14年2月に観た映画まとめ

【♯61 逆噴射家族
猛烈に面白い。素晴らしき俳優の演技もムチャクチャな展開も演出も全部楽しくて仕方ない。そして工藤夕貴がめっちゃかわいい。これ今こそリメイクしてみて欲しいなあ。工藤夕貴役は誰がいいかな。あみたとか?武藤彩未ちゃんとか?橋本瑠果ちゃんとか?兄は染谷将太だな。


【♯62 チャイニーズ・ブッキーを殺した男】
このどんよりとした重苦しい空気と、ビリビリと張り詰めた空気が同時に傍らにある映画。そうやって空気が色んな物に支配されているから、こまめに深呼吸をしながら観なくちゃいけない感じがして仕方なかった。すごい。


【♯63 アメリカの影】
習作って感じがしますよね。映画的なカタルシスを画面からあまり感じられなかった。こわれゆく女やグロリアはそんなカタルシスばっかりだもの。


【♯64 オアシス】
疎外される側と、疎外する側。ほとんどの観客は疎外する側だろうけど、これは見て見ぬふりをしたりわかったような顔をしているこちら側への、徹底的な覚悟の有無への問いだと思う。そして同時に、人類皆が共有しているはずの愛に対しての覚悟への問いでもある。ものすごい傑作。


【♯65 悪い女 青い門】
最近すっかりキム・ギドク強化月間なわけですけど、本当にこの人って描いてることは毎回同じなんだよな。愛とその愛の結果の軋轢とその連鎖。そして女性への愛情と、女性への底知れない恐怖。作家性ってこういうことだと思います。とても素敵。


【♯66 地の群れ】
これも疎外される側の映画。そしてその疎外されている側の枠組みの中でも、更に疎外と軋轢と差別がもう一つの枠組みを作っているという事実を提示してくる。その枠組みが集約された投石のシーンの音と構図に鳥肌が立つ。


【♯67 高速ばぁば】
『先生を流産させる会』『廃棄少女』『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』といった傑作群が持っていたあの圧倒的な緊張と退廃の世界はどこへ。ヒロイン3人はカワイイし、あの可愛い子の肌や口に異物をねじ込むフェティシズムはすっごく素敵だと思うんだけど、それだけだった。


【♯68 マドモアゼル】
大傑作。不思議と何となく選んだ映画は連鎖するもので、「地の群れ」が描いたような疎外の枠組みと残酷さの映画なのだけど、最も楽な枠組みにいる人間が最大の悪を発揮するというのが非常にタチが悪い。くまぇりジャンヌ・モローほんと怖い。


【♯69 吸血鬼ゴケミドロ
額が割れてにょろにょろ白いのが入るのってセックスの暗喩だったりするんですかね。吉田輝雄ってこういう絶望感溢れる映画ほんと良く似合いますよね。


【♯70 アンタッチャブル
デ・パルマの気合い入りまくりの画作りの職人芸に惚れ惚れする。かっこいいなあ。あとテルさんのデ・ニーロのモノマネあるじゃないですか。この映画のデ・ニーロが一番あのモノマネに似てる気がしますね


【♯71 変態ピエロ】
すっげえ分かるんですよ。8 1/2っぽいトラウマ総決算やりたくなっちゃう感じ。そんで結局そのトラウマ祭りのハイライトが女関係だっていう感じ。そんで赤裸々に吐露しまくった照れ隠しに最後はメタ構図でーす!って誤魔化しちゃう感じ。とてもいじらしい映画だと思います。


【♯72 アワーミュージック】
すいません。乗りきれませんでした。ゴダールの映画は画にぶん殴られるために見るものだと思ってるんですけど、これは猫パンチもなかった。


【♯73 バトル・ロワイヤル
何故か今までスルーしてて、初めて観ました。山本太郎が国会議員になる前に見るべきでした!余計なことばっか考えちゃう!!!前田亜季はカワイイなあ。結局まだ大成しないまま来ちゃったけど、カワイイなあ。


【♯74 ポン・ジュノ アーリーワークス】
スノーピアサーを観る前にポン・ジュノを全部観ようと思いまして。笑いのセンスが非常にらしいですね。


【♯75 ホーリー・モーターズ
映画人レオス・カラックスがその凱旋に、こんな映画人としての挟持を見事見せつける映画を撮ったってのが物凄く感動的。架空の物語を演じること、それをフィルムに収めること。そんな映画の本質自体に真っ向から立ち向かい勝利する美しさ。ドゥニ・ラバン最高!


【♯76 うつせみ】
傑作!社会と人間とつながりの中の空虚と移ろいを本当に饒舌に描いてる。特にラストショットは完璧。だからその後のテロップが蛇足な感じはあるけどね。でもそれを差し引いても傑作。大好きだ。


【♯77 セデック・バレ 太陽旗】
俺が日本人であるということを差し引いても、ハイライトでカタルシスとして描かれることが、カタルシスとして受け取れない息苦しさに満ちてる。ただ、その重苦しさをもたらすのは監督の圧倒的な筆致によるものなんだよね。この第一部はすごく好きです。でも二部は…


【♯78 セデック・バレ 虹の橋】
アクション全開な第二部。史実を脚色しているとはいえ、セデック族が圧倒的に勝ち過ぎちゃってるんじゃないのかなーと思う。ランボーになっちゃってんだもん。


【♯79 嘆きのピエタ
復習モノって韓国映画の定番だけど、キム・ギドクの作品って意外とそこにフォーカス絞ったものってないですよね。で、キム・ギドクがそれを描いたらこんな傑作がにゅるっと生まれると。すげーなー。愛情の向きとその愛情が生む軋轢の描き方とコントロールなんですよね、要は。


【♯80 妻は告白する】
増村保造見ていくキャンペーン。そして増村保造作品の悪のミューズ・若尾文子の真骨頂。狂気の沙汰にしか見えないのだけど、後半の「あなたは本当に誰も愛していないのよ!」でそれがひっくり返って、観てるこっちの心を脅かしてくる。超おっかないし、超エロい。


【♯81 キング・オブ・コメディ】
夢に溺れたどん底人生の悲哀とか、ラストシーンの現実/夢の狭間だとか、そういった表の話の裏に、「努力しねーやつはダメだよ」っていう強烈な叱咤も隠されてると思うんですよね。そういうの含めて傑作だと思います。


【♯82 弓】
示唆的な表現とか、婉曲表現とか、ラストシーンの意味とか、そういうことはもういいよ。ハン・ヨルムちゃん!!!!ハン・ヨルムちゃんかわいい!!!!!!超かわいい!!!!!!韓国人の中で有史上一番かわいい!!!!!大好き!!!!


【♯83 ビデオドローム
特殊効果とどっかーんの快感!面白かったー。これはむじゅかしい映画として有名なんですよね。初めて観たんですけど、描いてるのはメディアの欺瞞と危険性なんだろうなあと思いました。どっかーん。


【♯84 鰐】
キム・ギドクの習作って感じですよね。やりたいことをたんまりつぎ込んで、ちょっと消化しきれないところもあるけど、そのバリや違和感も一緒に煮込んじゃう。でも力に満ち満ちてるから、味は崩れずに、舌はしっかりインパクトを残してくれる。


【♯85 セックスチェック 第二の性
これ凄いよ!映画史に残る類の傑作の一つだと思う。歪な部分もエロサービスも巻き込んで増村保造らしいスピード狂メソッドで突き進み、最後は男女の性と愛が交わって美しく凛々しく終わるんだよ。カルト映画って言葉はこういう作品に賞賛の意味で使われるべき。


【♯86 盲獣】
これまた超傑作!!!大好き!!!異常な世界として物語が始まるんだけど、女が母親を惑わすために女としてのテクニックを駆使しだした途端に、その異常な世界は俺達のよく知ってる嫌らしい世界に戻ってくる。そしてまた異常な世界へと戻り、最後は華麗に散っていく。実に美しい。


【♯87 スノーピアサー】
ホームランしか打ってこなかったポン・ジュノが、とうとう内野フライを打ち上げてしまった感じ。平均的な監督なら良作としていい映画なのは間違いないけどね。もっと生々しくて、もっと血生臭くて、もっと強烈な匂いのする映画を期待していたのだよ。


【♯88 ファイト・クラブ
開幕戦直前に観る映画として選んだの大正解でしたね。殴られてもその血を相手にぶちまけてやるあの感じですよ。素敵!


【♯89 卍】
これも傑作すぎるんですよ。んもーーー増村保造すごすぎ。これ観て尼崎の監禁事件を思い出しました。人の心のコントロールで破滅へと導いていく事を快感としてしまう狂気。心と心の映画ですけど、心と心の関わりは本当に恐ろしいっていう映画です。