帰省

現在帰省の真っ最中。新幹線の中。
トクマルシューゴの「EXIT」を聴きながら、梶井基次郎の「城のある町にて」を読んでるのだけど、意図せずこれは、とても帰省に似合う。とてもお盆の帰省らしい組み合わせだ。
しかし何故俺は帰省する度に、いつも以上にあの人の事を考えるようになるのだろうか。思案は今日の夕飯に始まり、今日の服装、明後日のレディースデイに観る映画、今後の事、あそこで言い淀んだ意味、悲しみ、倦怠、吐露、拒絶、底なしの愛情にまで至る。
何故だろう?ノスタルジアと恋は似ているから?それとも、真夏の夜のせいだろうか?俺が今最も望むのは君の幸せだ。俺は勘定に入れなくていい。これは誇張でも虚勢でもなく、絶対に揺るぎない純然たる事実だ。それだけは知っておいて欲しい。君を構成する色んな1のどれかの倍数にすっぽり収まってさえいればそれでいい、ってのはそういう事だ。
それを達成するために俺が関与しない方がいいなら、俺はもう何もしないよ。今はそうじゃないと思うから、俺は考えてる。君の嫌みなくらいの幸せのために、必要な事を考えてる。考えて、考えて、考えるしか俺には能がないからだ。うん。正直に言っちゃえば、考えてないと潰れそうだからだ。
ともすれば、これはもはや恋ではない。ただし、その構成要素は恐らく限り無く愛に近い。そして限り無くエゴに近い。きっと、妥協や離反とも近い。
その狭間で、俺はまた考える。



明後日は実家近くの小料理屋で幼なじみと飲む予定。あの小料理屋で一緒に食事をするのは、もしかすると中学校の卒業式の日以来かもしれない。そうか、そんなになるんだな。あれから12、3年か。そうだよな。



神様!!彼女がこの世を恨んで生きるなんて、俺は到底看過できないんだ!!