SW的ゼロ年代ベスト映画

先日新宿のタワーレコードに「愛のむきだし」のDVDを買いに行ったら見事に置いてねーの。仕方ないので雑誌を眺めてたら映画秘宝の表紙が、しょこたんのTHE BRIDEのコスと来たもんだ。わーお!ステキ!!ってことで購入したら特集が「ゼロ年代の映画ベストテン」とのこと。なかなか面白い特集だった。
つーことで俺もやってみることにした。

もはや説明不要。ゼロ年代に限らず、俺の中のオールタイムベスト作品。クレヨンしんちゃんという巨大な作品の本質を、一人の天才が完璧に把握したからこそ描ける世界。例えばカスカベ防衛隊パートと野原家パートのバランスの妙とか、クレヨンしんちゃん的なクリシェを作品の加速装置として巧みに使う技術(だってまさかひろしの足が臭いから人生で最大級の号泣をするなんて!)とか、もう何から何まで完璧。
そしてこれはアニメ史上、いや邦画史上、いやいや映画史上、最も的確に「家族」を描いた映画の一つだと思う。どんなに過去の郷愁に溺れたくても、人生は続いていく。人間の生活は年代を追っていく。その過程の中にだけしか、家族は生きていけないんだ、って事を、これ以上なく完璧に描き切った未曾有の名作。
全人類がこの作品の話を肴に酒を飲めるべきである、なんて思ってしまうほどのとんでもない作品だ。

99年の映画じゃねーか、と思ったんだけど公開年の関係でゼロ年代に入れていいらしいので入れちゃう。
で、この作品。最高。本当に最高。俺の理念の基本の一つである「ファンは裏切られてはならない」って事をこれでもかってくらい描いてくれる。「キサラギ」なんかと同じだね。あれもゼロ年代ベスト30くらい選んだら確実に入るだろう。
それと監督のセンスってパロディの質と比例すると思うんだけど、その点で言えば完璧だと思う。ばかばかしい所も、しっかりキッチリ緻密に作ってる所も上品でいい。だってさ、「シガニー・ウィーバーが宇宙人と向かい合ってる」って時点でもう笑えるわけじゃないか。うん、考えれば考えるほど最高だぞこの映画。
ネバーギブアップ!ネバーサレンダー!

邦題が「バス男」であること以外、ほぼ完璧な作品。大好きで大好きでたまらない映画。そう、俺はこういうダメな人しか出てこない映画が大好きなのだ。
この映画のいいところは、そうやってダメな人しか出てこないんだけど、その誰もが前向きだってことだね。自分がだめなのは重々承知してるけど、「だから何?」って自分の道を邁進するのみ。美しい。
そしてこの映画のダンスシーンは、俺の映画体験史上屈指の名シーンだね。あのダンスシーンだけ狂うほど見たもんなあ。

数日前に初めて観た映画をゼロ年代ベストに入れていいのか?良いに決まってる!!
もうこれはあまりに凄まじい映画。そうなんだ、こういう映画が観たかったんだ!!!
237分に渡って、変態、勃起、スプラッター、宗教観、恋、ゆらゆら帝国満島ひかり安藤サクラ西島隆弘、盗撮、パンチラ、アクション、聖書、疾走、疾走、疾走、そういう雑多な内容をぶち込んで最後にずるっと剥けた所に存在してた、まぎれもない愛。
いやあ、本当にすごいよ。前半のパンチラ盗撮集団は、「時計仕掛けのオレンジ」の連中のウルトラヴァイオレンスのそれの引用もできそうだし、あらかじめ決められた運命の恋と父親との関係はエヴァ的であり、同い年の妹が突然できてしまうってのは80年代的なベタでもある、って引用や批評がいっくらでもできるけど、この映画はそういう色んな角度からの議論の俎上にいくら乗せても、いつまで経ってもネタが尽きないだけの強度・豊潤さを湛えた分厚い傑作だと思う。多分、俺がこの映画を理解するにはまだまだ時間と経験を要するんじゃないだろうか。

ポンジュノの最高傑作と言えば多分世間一般的には「殺人の追憶」になるんだろうけど、俺の中では間違いなくこれだ。ポンジュノがこれからどんな映画を撮るか分からないけど、これを追い抜くのは至難の業だろう。
もうとにかくこれは「映画作家を目指している人間が観たら確実に嫉妬する」系の映画の極地だ。編集で作っていくグルーヴ感だとか、ポンジュノらしいギャグを含めたエンターテインメント性の付加とか、提示した伏線を物語を転がしていくために完璧に利用するその脚本の巧みさとか、俳優の演技とか、サスペンスパートでの不穏でヒリヒリしていくような緊張感の演出だとか、そしてフーダニットの謎の解明とその後のラストへの一連の流れとか、もうすべてが完璧だ。
これぞ映画だ!なんてベタベタな表現がどうしても口を突いて出てきちゃうような、そんな美しく完璧な映画だ。

これもダメな人しか出てない系映画だなw
そしてただ一人だけダメじゃない末っ子のオリーブちゃんの為に、ダメ家族がダメなままダメ道を突き進むんだけど、その潔さに乾杯だ。
この作品は脚本に穴がないわけじゃないし、作りがトゥーマッチだったり、都合のよすぎる展開だなあってところもあるんだけど(ロードムービーが唐突な展開を許されるのは、常に「新たな出会い」っていうイベントがあるからだよね。この映画ではほとんど家族内の話に終始してるんで、そのロードムービー的な手法が使えないのだ)、それでも最後に向けて家族がどんどん結束していく様はものすごく爽快だ。クライマックスでドカーンと盛り上げるのかな、と思いつつちょっと外してくるのも好き。
あとニーチェ狂いのだんまり兄ちゃん役のポール・ダノ!「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(これはゼロ年代ベスト30だったら確実に入るね。PTA万歳!)の神父役も素晴らしかったけど、俺が女の子なら確実に彼を観て悶々としているだろう。

  • 7位 ハイ・フィデリティ 監督:スティーブン・フリアーズ(00年)

事あるごとに曲を編集してオリジナルミックステープを作りたがる癖。今の自分がダメな理由を、過去の女性遍歴にあると信じてそれを追求したがる癖。
・・・それなんて俺?
という俺史上最大級の「これ俺のことじゃないか」ムービー。それだけwww俺は基本的に「これは俺のことだ!」っていう共感の快感を映画に求めてないんだけど、この映画はちょっと別だな。あとジャック・ブラックがすっげー歌上手いw

ゼロ年代ウディにハズレなし。ゼロ年代ってウディ・アレン大先生にとってものすごくでかい10年だったんだよね。だって70歳のジジイになったところでよりによってニューヨークを「さよなら、さよならハリウッド」と「僕のニューヨークライフ」で捨てて、「メリンダとメリンダ」で喜劇と悲劇のウディアレン的解釈を纏めて清算して、イギリスに飛んでいきなり「マッチポイント」というとんでもない傑作を作り、その後も快作揃い、って流れだもんね。ウディ先生すごすぎ。どんなに元気なジジイだよ!
ということで何を選ぶか迷って、最後まで「マッチポイント」かなあ、なんて思ってたんだけど、やっぱりもういいジジイになってるのに「ラブストーリー×ミステリー×コメディ」っていうウディアレンのベタ中のベタのネタで勝負したら、この30年で最高級の完成度になっちゃった「スコルピオン〜」を選びました。
この映画、最後にちょっとしたサプライズがあるんだけど、劇場で観てたときに近くで観てたおばちゃんが思わず「キャッ!」って声を上げたのがすごく印象に残ってるな。その気持ちわかる。
マダガスカル

これも「母なる証明」と同じく「映画作家を目指している人間が観たら確実に嫉妬する」系の映画だと思う。俺は「グラン・トリノ」よりもこっちを支持。
とにかく本当によく出来てる。映画のことを知りつくした熟練の職人、イーストウッドがその持ちうるすべての映画作製の技を駆使して作った、イーストウッド御大謹製の珠玉の一品、って感じだね。イーストウッド汁の濃度は「グラン・トリノ」の方が濃いだろうけど、俺はこの作品のソフィスティケイトされた感じが好きです。

ラストからエンドロ−ルが流れるまでの一連のシークエンスの素晴らしさときたら!!この映画のラスト、スローモーションから最後に主演のキョンキョンが凄く重要な一言を言って終わるんだけど、その一言の直後に「パン!」ってスネアが一発入ってUAさんの歌が始まる瞬間は、本当に素晴らしいの一言。思わず拍手しちゃったもの。家で一人で。
前半の悪趣味なギャグの連発と歪なカメラワークの混沌と、後半にキョンキョンが開き直ってからの物語の回転速度の上昇(血まみれキョン2最高!)、そして満を持してのラストシーン。なんか変な映画だけど、観終えた後の爽快感は半端じゃない。それと家族をこういう形で描くってのもアリなんだな、って思わせてくれる。





とまあこんな感じかな。あー疲れた!10本に絞るとか超難しいわ。だってマルホランド・ドライブとか、タランティーノの3作品とか、PTAの映画とか、あと「悪魔とダニエルジョンストン」も入れてもいいし、西川美和とか是枝裕和も入れてもいいだろうし、あとなんだ、いろいろあるぞマジで・・・ってやってたんだけど、とりあえず頭にぱぱっと浮かんだのを10個つまんだ感じかな。1位と2位以外は、なんか順不同かもしれない。
しかし「ゼロ年代ベスト○○」って面白いかも。もうゼロ年代も終わるし、ちょっと考えてみようかな。ゼロ年代ベストアルバムだと何だろうな・・・。あーでも俺は新譜のチェックとかしてねーしなあ。まあいいや。考えてみる!