【プレビュー】第15節 大宮戦@駒場

2連勝、そしてその内容も大変素晴らしいというウハウハな上昇気流に乗って、大宮戦です。大宮戦と言えばそりゃ色んな思い出ありますわな。トニーニョの退場とかトニーニョの退場とか、あとは・・・トニーニョの退場とか。それとすっかりお得意さんだったはずのなのに、1番空気を読むべき去年のラストゲーム、つまりファビの最後のホームゲームでファビが投入された途端2点目決めちゃうとか、なんじゃそりゃ〜な空気の読めなさとか。まあ、ファビのラストゴールはあったけどね。と言うわけで、今回はその時のリベンジマッチって事と、ちょっと下の方にいるクラブ各位を振り払って上位へ踏みとどまり、さらにステップアップするための踏み台になって頂きましょう。
さて、今シーズンの大宮の数字を見るとここまで得点8(これはエジミウソン一人の得点と同数。しかもエジは3試合もサスペンションあったのに)、そして2点以上決めた試合が1試合もないという、未曾有の得点力不足に喘いでいる。しかし、失点はリーグ戦で6番目に少ない15失点。つまり、どうにかこうにか1点を奪って、その虎の子の一点をとにかく守りまくるという戦い方が、今シーズンの大宮の戦い方だ。
しかしまあ、今シーズンの大宮、というかブルース・ウィリス劣化コピーにしか見えないロバート・ファーベック監督の潔いまでの引きこもり戦法は、なんと言うか敵ながら天晴れと言った感じ。4バックと中盤の守備的なポイント(最近ではここはアンカーとして斎藤を一枚置いてる)がぴっちりとポジショニングを取り、自分の分担であるスペースを埋めてプレスを掛け捲る。そしてその分担されたエリアからリスクを犯して飛び出す事は殆どない。その結果15失点と言う選手個々のスペックを考えれば上出来な失点の少なさと、絶望的な得点力の欠如という結果が出ているという、まあ、因果応報な分かりやすいチームであると言えるだろうね。まあぶっちゃけ、今年のJ1で1番退屈なサッカーしてると思います。ちょっと前のナイキのCM思い出すな。「退屈なサッカーをしよう」って、あれ。
しかしそんな大宮だけど、最近は5試合負けなし。その中には浦和、川崎、柏といった上位陣との引き分けを含んでいると言ったように、最近少し不気味な勝負強さを見につけてきている。シーズン当初に比べればサイドバックが上がるシーンも増えたし、チーム全体としてサイドを使うという意識も出来つつある印象。(まあ、その攻撃の殆どが拙攻に終わるから得点が取れていないんだけどね。リスクマネージメントが優先順位として1番上なのは変わらないし。)そしてこの試合の最大の懸念材料である桜井も復帰してきた。そんな大宮に対して新潟はどう戦うか。
まず、この試合、今年の新潟の攻撃をここまで牽引してきた矢野貴章マルシオ・リシャルデスが出場停止。神戸戦でも勝利の立役者であった彼ら二人がいない。特に引いてきた相手を崩すセオリーの1つであるセットプレーで最近恐ろしいほどのキレを見せているリシャが使えないのはかなりの痛手だろうね。ちなみに今回のスタメンはどうやらこれまでの14試合全てに先発してきた内田・坂本の両サイドバックコンビではなく、左に松尾を入れて坂本を1列上げてサイドハーフとして起用する形になり、貴章の替わりにアトムがエジと縦並びの関係になりそうという中々胸躍る斬新なメンバー構成になりそう。深井がどうにか戻ってこれそうだし、河原も準備万端なので、試合後に「怪我の功名」になってることを期待したい。
さて、前述の通り大宮が引きまくりの守備を構築してくるのは間違いない。という訳でこの試合は大宮の堅守を新潟がどう切り崩すか、そしていかにして1点ないし2点、いや3点(以下自粛)とまあ、決して多くは奪えないであろう得点を奪うか、と言う点が最大の焦点になると思う。皆様ご存知の通り、去年新潟は降格した下位3チームに一度も勝つ事が出来なかった。それはひとえに引いて守る相手を切り崩す術を持ち合わせていなかったということだと思う。しかし、これに関しては前節の神戸戦が大きなヒントになるはず。
前節の神戸戦、引いてきた神戸に対し、試合開始はDFラインでしっかりボールを回して相手を引き出そうとした。しかし、それに乗ってこない神戸の戦い方、そして事故の様な失点を食らったことで、新潟の戦術にブレが起こっても仕方のない状況だったと思う。しかし、それでも坂本の言葉を借りれば「焦れずに」当初のゲームプランを実直に遂行した。サイドバックの位置の変更や、横パスと縦パスのバランスを変更すると言った微調整を加えて。これが神戸の松田監督が大好きな「ディシプリン」を崩壊させ、新潟の完勝に繋がった。こういったゲームを読む力と、柔軟な対応というインテリジェンス。そういう大人な部分をもう一度駒場でも見せて欲しい。
それと今の新潟の最大の武器は間違いなく、高い位置で奪ってからのサイドアタック。これが上手くはまった事でこの2試合は完勝した。ではこのサイドアタックを敢行するにはどうすればよいのか。これに関しては前節の柏×大宮戦がいいサンプルケースになると思う。柏も今の新潟同様、前線からのプレッシングで奪って素早く重厚なサイドアタックを仕掛けるのが最大の武器だけど、この試合では全くその形が作れず、泥仕合に持ち込まれて0-0で終了してしまった。これは相手のDFライン、特にサイドバックを混沌とさせる事が出来なかったのが全てだと思う。前述の通り、大宮は各人が決められたスペースをしっかり守る事に関しては非常に優れているからね。では、これは何故なのか。
その答えは、柏の前線からのプレスのポイントが曖昧になっていたことで中盤、特にアンカーの斎藤が比較的自由を謳歌できた事にあるのではないかと思う。この試合の斎藤は攻守に渡っての潤滑油になって非常にいいプレーを見せていたのだけど、これは柏の前線からのプレッシングが緩かったのが要因となっていたのは間違いない。その結果、DFライン・中盤共に特に混乱をきたすことなくプレーが出来ていた印象。そこで、新潟としては中盤(特に前目に位置を取るであろう勲)、そしてエジの下でうろちょろする予定のアトムがピンポイントに斎藤の位置を狙ってプレッシングしてみるのも面白いんじゃないかと思う。斎藤の前に並んだ4枚の中盤に対してのプレッシングももちろんだけど、アンカーをぶっ潰しに行かれるのが、4-1-4-1というシステムを敷く大宮にとっては最も脅威になるだろう。そこで、自らのエリアから飛び出さざるを得なくなる状況を作り出せればこっちのものだ。特にサイドバックを引き出せれば最高。その辺の相手の状況を見た攻撃に期待したい。
それと今年の大宮の大きな悪癖は後半運動量がガックリ落ちるところ。明日はナイトゲームとはいえ暑い日になりそうなので、この後半の勝負どころを逃さない事。0-0で推移してるとすればなおさらだ。
今ウチは4位。でもちょっと緩んだら一気に二桁順位に落ちるくらいの脆弱な4位。だからこそ、この試合では勝ち点3を愚直に、貪欲に狙いに行って欲しい。頭と、足をフル稼働して、打倒大宮!!!さあ、もっと上行くぞ!おらあああああああああああああ!!!!!!!!