【プレビュー】第7節 広島戦@広島ビッグアーチ

ホームで素晴らしいサッカーを見せて勝利した後にアウェーであっけなく勝ち点3を逃す悪癖が改善されているのか。リーグ戦、カップ戦ともに10戦近くやって一度も勝てていない広島アウェー、「鬼門」とかいう得体の知れない言葉に囚われずに今の好調さを発揮できるのか。去年からずっと(そして圧倒的な層の厚さを手に入れた今年でさえ)誰の目からも明らかだったシルビーニョへの依存と、彼がいない時にどんなサッカーが出来るのか。この広島戦、色んな意味で真価の問われる試合となりました。
まずは新潟のスタメン。先述の通り、この試合は新潟の絶対的なマエストロ、シルビーニョがケガのため欠場。今シーズン、リーグ・ナビスコ含めて全試合フル出場で攻守のタクトを振るってきたシルがいないのは確実に痛い。そこに入るのは寺川と勲になりそう。恐らく寺川がアンカーの位置で、シルの位置に勲が入る形になると思われる。
今シーズンの新潟はスタメンと控えで遜色がないだけの11×2を持てているけど、シルだけは別。タイプ的にも本当の意味で彼に替わる選手は存在しない。勲がそんな認識を転覆させる事が出来るか。今シーズン、アンカーとしてバイタルエリアのケアとDFのフォローという役割を完璧にこなすだけでなく積極的なパスとカウンターの意識を持ち続けている絶好調の彼が、横並びのボランチの関係ではなく、一枚が攻撃的な位置を取る縦の並びの関係を構築して、シルの代替と言えるだけのプレーを見せることが出来れば、新潟がいつか取り組まなければならない課題である「脱・シルビーニョ」の答えになるし、今年の選手層の最後のピースが埋まる事になる。ここは大いに期待したい所だね。それ以外のメンバーはガンバ戦と同じになりそう。
それでは広島について。今季の広島は去年と同様、運動量豊富なセンターハーフと服部・駒野の強烈なサイドアタッカー、そしてJリーグ屈指の2トップの特長を活かした縦へ早いカウンターサッカーを展開している。なんと言うか、擬音で表現するなら「びゅ〜〜〜ん、ばこ〜〜〜ん、ドン!!」要は一発のロングボールでサイドもしくはトップに展開して、そこからクロスなりスルーパスなりのラストパスを送ってフィニッシャーに勝負させるというサッカー。
その対策としてはまずは何はともあれ全体としてラインをコンパクトに保つ事。全体が間延びして一発のロングパスが威力を発揮するような展開は避けたい。バランスが崩れた状態でロングボール処理の局地戦になると、どうしてもアクシデンタルな要素を含んでいるので危険だしね。その辺を抜け目なく活かすのがウェズレイであり佐藤寿人なのだから。
それと広島のキーマンである服部、駒野の両翼の対処。ここまで3バックでサイドアタックに特長を持つ大分や川崎と戦うときに見せたような内田と坂本の守備に期待したい。大分の根本を押さえ込んだようにサイドのスペースを埋めるのか、川崎の村上や飛騨を押さえ込んだように積極的なオーバーラップで相手を押し込むのか、その辺の柔軟な判断をサイドバックサイドハーフ+ボランチでしっかり表現して欲しい。
そしてなんと言っても広島と言えばウェズレイ佐藤寿人の脅威の2トップ。2トップの質としては間違いなくJリーグ屈指。しかし今シーズン色んなタイプのFWに柔軟に対応してきた永田と千代反田であれば簡単にやられることはないはず。特にウェズレイは中盤まで引いてきてボールを受け展開、佐藤寿人は裏への飛び出しをひたすら狙う、と言ったように、役割がある程度はっきりしている相手には素晴らしいコンビネーションを見せてきた二人なら大いに期待していいと思うね。ていうか寿人にあのムカつくゴールパフォーマンスは絶対させねえええええm9(・∀・)
そして広島の最大の弱点。それは3バックとサイドMFの距離感の曖昧さと、そこを突かれた時のDFの不安定さ。甲府戦で何度も見られたシーンだけど、藤田や茂原が真ん中からサイドへダイアゴナルに走った時にストッパーが引き摺られ、センターの守備組織にあっけなく綻びが生まれる。確か前半だったと思うけど、サイドに流れた藤田→林のコンビでサイドからセンターにパスを通したら、一番キツく行かなければならない地帯でびっくりするほど簡単に通ってしまい、そこからリターンを受けた林がフリーでシュート、ってシーンがあったけどああいう形を何度も作っていきたい。思えばマリノス戦でもサイドに展開された時にセンターが緩くなるという悪癖を見せていたし、結局大島にゴールを許したシーンはそれが原因だしね。
今シーズンのエジのサイドを巧みに使うプレーは光ってるし、スペース目掛けてのダイアゴナルランといえばアトムの最大の武器であるわけだし、この二人とセンターで勝負する貴章、そして最も危険な匂いのする男、マルシオりしゃこ・リシャルデスに大いに期待したいね。脆弱なDFを狡猾に狙うだけのしたたかさを見せてくれ。
アウェー?鬼門?シルビーニョなし?言い訳は何もいらない。ひたすら愚直に走りまくって、これまでのように自分達の理想のサッカーを体現する事だけを考えるだけだね。それでは最後は坂本の言葉で締めくくりたいと思います。
「3連勝で満足しているうちは強者にはなれない」