清作の妻

  • 49 清作の妻

凄過ぎる。打ちのめされっぱなしで、完の文字の後もしばらく何も考えられなかった。虐げられ、たった一人になった者にしか共有出来ない激情の愛に、ただ涙する事しか出来ない凄まじい作品だと思う。
村社会への批判や、マイノリティの存在を踏み潰しても手に入れようとする国家総出の右ならえに対する疑問、といった強烈なテーマを持ちつつも、その土台にあるのはただの愛。臭気を放ちながらも残酷に美しい愛。その図太い五寸釘を、観る者に突き立てて来る。増村保造の筆致の凄さを嫌って程思い知らされた気分だ。すげえ。