら「白子のムニエル」ってのがあって。その手があったか!って事で早速作ってみたんだ。ソースは椎茸としめじとバターと醤油とみりんの和風で。


うっめぇぇぇ!!ありがとう!たくさんのタラたちの未来!そしてごめん、たくさんのタラたちの未来!お前たちの未来、しかと受け止めたぜ。お前たちの未来を預かった事、絶対に忘れないぜ。



今、ゴミ箱には死んだ未来が紙にくるまって佇んでいる。


生きる未来。生かされる未来。死ぬ未来。殺される未来。