14年1月に観た映画まとめ

【♯36 桃さんのしあわせ】
情は人のためならずで、死に様は生き様であるという映画。だけどその一方で、それでも老いて死にゆくというのは結構冷酷で現実的であるという事も言及しなければならないという映画。結局、桃さんの死に目に誰かが立ち会ったかは伏せられてるんだもんね。


【♯37 グロリア】
カサヴェテスの方。ゴリゴリのハードコアババアとちょぴり過剰な音楽の熱気。その熱気に母性のウェットを加味。めっちゃ美味しかった。


【♯38 悪い男】
愛の映画。そして愛は万能ではないという映画。愛で人は壊れるし、愛で救われるけど、その誰かを救った愛は誰かを殺す。本気の愛が全てじゃない。結局この映画で一番まともなのは、あっという間に出てこなくなるメガネ彼氏じゃないかって気もしてくるのだ。


【♯39 赤ちゃん泥棒
やりたいこと全部やってやろうって気合に満ちてるのがいい。省略の美学とか忘れて、分かりやすいものから示唆的なものまで放り込んで、きっちり最後はキレイにまとめて出す。上手い。


【♯40 メランコリア
今までにないくらい大仰なSFの世界の中でも、ラース・フォン・トリアーらしい意地悪で居心地の悪い描写が所々に現れるのがとても快感。死と終わりは必ずやってくるもので、それに対して最初から過剰に反応してしまうのが、もしかすると鬱病の正体なのかもしれない。


【♯41 バスケット・ケース】
所謂フリークス映画が名作になるか否かって、その異型に対してどんな自我を認めるかって事が如実に見えてくることと、その描き方とスタンスによって決定されると思うのだけど、これは完璧だと思う。人間らしい性と嫉妬の露見。あの童貞喪失シーンは本当に残酷で悲しい。


【♯42 恋愛の目的】
恋愛をするってことはどういう覚悟を決めるかってことだと思うんだけど(だから劇中で一番覚悟を決めてない奴らが結ばれてハッピーエンドみたいになってるモテキは大嫌い)、その覚悟を決めるまでの過程の描き方がエライ雑ですよね。あともう少しいいおっぱいだったらなあ・・・


【♯43 シャドー】
面白かった!殺人シーンでばばーんと流れる80’s全開の音楽がいいですね。1発目の殺し方がエライ地味であれー?って思うのだけど、それは2発目3発目の見事なカメラのトラベリングや、後半の見事な切り株っぷりの前フリだもんな!


【♯44 都会のアリス
俺も31歳の男なんですよ。分かるんですよ。なにか探さないといけないこの人の気持ち。そんで探してるうちに色々とわかってきてしまうこの感じ。自分探しとか、そんな生ぬるいもんじゃないんですよ。結構ハードな映画だと思います。


【♯45 ライフ・イズ・ミラクル
いやーー楽しかったあ。いつものドリフにクレッツマー風味のどんちゃん騒ぎの楽しさはもちろん、理屈じゃない恋愛と失恋の感触まで詰まってた。ラストの失恋仲間のバディ感!


【♯46 その街のこども
名作。街が主役の映画ってありますよね。街の風景が全てを語ってしまっている映画だと思います。あと、これ本当に何も考えずに先週借りたんです。そして1月17日にこれを借りてるって思いだしたんです。風化ってこういうことなんだよな。省みます。


【♯47 ドラゴン・タトゥーの女
アナルセックス!!!!これ多分、ソーシャル・ネットワークFacebookの成功とその結果生まれた軋轢よりもザッカーバーグの世界で女はあいつだけ病を描いたのと同じく、ミステリーよりもタトゥー姉ちゃんのラストシーンのアレを描きたかったんだろうな。


【♯48 プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ
噂に違わぬ名作!これ映画史に残る類の映画なんじゃないのってぼんやり思いながら観てた。親子の関係が連鎖し、継続していく作品ってたくさんあるけど、そのお手本みたいな映画。ライアン・ゴスリングは「ドライヴ」と言い、ドライバー役が似合いすぎるな


【♯49 八仙飯店之人肉饅頭
香港映画見ていくキャンペーンの一環だよ。マカオだけど!東映エログロ路線の作品とかでもそうなんだけど、子供が被害者になる映画ってちょっと駄目なんだよなあ。ゴア表現大好きだけど、大人が相手じゃないと駄目なんだ。そのシーン以外は楽しく見れます。


【♯50 赤い影】
中盤以降にずっと漂ってる恐怖と謎めいた部分が、ラストのあのハイライトシーンでのフラッシュバックと、その後に描かれるワンシーンで一気に開放される快感。すげー。あと子供を不慮の事故で亡くすとか、オープニングのスローとかきっと「アンチクライスト」のベースなんだろうね。


【♯51 春夏秋冬そして春
これ凄い。びっくりした。そして思いがけず「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」とリンク。劇中に男親子しか出てこないけど、あのものすごい舞台装置が母性、もしくは子宮の象徴なんじゃないかと思う。入口の門、出し入れする船、その先の子宮。


【♯52 血の魔術師
全体的にお金かかってない中で、臓物表現だけはビシッと気合が入ってるのがビシビシ伝わってくる情熱と、でもこれって結局想像の産物でしかないんだよという冷静な自己統治のバランス。面白かったー。殺すのがキレイなねーちゃんだけって誠実ですよね。


【♯53 食人族】
カニバリズムとか、コロニアリズムとか、とりあえずそういうの置いといて探検隊の若手隊員がせきまゆに似てるってことを、数年ぶりに見て発見しました。せきまゆたべたい。


【♯54 ゾンゲリア
オチが上手くて悲しくてとっても素敵。ホラー映画にとって、自分だけが取り残される恐怖というものはどの時代も重要なキーになるけど、それを見事に消化して、更にその先へ行ってる。


【♯55 ギャラクシー・クエスト
めっちゃ久々に観た。気分が落ちこんでたので観た。思ったほど気分はがらなかったけど、やっぱり本当に上手いなあと感心してしまった。あと宇宙人の女の子がめちゃ二階堂和美さんに似てる。今気づいた。


【♯56 8 1/2
今観るべきはこれでした。なんかすげー気分がスッキリした。女性のトラウマと甘美な思い出を積み重ねて生きているすべての男への賛歌ですよね。人生は祭りですよ。もっと盛大な祭りにしたい。ああ。


【♯57 兵隊やくざ
メッチャクチャ面白かった。殴りまくり。いろんな愛と反戦を描いてきた増村保造はこんなアプローチもしていたんだね。しっかし勝新太郎が可愛い。めちゃくちゃ可愛い。これホモ映画だよね?増村保造的ホモ映画だよ。増村保造も見てないの見ていかなくちゃ。


【♯58 悪魔の沼】
ちゅまんなかったよ


【♯59 サマリア
愛情と、その愛情で生まれる軋轢と、そしてそれが連鎖していくお話。これはキム・ギドクのテーマの一つなのだろうね。最後は再びその連鎖の末端に位置することになった彼女と、あの不安定な運転が重なって胸が苦しくなる。


【♯60 サイボーグでも大丈夫】
どこか浮ついて足元がおぼつかない話が、あのキスシーンからキリッとするあの感じ。あのねっちょねちょの生々しいキスで人間の話に戻っていく過程が素敵。