「人生万歳!」「キック・アス」「バーレスク」

  • 157 人生万歳!

俺様採点:5
ウディ・アレンが40作目にして放つ、これぞウディ・アレン!!!な超大傑作。最近ウディアレン作品をすべて見直した結論が、「彼の最高傑作は『魅惑のアフロディーテ』である」だったんだけど、もしかするとこれ、俺の中ではそれを更新したかもしれない。
冒頭でいきなり観客に向けて語りだすシーンで心をつかまれ、「Whatever works=なんでもあり」というウディ・アレンの人生論(もちろんいつも通りのほぼ90分間!!)にぐいぐいのめり込み、最後はとにかく涙が止まらなかった。本来泣くような映画ではないのだと思うのだけど「地球は女で回ってる」以来、久々にウディアレン作品泣いてしまった。(いや「地球〜」も本来泣くような映画じゃないからこれもおかしいんだけどw)
ウディ・アレンはいつも皮肉屋で、ありとあらゆるロマンティックな事象、運命的な事象、「善きこと」とされているものに、常に斜に構えた態度を取る。だってそんなものは真夜中のパニック障害の発作や、アスピリン中毒や、今は失われたかつての栄光への羨望や、恋人との別れや、そういうものに覆い被されて、リアルなものとして浮かび上がってきてくれないからだ。
だけど、ウディ・アレンの素晴らしい所は、99%の皮肉に溢れながらも、それでも、1%のロマンス・肯定を絶対に失わないところだ。今回だってそう。後半に笑っちゃうような怒涛の力技を駆使して描くのは、その1%。「なんでもありなんだよ。」というロマンスへの道筋の提示だ。人生の肯定そのものだ。涙が止まらないよバカヤロー。


ホント、今回ばっかしは最高だったぜ爺さん。もうこうなったら、あと50年くらいは生きて、毎年1本映画を撮り続けちゃえよ。頑張ってくれよ、簡単に死ぬなよ、爺さん!


あ、それとこれが恵比寿ガーデンシネマの最後を飾る作品だったのは、あまりに美しすぎるシナリオだね。最後のシーンはスクリーンが観客に投げかける辞世の句のようだったもの。ぜひとも皆さん。見てください。最高です。保障します。

俺様採点:5
この映画に関しては相当期待値を上げて上げて上げて観に行った訳だけど、完全にその期待に100%応えてくれる最高の内容。やってくれたねぇ!!
これは一言で言っちゃえば、オタク的文化のおいしいところをかき集めて、それを非常にうまく組み合わせてソフィスティケイトした映画の金字塔って事だと思う。伊集院光も言ってたけど、そういう文化に興味がない人がこれにハマらないのは理解できるし、逆にそういう文化に少しでも興味があり、実際にそれを楽しんでいる人ならば、ものすごくピンポイントでそのツボをぐいぐい押されて快楽の洪水に飲まれちゃう、って映画だよね。まあ、中盤にキックアスとしての自分と、デイブとしての自分の決別を云々するあたりは、若干ダレ気味で無理もあったけど、それも気にならないレベルで他が素晴らしかった。
これはぜひとも多くの人に見てもらいたいのでネタバレは避けて書くけど、ひとつこの映画で巧みだと思う部分を挙げるならば、それは上手いこと挿入されるメタ視線だと思う。そもそもこれはスーパーヒーロー作品の定番に対して、それを換骨奪胎したメタ姿勢がスタート地点にあるから、どんなにファンタジックでオタク的なネタを並べても、それ自体がパロディとして成立してしまうという有利な構造を持ってるんだけど、それを上手いこと挟み込んでくるんだよね。詳細は避けるけど、キックアス君が大ピンチのシリアスなシーンで「サンセット大通り」で見事に笑いを掻っ攫うじゃないか。あんな感じでスッと提示してくる辺りが本当にセンスあると思う。


とまあ、いろいろゴタクを並べてきたけど、まあそれはどうでもいいんだよ!!!ああ、そうだな。もう言いたいことは分かるな。
ヒットガール最高!!!!!!!!!!!
もうね、このキャラクターは21世紀を代表するアイコンになりえるね。いやマジで。20世紀がミッキーマウスだったら21世紀はヒットガールでいいだろマジでwwwホントに一つ一つの所作にドキドキしてしまう。それにピンチになったときにちょっとだけ11歳の女の子っぽさが出ちゃうあたりとか、もう大変ですわ。ロリコンとか非ロリコンとか、非実在青少年とか実在青少年だとか、そういうくだらない括りを飛び越えるスーパーアイコン、ヒットガール。ぜひ見てください。

俺様採点:2
ジャンルとしてはミュージカル映画なので、当然ミュージカルパートはとてもよくできてるし、クリスティーナ・アギレラは当然のごとく猛烈に歌上手いし、圧倒される。
それに店を守る戦いの結末も、チラッと提示された複線を上手いこと使ってキレイにまとめてるし、いいと思う。


ただ、それ以外のストーリー部分のぬるさとご都合主義はちょっとひどいね。そもそも「田舎娘のシンデレラストーリー」なんてそんな手垢のついたネタをなんのひねりもなくやってきたのにびっくりする。
しかもその話の紡ぎ方がとても雑なのがキツイ。特に金持ちの不動産屋にアリが流れてから、また貧乏な彼に戻っていく辺りからの流れは本当にひどいね。フィアンセと別れたっぽいからいきなり戻ってきて、その日の夜に早速チンポクッキーに飛びついたら、「スウィート・ラヴ、ピュアな愛」とか抜かす歌が挿入される中、アギレラのストッキングを脱ぎ着する姿をカメラでパシャリ。それがピュアな愛なのか。んで、実はフィアンセと別れてなくて、フィアンセがベッドインしてるところに飛び込んできて修羅場になって、アギレラが怒って出て行った後、フィアンセと別れたよ!マジだよ!っていいながら貧乏彼氏が楽屋にやってきてぶちゅーっとして仲直り。くっだらねえええええええええ。
あとゲイに大人気のシェールが主演だからって、まったく脈絡のないゲイネタを投入するのもしょうもない。ちっとも笑えないしな。あ、書いてて思い出したけど途中でどかーんとマドンナの曲がかかるのもゲイ向けか。


ミュージカルパートの部分だけをyoutubeで見ればいいじゃん、これならさ。