【レビュー】11年第9節 神戸戦@スワン

アルビレックス新潟 1-0 ヴィッセル神戸
スタッツ
黒崎久志監督 試合後コメント
8 / 7.32 = +0.68

黒字に転換!やっぱ勝たないとダメだね。


開始早々の大久保のいてまえミドルどかーんで始まったこの試合だったのだけど、序盤は新潟がペースを握る。サイドチェンジを繰り返しながらポゼッションを高め、相手を押し込んで行く新潟と、じっくりブロックを作る神戸。
この試合、神戸は前節からスタメンを3人代えてきたのだけど、ヨンチョルに対峙するのはイ・ジェミン。しかし結果的にこの起用は大失敗だった。4分のヨンチョルドリブル→CKゲットをスタート地点として、7分にはドリブルで完全にヨンチョルがぶっこ抜いてクロスからブルーノヘッド。この後14分にもヨンチョルがここを完全に攻略してミカがシュート、と最初から大惨敗。その直後にジェミンが完全に後ろからアフターでガッツリとヨンチョルにぶつかりに行って、佐藤主審にキツめに注意されるシーンがあったけど、結局最後までここは神戸のアキレス腱となり続ける。やはりゴートクとヨンチョルのこのユニットをどう活かすかってのは、上位進出のカギだと思う。
しかし神戸も8分のホジェリーノのシュートを皮切りに、前線の4枚ポジションチェンジと個の強さ、縦への展開で反撃に転じる。この時間帯、新潟がバックラインとボランチを中心にポゼッション、神戸はブロックを作って反撃を狙う、って形が基本だったのだけど、神戸は攻撃時には前4人に加え、状況を見て三原と松岡のボランチが前へと顔を出して押し込む動きを見せる。21分にはミシェウへのプレッシャーから、拾った松岡がバイタルに侵入してシュート。その圧力によって神戸はペースを掴み返して行った。
その膠着するゲームを動かして行ったのは新潟の右サイド。24分、またしてもドリブルでイ・ジェミンを外したヨンチョルをフォローしたゴートクから中に絞ったフミヤへとサイドチェンジ。その外のスペースに入り込んだセイヤが中にドリブルを仕掛け、その横パスをミカがミドルで狙う。
27分、勲の高い位置でのパスカットからのパスを受けたフミヤが、茂木を見事なドリブルで抜き去ってグラウンダーのクロス→ファーに流れたボールをゴートクがミドル。
29分、ゴートクがドリブルで前線へ運び、ミカとブルーノとゴートクで相手を引っ張って出来た右のスペースに走り込んだセイヤに、ミシェウを経由してパスが通る。そのクロスにゴートクが頭で合わせるもフィットせず。
と、こんな形で連続で右サイドからの形を作ってゲームを動かしにかかる。そのシーンに限らず、この時間帯はミカがセイヤとフミヤのユニットに絡み、その前ではミシェウが更に絡んでいくという形を作ってポイントを作っていく。そしてそのトライがこの試合最初のハイライトを作り出す事となった。
36分、右に流れたミシェウにフミヤからパス。そのリターンを受けたフミヤは、本人いわく「ミシェウからパスが来ると信じて、ファーストタッチで前に出ようと思っていた」という狙い通り、見事最初のタッチで一気にPA内へと縦に侵入する事に成功。そこで茂木に足を掛けられてPKゲットに成功した。
キッカーはヨンチョル。今回はミシェウも何も言わず、迷わずヨンチョルがボールをセット。しかしこのキックは完全に読んでいた徳重がドンピシャで完璧なセーブ。新潟は先制のチャンスを逸する事になる。ちなみにミシェウはその後のCKの時にめっちゃヨンチョルを慰めてたね。いい子。

その後、アディショナルタイム間際に新潟はゴートクとブルーノのコンビでブルーノがシュート、神戸は森岡の完璧なロブのスルーパスに抜け出した大久保がループで狙うもヒガシが触って難を逃れる、というチャンスを互いに作りつつ、前半終了。



後半は神戸ペースでスタート。走り回るポポと森岡を軸に、両サイドハーフが絡んでワイドに展開し、真ん中では松岡と三原がタイミング良くファーストディフェンスで顔を出して新潟を押し込んで行く。
しかし段々とその中盤の押し上げも鳴りを潜め、互いに真ん中がすっぽりと空いたまま、前線へと預けて走ってはボールを失ってターンオーバー、そしてまた一方のチームも前線に預けて失ってターンオーバー、という、この前の東京ダービーみたいなワタワタとした走り合いの展開に。
神戸はポポが、56、57分と連続で気持ち悪い変化をする強烈なミドルで東口を強襲するも、これはしっかりと東口が弾き出して難を逃れる。一方の新潟はシュートにまで至る事が出来ない展開が続く。
その状況を見てか、64分あたりからクロさんはヨンチョルとフミヤを左右変えるという策に出るものの、大きな効果は得られず。ホジェリーノと大久保を気にしたのか、それともサイドバックへの対応だったのか。少なくとも、イ・ジェミンはホッとしたと思う。
そんなフラフラした展開の中69分、神戸にとって最大のチャンス到来。カウンターから森岡、大久保、ホジェリーノと繋ぐ間に森岡がラインの裏へと走る。その森岡を誰も捕まえられないまま、完璧なタイミングでホジェリーノから勝負パスが完全に裏を取った森岡へ通って、ヒガシとの1対1。その神戸にとって最大と言える勝負は、前へとアプローチを仕掛けてシュートコースを限定し、最後は踏ん張って残した左足で跳ね返した東口の勝利。神戸にとっては最大のチャンス、新潟にとっては死に至りかねない最大のピンチを、見事乗り切った。ヒガシナイス!!!
そして結果的に、このビッグセーブと直後の交代がこの試合の分水嶺となった。
71分、フミヤに代えてケンゴが投入される。これでケンゴをセンターとして、右にブルーノ、左にヨンチョル、トップ下にミシェウという形に。
そして直後の73分、CKのセカンドボールを上手く拾ったミカから、PA内に入り込んだケンゴへ繋ぎ、最後はちょっと無理な体勢からケンゴが右足でシュート。これは完全にダフってゴールに遥か上へと逸れていったけど、後半に入って30分近く8本で凍りついていたシュート数を9本へと推し進めた。
その辺りを切っ掛けに、リズムが出てくる新潟。左に戻ったヨンチョルが早速イ・ジェミンをはじめとする相手の右サイドに圧力を仕掛け始める。
するとそこから、ついに、そして唐突にゲームは動く。74分、左のヨンチョルがドリブルで切れ込み、センターのミシェウから右のセイヤへ。そのクロスは弾かれるものの、ここぞとばかりに会場から沸き起こるゲットコールの中、セイヤが入れたスローインを、ヨンチョルがPA内でワンタッチでヒールでブルーノへ送る。ブルーノがそのボールをボレーで完璧に合わせると、凄まじい勢いでゴールネットへと突き刺さる。文句なしのゴラッソ!!!!すげー!!!
後半殆どいい形が作れなかった新潟が、やっといい流れの道筋を掴んだ瞬間のこのゴール、神戸にとってはまさに青天の霹靂だったと思う。ゴール直後に地面に倒れ込む松岡の姿が印象的だった。そうなるよなあ。

これによって一気に動くゲーム。神戸は直後にポポに代えて都倉。77分にはその都倉へのロングボールから、落としたボールに森岡がシュートを放って同点弾を狙いに来る。
対する新潟も、一列下がったブルーノが前を向いて仕掛けたり、相変わらずノリノリのヨンチョルが突っかけたりして、りズムを作っていく。しかし前を向いた時のブルーノ・ロペスは非常に可能性を感じるね。ケンゴやオオシをしっかりとこのチームに組み込む事が出来たら、このチームは本当に大きな可能性を手に入れるような気がする。
そういえばケンゴ、79分にウイイレでテンパってる時にフルゲージで打っちゃうみたいなシュートを放つも会場から大拍手。ロングボールにダッシュで追い付いてボールを収めるものの、最後はキックミスで繋がらず。しかし会場からは大拍手とカワマタ・ケンゴ!コール、ってシーンがあったけど、なんだか、これは手前味噌な言い方かもしれないけど、観客が育てる選手になってきたんじゃないかって気がするよね。ケンゴとかつての貴章を重ねる意見を多々目にするけど、それもわかる気がする。


そして80分。神戸が大久保に代えて小川を入れた後、ヨンチョルがイ・ジェミンをまたしても完全にぶっこ抜くと、たまらずイ・ジェミンが後ろから倒し、2枚目のカードで退場。そして2度目のPK。このシーン、PK蹴るまでずっとヨンチョルを観てたんだけど、ヨンチョルボールに額を付けてずっと何やら祈ってんの。かーわーいーいー!!だけど明らかに過剰に気負いまってるのが良く分かってしまう。そしてブルーノから何やらアドバイスをもらいつつ、じっくりと狙ったキックは左に逸れていってしまう。2度目の失敗。ドンマイヨンチョル!!



85分、神戸は森岡に代えて吉田。87分、新潟はヨンチョルに代えてマサル。ドンマイヨンチョル!
90分、ミシェウのボールロストから、最後はドフリーになった都倉がシュートを放つという神戸にとっては最後のチャンスをを作るものの、これはゴールを外れ、最後はミシェウ→慶行でゲームを閉めて試合終了。



黒字に転換したと言ってもわずか+0.68。次勝てないとまた赤字だ。打倒大宮、打倒鈴木淳!!!!!!!