the perfect DEERHOOF

Friend Opportunity

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レヴェリ

レヴェリ

最高!!!!!今回のアルバムはある意味ではディアフーフ的ソウル/ファンク・アルバムと言えるかもしれないね。そして彼らが前に語ってた「エレクトロニクス寄り」をまさに前面に押し出した内容。「緑のコズモ」や「milk man」で彼らはパワーブックの中に渦巻く魔法を披露していたけど、今回はそれがより深遠に、強烈に、色彩豊かに、そして何より美しくなっている。明らかに彼らのネクスト・レヴェルを高らかに鳴らした、そんなアルバム。The Rootsレディオヘッド54-71フレーミング・リップスといった色んなゲストとの共演が彼らを触発したのかもね。うん、本当に素晴らしい。
んじゃ久々に全曲レヴューとかしちゃおうか!愛してるDEERHOOF!!

  • 1.The Perfect Me(パーフェクトな僕)

先日の更新でも語ったとおり、ぽこぽこ鳴らされるパーカッションのシークエンスに、グレッグの変幻自在なドラムが絡み、かつ抑揚のあるリズムが解体・再構築されている、実にディアフーフらしいリズム・ミュージック。それにポップなメロディ、サトミさんのプリティなヴォーカリゼーション、ジョンの豊潤なギタープレイとオルガンやシンセの彩りを加えれば・・・・・はい!最高のポップミュージックの完成。僕に会って、僕に会って、叫ぶんだ!!!!

  • 2.+81(プラスエイトワン)

ジョンのギターとグレッグのドラムが古き良きロックンロールの遺産を丁寧に、かつ大胆に鳴らす横で、脱力しきったシンセブラスが「ぱぱぱぱ〜♪」と鳴り響き、サトミさんの「ちゅーちゅー♪」が聞いてるこちらの耳に襲い掛かってくる。「ディアフーフはなぜ最高なのか?」そんな明白で難解な疑問に対しての、恐ろしくシンプルな答え。最高のロックンロールバンドが、ストレンジでキッチュな要素の効力を知り尽くしてる。つまり、そういう事。

  • 3.Believe E.S.P.(ESPを信じなさい)

そんな最高のロックバンドが、今度はちょっとヘヴィでダウナーなソウルミュージックを鳴らしたら、こんな異形だけど心地よい曲が出来てしまいました、と。これは明らかに彼らの新境地だろうね。ちょっとオリエンタルなメロディは「渦巻くゴールデンタウン」等で見せてきた様に彼らの一つの武器だけど、それに加えてヒップホップ的で雑多なリズムセクションと、随所に散りばめられた効果音。うん、まさにこれは「異形」。でも耳からどうやっても離れてくれない。

  • 4.The Galaxist(ギャラクシスト)

間違いなくこのアルバムのハイライトの一つ。流麗なアコースティックギターとサトミさんのヴォーカルに導かれてフワフワと始まり、ドラムがどこどこ鳴り出し右チャンネルからギターのハウリング音が聴こえて来たら、その後は次々と移り変わって飛び出してくるリズム!リズム!リズム!
そしてその雑多な曲の展開の中心を貫いて、そのリズムの嵐をキッチリ一つに纏め上げるサトミさんの歌声と強靭なメロディ。つくづく、サトミ・マツザキという人は不世出のポップスターだよなあ、と思う。名曲。

  • 5.Choco Fight(チョコ・ファイト)

ディアフーフスポンテニアスかつポップなセンスが表現された曲。かつて「dog on a side walk」で披露されたような、パワーブック内に溢れるとっ散らかった音の破片が、数年を経てステディとズレを行ったり来たりする不思議なリズムの基盤の上で整理されたようなイメージ。この辺に共演してきた面々の影響を感じる。

  • 6.Whither The invisible Birds?(目に見えぬ鳥達は何処へ?)

これにはびっくりしたwwwなんせストリングスとピアノとヴォーカルだけの曲だし。まあ、これはインタールード的な曲と言えるかも知れない。

  • 7.Cast Off Crown(捨てられた王冠)

6曲目はこの曲の冒頭のクールでカオティックな音塊のために配置されたのかもね。これまた今作のハイライト。サンプリング音、怒涛のドラムロール、リズミックで鋭角的なギターのカッティングの波がぶわーっと押し寄せる中、グレッグのヴォーカルが一瞬の平穏を与え、再びその音の波に飲み込まれていく。
そんな混沌とした流れを3分弱の曲にごっそりと、ただしあくまで息苦しくなる事無く詰め込むその曲作りのテクニックは、もはや職人と呼ぶに相応しいね。本当に凄いよ、このバンドは。何度惚れてもまだ足りない。

  • 8.Kidz Are So Small(子供はとても小さい)

「ばにばにばにばにばに」「ぱんだぱん、ばんぶー!」「わんわんくんがぽこぽこぽんぽんぽーん」「かむしーざっだー!」「うんぱうんぱー」と脈々と続くディアフーフの珍奇なリリックの歴史は、今回この曲の「ポテトチップポテトチップぱたたぱったぱたたぱた」にしっかり受け継がれました。最高!
これぞディアフーフが新たに提案するソウルミュージックの奇形。脱力したリズムと、奇怪な効果音、ポテトチップ、そしてサトミさん。恐ろしく変だけど、死ぬほど最高。

  • 9.Matchbook Seeks Maniac(紙マッチは狂人を求む)

これはディアフーフ史上、最もソングライティングが卓越した曲と言えるね。ていうか、これ売れるんじゃない?ww
この曲に関しては小細工なし。シンプルなリズムに、ギターもシンプルなコードストロークやルート音をなぞるだけのプレー。オルガンはメロディに従って添えられたシンプルなライン。この曲の中心はただただ素晴らしいメロディと、サトミさんのヴォーカル。
しかし俺はディアフーフ、そしてサトミさんを愛して止まないけど、まさかここに来てもう一度サトミさんのヴォーカルに恋をするとは思わなかった。特にタイトルの「Matchbook Seeks Maniac」って歌詞のラインのヴォーカル。なんて素晴らしいんだろ。

  • 10.Look Away(目をそらす)

ライナーによるとサンフランシスコ国際映画祭で、ハリー・スミスの映像作品に合わせて演奏したのが基となっている曲であるとの事。ディアフーフの今までの作品群の中に即興的なアプローチを見つけるのは容易い事だけど、それはいずれも2〜4分にソフィスティケイトされた形だったように思う。
しかし、この曲は12分近くの大曲。そこまでの長時間の中でインプロヴィゼーションを見せるのは初。そんな曲をこのタイミングで最後の曲として持ってきたあたりに彼らの野心を感じる。もう10年以上のキャリアを経ているバンドであるにも拘らずね。



ここ2〜3年が彼らのキャリアの一つのピークであり、次への助走段階であるのは間違いない。そんな豊かな時期にある彼らの現状を、36分の中にぎっしり詰め込んだ素晴らしいアルバムだと思う。そしてこんな状況にある彼らを見逃すなんて愚行以外の何物でもないだろ!!!!って事で新宿はもちろんの事、名古屋行きも決定です。待ってろよディアフーフご一行様!

愛してるぜDEEEEEEEEEEEEEEERRRRRHOOOOOOOOOOOOOOOOOF!!!!!!!!!!