容疑者SWの変態

先日録画したのをやっと観た。ドラマのガリレオシリーズはこれを映画化するため、ってのがよく分かりました。石神の覚悟に、心が締め付けられない人とは分かり合えないぜ。まさか俺の大好きな「だめな人が頑張るムービー」だったとは。好きだよこういうの。
あとリリーさんのカメオ出演以外、余計な手を広げてない所がいいね。これはシンプルに描かないとダメだもんな。物凄い棒でお馴染みのおしゃ糞さんがカメオ出演レベルなのが何よりだ。

  • 7 叫びとささやき

赤と漆黒だけの世界。全編に渡って挿入される赤以外の全ての色、栗毛の髪や白い肌や食器やグラスの銀色も、全て真っ黒に見えてくる。これは地獄の映画なんだと思う。叫びと静寂に満ちた地獄の映画。
ベルイマンの映画は、こっちの心を何の遠慮もなく直接攻撃してくる。その攻撃方法は、心をわし掴みにしたりナイフを突き立てたりするものでなく、心の上から下まで舌を這わせ、最後に生ぬるい吐息を吹きかけて去っていくというものだ。そしてその唾液で濡れた舌の痕の一本線が、ひんやりと次第に乾いていく過程で、恐怖や悪寒や感動といったありとあらゆる体験をする事になる。
そしてこの作品。この映画の舌は、とんでもなく長く、そこに付着している唾液の量も尋常ではない。その体験たるや、並大抵に耐えられるものじゃない。何度も耳を覆いたくなる。そう、これは地獄だ。生半可な気持ちで鑑賞する事を一切拒否する、地獄の映画なのだ。
ウディ・アレンが「人生のベスト10」に挙げたらしいけど、それも納得の孤高の一本。