今更ながら「もってけ!セーラーふく」について考える

「もってけ!セーラーふく」フルバージョン
「もってけ!セーラーふく」インスト
「もってけ!セーラーふく」歌詞
いや、オリコン2位まで行ったとか、その後もジワジワ売れ続けてるらしいという話は聞いていたんだ。でも対岸の火事だって思ってたし、特に気にする事もなく過ごしてきたんだけど、今日たまたまようつべでこの曲を観て驚愕。なんだこりゃ。とてつもない名曲じゃねーか!とりあえず未聴だったらつべこべ言わずに↑聴いて。
俺は未だに2000年代の日本のポップミュージックおける最重要曲はモーニング娘の「そうだ!We're ALIVE」だと思っている。そしてあの曲がぶち破った日本のポップミュージックの風穴に飛び込んでいくだけの曲が、これまでごくごく限られた作品しかないっていうのが現状なんだと思う。結局ダンスマンがモーニング娘に曲を提供したのは「そうだ〜」が最後で「その後」の成長を自ら放棄してしまったしね。
で、そんな中で聴いたこの曲。ちょっと調べたら色んな所でこの手の議論がなされてるんで今更詳細についてここで言及するのは割愛するけど、要は「日本語をポップミュージックにどう乗せるか」って事に恐ろしく自覚的で、挑戦的な曲だってことだよな。そしてその挑戦が完璧なまでに成功してる。日本語を一つの音として扱い、その響きが曲にどれだけ馴染むか。そんな事を日々実験・試行錯誤してる全ての音楽家にとって、この曲は大きな大きなブレイクスルーに成り得る曲だと思う。正直に告白すると、この曲を初めて聴いた時に俺の中で湧いた感情の殆どを占めていたのは「嫉妬」だった。多分、こう思う人は少なくないと思う。
で、その歌詞の内容だけど冒頭からこんな調子だ。


曖昧3センチ そりゃぷにってコトかい? ちょっ!
らっぴんぐが制服…だぁぁ不利ってこたない ぷ。
がんばっちゃ♥やっちゃっちゃ
そんときゃーっち&Release ぎョッ
汗(Fuu)々(Fuu)の谷間に Darlin’ darlin’ F R E E Z E!!


なんじゃそりゃwwwwこれは発想としては谷川俊太郎的世界、というかジェイムズ・ジョイスフィネガンズ・ウェイク的世界だね。で、これをもろアニメチックなヴォーカリゼーションで発されるという混沌。この曲のトラックとのマッチングも完璧だ。この曲のトラックを担当したのはゲームミュージックとかを手がけてた人らしい。なるほど、この耳触りのいいポップセンスと、徹底的にアクセントに注意を払われたリズムはそこからの影響なんだろう。
で、さっき「混沌」という言葉を使ったけど、この曲が名曲である最大の理由は「心地よいカオス」に満ちているって事だろうね。それが「そうだ!We're ALIVE」と同じベクトルの名曲であると思った最大の理由なんだけどね。日本のアニメとアニメソングという文化、特にカワイイ女の子のアニメ声という時に吐き気を催してしまうアイテムを、ここまで日本語の響きの新しい可能性への挑戦の土台として上手く利用してるのには脱帽するしかない。
現代の日本文化がオリジナリティに溢れた形でその力を発揮する時って、「狂気じみたカオス」を伴ってることが多いと思う。コーネリアスファンタズマAKIRAなんかその典型だ。で、今日本で一番その「狂気じみたカオス」を抱え込んでる街って間違いなく秋葉原だと思うんだけど(メイドとコスプレした女が街をうろつき、大量の家電製品が並び、アニメキャラが所狭しと陳列され、ここ30年で飛躍的に進歩したゲームの歴史を俯瞰でき、駅前にはエロ専門ビルがどかーんと立ち、路地裏では小学校を盗撮したDVDが堂々と売られてる、ってどんだけクレイジーなんだよ!!)、その秋葉原に渦巻く萌えだのなんだのって文脈とゲーム文化から、こういうとんでもない名曲が生まれてきたってのはとても象徴的な出来事だと思う。(アニヲタじゃないのでガチのアニヲタの諸氏からは飛躍しすぎだ!って怒られそうだけどww)
というわけで、音楽について色々と考える機会が多い人ほど、中毒性を発揮する曲だろうね。まあ、この曲がただのアニソン以上のチャートアクションを見せている事を考えれば、そういう人たちに響きまくってるって事は伺えるけどね。凄く健康的なことだ。いいね。
しかし、俺はらき☆すたという作品自体には全く興味ないけど(まあ、アニメキャラに萌えるってのが俺には無理だからな。だってどう頑張ってもそいつらのおっぱい揉めないじゃん)、とりあえず平野綾という人がある一部の人から神扱いになってる理由は、この曲聴いて凄く分かった。声のプロだから、ではこの曲のクオリティを説明できないわな。アニメキャラには萌えられないけど平野綾に萌えるのは出来そうだ。だっておっぱい揉める可能性がゼロじゃないじゃん。(ファンの人怒らないでね)
ってこれだけ書いてきてまたおっぱいオチかよ・・・・・・( ;´・ω・`)