【レビュー】11年第8節 セレッソ戦@金鳥スタ

セレッソ大阪 1-1 アルビレックス新潟
スタッツ
黒崎久志監督 試合後コメント
5 / 5.49 = -0.49


楽しい試合だった!楽しい試合だったけど、1試合1.83ペースがついに-0.49の赤字!!!!!引き分けじゃなくて、勝たなければならないんだよな。


試合はいきなり動く。3分、ゴートクが中後からピンパォンのパスをカットすると、ドリブルで中後を外しつつ、前のブルーノへ預け、一気に前へと走る。そのボールを左に流れてブルーノがキープすると、面白いくらいにセレッソの選手が3枚食い付いてきちゃう。その結果生まれたスペースに走り込んだゴートクに、ブルーノからパスが通って、ゴートクがそれをヒールでワンタッチで落とすと、前を向いて走り込んできたブルーノが中後の横をすり抜けてPA内に侵入。そして見事なシュートをゴール右隅に叩きこんで先制!!!あーこれ昔アルウィンで観たやつやー!!ウメッティのヒールパスから慎吾がブチ込んだやつや!!(って言ってたら梅山氏もブログに書いててわろたwww)とまあ、セレッソの混乱に見事付け入る。
直後の4分も、左のヨンチョルに選手ががっちょり食い付いたところから、一気に縦に抜けてチャンスを作りかける。セレッソ、絶賛混乱中。


その先制点を後ろ盾に、新潟は落ち着いてゲームを進める事に成功する。どちらかというとこの時間帯ではポゼッションはセレッソだったのだけど、新潟はコンパクトに組織を保ち、前のチェイスも効果的なのでセレッソアタッキングサードで効果的な攻撃を繰り出す事を許さず、守備ではカウンターのナイフをちらつかせる。
そしてその守備から11分、ブルーノの見事なワンタッチでのポストプレーからのパスに抜けたヨンチョルが左サイドを走り、最後は巻くボールで右隅を狙うもシュートは枠外。
で、茂庭が
「今日は相手が3トップだったり、ミシェウが中途半端なところにいることで、どうしても(藤本)康太が(マークに)ついていく時間がなくて、センターバックのどっちかが余っていて、なおかつ、ボランチの2人もいたので、変に(マークが)余ってしまったかなと。人はいるのに、なんかボールを取れないところがあったりした。もっと横へのズレ(移動)を早くして、全体をもっとコンパクトにして、もっと空間で人をつかまえることができれば、もっと相手との距離も縮められると思う。」
って言ってるけど、この時間は特にまさにそんな感じで、ポゼッションではなくカウンターで活路を見出そうにも、守備から効果的な攻撃を放つ形が出来ず、逆に新潟は中盤が攻撃時に押し込めるので、比較的楽に組織をコンパクトに維持出来ちゃう。
セレッソも踏ん張って左サイドバックの丸橋が絡んで左の起点を作り、ペースを引き戻しにかかり、もぎ取ったCKから16分、マルチネスがヘディングを放ったりなどはするのだけど、流れは大きく変わらず。
21分、左のヨンチョル&ゴートクの絡みから、右のセイヤへサイドチェンジ→ブルーノシュート、23分にはミシェウが左から巧みにかわしてミドルシュート
対するセレッソがようやく可能性を感じる攻撃を繰り出したのは23分。高橋と乾のパス交換から、この試合初めてバイタルへの効果的な縦パス(乾→倉田)から、最後は清武がクロスを上げるも弾かれる。

しかしここでアクシデント。29分、その数分前のプレーで故障してしまった菊地と慶行が交代。最初の交代をトラブルで切る事になってしまった。しかもそこまで初スタメンながら非常に効果的なプレーをしていた菊地。早期回復を全力で祈ります。

31分、ホドリゴ・ピンパォンがミドル、33分には丸橋からピンパォンに縦のボールが入って、ワンタッチで落としたボールをフォローした乾から右の清武に繋がってミドル。ようやくピンパォンに効果的なボールを付けてからの攻撃を繰り出す。
しかし新潟も返す刀で35分、タッチライン際でボールを受けたゴートクが、中のヨンチョルにパスを出すと同時に前へへと一気に走る。そしてヨンチョルが溜めて、バイタルのブルーノにパスを出すと、ブルーノがワンタッチでフリーで走り込んだゴートクに流す。それを受けたゴートクがPAに入り込んで決定的なシュートを放つも、惜しくもGK正面。あとでも言及するけど、今日のゴートクはノリノリ。ザックの前だったからか、相手の問題か。まあ、両方かな。
そんな具合でセレッソが押し戻そうとする流れを、新潟が巧みに引き戻しながら試合を進める。あとは、ちょこちょこ中盤に出来るスペースを利用してして追加点を奪うのが理想だけど、まあ最低失点0で行けそうだし、それを達成して後半に行ってくれ、と思ってたら42分にやらかしちゃう。
新潟のターンオーバーから、セレッソがセンターライン右寄りに下がったピンパォンにボールを付ける。後ろは勲、大輔、慶行といるのでアタックに行った千葉ちゃんだったのだけど、それを見事に外されて一気にピンパォンに前へのドリブルを許し、千葉ちゃんは後手を踏みながら併走する事を余儀なくされる。で、その後ろの勲が右へのコースを切りに行ったのを逆手にとって、真ん中の広大なスペースへと入り込んでいく。すると、いつの間にか左の清武も含めて3対2の状況を作られてしまい、ピンパォンからの勝負パスに抜けた乾が慶行のスライディングを交わして、ヒガシとの1対1を制して同点。完全にやっちゃった系の失点。あっちゃー。
その直後、ブルーノが素晴らしい守備でマルチネスからボールを奪って、決定的なカウンターになりかけるも、ミシェウの一瞬のコントロールミスを見逃さなかった茂庭がそれをぶっ潰す。この試合の茂庭は本当に凄かった。バケモノ。



そして怒涛の後半へ。
46分、ピンパォンへの縦パスから倉田が絡んで、最後は乾にプッシュされかけるもヒガシが抑える。
そして直後の47分。千葉ちゃんの縦パスを受けたブルーノからミシェウ。そしてミシェウがキープして、ラインの裏に完璧に抜け出したブルーノへ、ミシェウから完璧な勝負のスルーパス。しかしそのシュートはキム・ジンヒョンが素晴らしいセーブを見せ、そのこぼれ球をブルーノが頭で押し込もうとするも、これもキムがガ
ッチリと抑える。初っ端の大チャンスだったけど、セレッソが見事に凌ぎきった。
そうなるとノリノリのブルーノ。50分、CKの崩れからセイヤのクロスにブルーノがヘッドを放つも、これまたキム・ジンヒョンがグッセー。キムにもスイッチが入っちゃう。
で、ここからの時間帯は新潟ペース。前半から非常にアグレッシヴだったゴートクが後半は更に攻撃的になり、常に前へ前への意識をもってヨンチョルとの絡みでグイグイ押し込んで左サイドに起点を作りまくる。間違いなく後半の攻撃の主役だった。これじゃあザックにアルゼンチン連れて行かれちゃう。ヤバいな。
で、真ん中ではブルーノとミシェウがうまい事動いてボールを受け続けるし、チェイスもいい感じ。55分にはマルチネスの背後からするっとプレスかけてボールを奪って、フォローしたミシェウからのボールを受けたブルーノがミドル。素晴らしい。ブルーノは磐田戦のレビューで「これからもっともっとよくなる」って書いたけど、本当に良くなってるな。07年初頭のマルシオの時みたい。ステキ!

だけどそのセンターと新潟の左には茂庭が君臨。圧倒的な対人の強さ、スピード、アタックの的確さで、何度も新潟のチャンスを潰す。これアルゼンチン行っちゃうだろ。どうすんのセレッソ

とは言え、ゴートクとヨンチョルのコンビによって制圧されたセレッソの右サイドはモニ一人でどうにかなるわけでなく、クルピ監督が動く。66分、右サイドバックの高橋に代えて酒本、倉田に代えて小松を入れて4-4-2へ。


対する新潟は68分、ミカ→ケンゴで、ミカとブルーノの2トップに、右にミシェウ、左にヨンチョル。


で、小松ってロシアンルーレット的な選手で、駄目な時は駄目で、いい時はいい選手ってイメージなんだけど、どうやらこの試合はいい方だったらしく、その小松のプレーと右サイドの守備の強化によって、セレッソに流れが生まれ出す。70分、右に流れた小松がドリブルで千葉ちゃんを交わしてPA内に侵入してクロス。72分にはケンゴのボールロストから一気にピンパォンが縦にドリブルしてシュート。

しかしそんな流れの中、新潟に大チャンス。73分、大輔のロビングのフィードに対し、茂庭が見事に被ってしまう。この試合数少ないミス。そしてすっぽりと収めたブルーノがフリーでPAギリギリの所からシュートを放つも、わずかに左に外れてしまう。

で、この辺から互いに中盤が間延びしだしたのもあって殴り合いの展開に。

そのブルーノのシュートの直後には、ヨンチョルにガッツリ当たりに行った中後に対して、ヨンチョルがこれまたガッツリ当たりに行った所から一触即発に。てかさ、ヨンチョルってすっげー喧嘩強そうだよね。超かわいいけど、超喧嘩強そうだよね。カジヒデキ的なあれだよね。でもこれもなんか水を差すって言うよりは、火事と喧嘩は江戸の華的な感じで、試合を盛り上げる一因にさえなった印象が。

そのイザコザの直後の74分、マルチネスのシュートをヒガシが弾き、そこからのクロスもヒガシが抑える。そしてすかさず左を走るヨンチョルにスローし、ヨンチョルは一気に縦にスピードアップしながら、茂庭と1対1。この勝負は最終的にCKとなり、引き分けに終わる。この怒涛の展開!
80分にはピンパォンの縦へのロングボールに、ゴートクが競り勝ち、そのボールを抑えたヒガシが一発で最前線のヨンチョルへ、いつものあの感じで完璧なフィードを通す。一気に数的優位を作った所から、ヨンチョルが完璧なお膳立ての勝負パスを、PA内でフリーになってたケンゴへ!あとは振り抜くだけだったこのシーンだけど、ケンゴが清々しいほどに空振り!!この怒涛の流れに、ケンゴは乗り切れなかったかね。
そしてその直後セレッソが左から右の清武へサイドチェンジを通すのだけど、これをゴートクが完璧なアタックでボールを奪い、清武に倒されかけるも前を向いてドリブル開始→ヨンチョル→右のミシェウ、という熱いシーンを作り出す。ゴートクノリノリ。
しかしここで、この試合の分水嶺と言えるアクシデント。84分、そのプレーのリスタートでキム・ジンヒョンが蹴ったボールが、全く準備していなかったゴートクの頭にドンピシャで当たり、脳しんとうを起こしてしまう。まさに好事魔多し。今日の新潟の攻撃を牽引していたゴートクをここで失ってしまう。
サイドバックの代わりに入るのは大野。うむ、確かに大野しかいないもんな。左サイドバックやるのって久々な上に、もちろんトップチームでは一度もないこの位置。難しいよなあ。ホントにうっちーがいないのは痛かった。
結果的に、これで新潟の流れは止まってしまった。最後までゴートクがいたらとは思うけど、まあ仕方ない。
86分にはピンパォンがシュート。88分にはバイタルに入り込んだ小松に、千葉ちゃんも大輔も出れずにシュートを許すも、この決定的なシュートをヒガシが左手で掻きだす超グッセー!!!あっぶねー!!
そしてゴートクを失った新潟の左サイドに対して、酒本がガシガシ出てきて押し込んでいく。89分には酒本のクロスから清武がヘッドの決定的なシーンも、上に外れる。
その後互いにカウンターの応酬になるも、決定機を作れずに試合終了。



うん、とても面白い試合だった。だけど再確認だけど、この引き分けで1試合1.83のペースは赤字だ。次は勝つぜ。勝ち点3を貪欲に狙おうぜ。