【レビュー】ナビスコカップ予選第5節 大宮戦@熊谷

大宮アルディージャ 1-1 アルビレックス新潟
スタッツ
今年も、またしても、ナビスコ予選突破ならず。まあ、現状ではその程度の実力しか持ち合わせてないチームって事だよね。「勝ち点取れればいい」じゃなくて「勝たなくちゃいけない」試合に挑んで、ちゃんと勝てるかどうか。リーグ戦なら「今日勝てなくてもいつかどこかで勝てばいい」だけど、ナビスコは、っていうかこの2戦は「絶対に今日ここで勝たなくちゃいけない試合」だった。でもそれはいずれも引き分けに終わってしまった。そういうこと。現状のチームはそういうチームだって事だ。悔しいけど、発狂しそうなほど悔しいけど、そういうことなんだ。


この試合は立ち上がりから互いの出方を伺い合う試合。ポゼッションとしては大宮の方が上だったと思うのだけど、その殆どが攻撃の手が打てなくてDFラインでボールを回しているという形。
そういう形に持ち込めた最大の要因はまず前線からの新潟のプレス。やっぱりアトムはトップ起用してボランチとトップの間で走りまわらせるとすごくイキイキする。彼が中心となってサイドハーフも、ボランチもしっかり連動して大宮の出足をくじきまくる。
それとこの試合の立ち上がりに輝いていたのは勲。今日はスタメン復帰2試合目だけど、やっと彼らしい危機察知能力が前面に出て要所に現れては相手の攻撃を潰すし、攻撃では簡単なタッチでバシバシパスを配給して新潟のパス回しにリズムを与える。
そんな新潟にとって磐石な体制の中、大宮の攻撃がちょっと可能性を感じさせるのは藤本が左サイドに流れてボールキープして中に折り返す場面くらいなもので、しかもそれはうっちーがしっかりコースを限定して、中では千代と永田と千葉ちゃんが全部ぶっ潰すので殆ど危険なシーンにならない。
ただ、そのじっくりと進む試合展開の中にあって新潟の攻撃も大きな動きがないまま進む。アトムが走り回ってボールを引き出し、アレが基点を作って左右に展開、って形は見えるんだけど、怖さは感じないまま時間は進む。
で、この試合で最初の決定的なシーンは38分にようやく訪れる。新潟が後ろからのロングボールを送ってアレが頭で後ろに逸らすと、そのボールは大宮のDFの頭をギリギリで越えて後ろに走りこんだアトムの足元へ。で、GKと1対1となるのだけど、これは江角がはじき出してCKに逃げる。
で、このコーナーの選択はショートコーナー(だったっけ?wもしくはこのコーナーが弾かれてスローインになって、だったっけ?その辺曖昧だww)で、松尾と松下(だと思うw)の素早いパス交換から松尾がクロスを上げるとファーで待っていたうっちーの頭にピタリ。んで、これを折り返すとアレが潰れてその後ろのマルシオがフリーでドカン!新潟が死ぬほど欲しかった先制点をようやく手に入れる。
で、その後は大宮のCKに若干ひやりとするシーンもあったけど、そのまんま前半終了。ていうか後で考えたらこの試合は大宮の攻撃はセットプレー以外は怖くねーな、って前半終了で思ったんだけど、結局そのセットプレーでやられたんだよなあ・・・・。まあそれはまた後で。


で、後半。大宮は片岡に替えて小林慶行。後半はこの小林慶がアクセントとなって前半とは違うリズムを作り出すので、ちょっと流れが大宮寄りになる。で、51分、55分と危険なシーンを作られるのだけど、そこは新潟の守備が踏ん張って失点は許さない。
その最初の猛攻を凌ぐと流れは新潟に。アトムとアレの2トップに引き寄せられるように松下とマルシオも一気に攻撃に参加する流れがちょくちょく出始める。
んで、57分。速攻で松下から左へダイアゴナルに走り出したアレに決定的なパス。それを受けたアレがグラウンダーで中に折り返すとそこにマルシオ!もうこの時点で半分くらいガッツポーズ作って「いぇ・・・」って言いかけたのだけど、シュートは若干コースが甘く、江角の正面を突いてゴールならず。
しかし流れは新潟。その後も前4人が動き回って大宮の守備を脅かしまくる。しかしここで事故発生。富田と接触したアトムが足を痛めて、65分に河原と交代。今日の新潟の攻撃の大きなアクセントとなっていたアトムをここで失う事になってしまった。あ、ただアトムは怪我した後もしばらく走り回っていたので大した事はないと思います。コメント読むと打撲だったみたいだしね。
しかし流れは変わらず新潟ペース。うっちーが絡んで作った右からの攻撃から最後は松下がミドルを放つも、ポストのほんの20センチくらいを掠めるという決定的なシーンもあったりで、この時点では完全に「どこでもう1点獲って勝つか」って流れに移りつつあった。
しかし、68分に右からのクロスに森田がニアに飛び込んだのを北野が弾いたシーンから流れが怪しくなってくる。結論から言ってしまうと、78分に失点するまでのこの10分間こそがこの試合の最大の落とし穴だった。正直、この時間だけ新潟が凌げれば勝ち点3は新潟のものになっていたと思う。(そういえばこの辺で雨が強くなり始めたけど、あの雨はその後の大宮の猛攻を暗示していたようにも思えるな。今考えると)
とにかくその10分間はクロスを放り込まれたタイミングで新潟の守備がバタバタするシーンが目立ちまくる。74分にはそれまでまさに鉄壁と呼ぶに相応しかった千代が、サイドから入ってきた選手との1対1で転んでしまい、完全にサイドを破られてデニスマルケスが受けて決定的なシュートを放たれて万事休す、になるもシュートミスで左に外したりとか、千代がまたしても転倒して森田と北野の1対1になって北野がギリギリセーブしたりとか、とにかく大パニックの連続。
で、その結果ボランチが完全にDFラインに吸収されて全くセカンドボールが拾えないので、DFが踏ん張って弾き返してもセカンドボールを簡単に拾われてまた攻撃に曝されるという悪循環。うっちーがコメントを出してるけど、こういう流れをどうやって切るかってのが今このチームには足りないところなんだろうな。
だから、ここで必要なのはその流れをどこかで完全に切って守備陣に呼吸する時間を与えるか、もしくはトップがフォローしてあげる事だったと思うんだけど、河原もアレもそういうプレーは全く出来ていなかった。本当にここは貴章の不在を痛感した所。だって貴章だったら間違いなく、トップに張ってはじき出されたボールを追うって言うタスクを捨ててでもバイタルに戻ってセカンドボールに喰らい突き、キープもしくは相手のファウルを誘って守備陣に呼吸するちょっとした時間を与えてくれていたと思う。やっぱり貴章は新潟の戦術の根幹になる選手なんだよな。いなくなって改めて分かる、その価値。
で、78分。前半からちょっと嫌な感じがしてたセットプレーから森田に前に入られてヘッドを被弾。同点。絶対に取られたくない時間に取られてしまうという最悪の展開になった。
で、その直後。この試合で最大にして最後の決定的なチャンスが河原に到来する。アレ、松下と繋いで、最後は完璧なタイミングで田中とレアンドロの間を縫って飛び出した河原にラストパス。左サイドから流れてきたのでちょっと角度はあるけど完全に1対1。そこで江角はステイを選択。そして河原はいくつかあった選択肢の中から、ニアを抜くという最も難しいモノを選択。しかしそれは左へと外れてしまう。あれは確固たる技術と豊潤な経験に裏打ちされたシュートじゃないと入らないだろうな。
このプレーを抽出してこの試合勝てなかった理由としてクローズアップしたり、河原個人を攻める気は毛頭ないけど(この試合の敗因−負けてないけど敗因としよう−はこの10分を凌ぎきれなかった選手全体、ベンチ全体にあると思うしね)、アレッサンドロと貴章という壁を乗り越えるチャンスを、そしてチームを救うチャンスをフイにしたって事を、改めて考えて欲しいと思う。何度も言うけど、河原が成長しない限り新潟の攻撃に厚みが出ることはないし、チームが更に上に行く事はないんだ。あの動き出しのセンスや今日みたいな裏を突くセンスは天下一品なのは間違いない。ああいうプレーは教えられて出来るもんじゃない天性のモノなんだ。だからその先。最も重要なその先の精度をとにかく上げて欲しい。相手にとって怖い選手になって欲しい。ずっと4番手だったこれまでから3番手に昇格した今年こそ、チャンスなんだよ。そのチャンスを生かしてくれ。頑張ってくれ。
で、その後は勝ち点1で良しとした大宮がガッチリ守りに入ったこともあり、新潟がペースを握るものの、最後はPA内まで侵入できないという形が続く。この試合を通してニアを狙いまくってたマルシオのCKを河原が触ってチャンスになるのだけど、その後に飛び込む選手がいなかったりなどなど最後の詰めが甘くてどうしても決定的な形にならない。
そんなかんだで試合終了。勝ち点1。勝ち点3を絶対に取らなくちゃいけない試合で、手に入れたのは勝ち点1のみ。それが、今のこのチームの現状だ。


この結果を受けてさ、俺も改めて思ったことがあったんだよな。去年はリーグ戦で6位という成績だったし、今年も何だかんだでリーグ戦では中位を越えて上位を狙える位置まで来た。でも去年は終盤に4連敗してるし、今年だっていきなり4連敗してるんだよな。でもそれ以外の時期に、チームが上昇気流に乗ってる時に稼いだ分があるから、いい位置に来れたわけだ。
リーグ戦ならそれでいい。でも、新潟が今狙えるタイトルで最も近い所にあるのは天皇杯ナビスコなはず。それを狙うのならば、どんな状況でも勝ち点を拾えるスキルが備わってないとダメなんだよな。調子が良くない時にどうやってチームを盛り上げ、勝ち点をもぎ取って行くか。
そしてどんな状況であれ、勝たなくちゃいけない試合にどうやって勝つか。例えば今日の63分から73分の10分間。あの時間を何故凌げなかったのか。勝ちを奪わなくちゃいけない試合で、1点リードして、本来こっちが優位に進めるシチュエーションで何であんなにパニックに陥ったのか。それを是非とも考えていかなくちゃいけないと思う。
だから、一にもニにも経験なんだよな。ノックアウトラウンドの経験を手に入れられなかったのは痛すぎるけど、それでも試合は続く。そこでいくらでも手に入れられるはず。
今年で北野が26歳。千代が28歳。永田さんが25歳。松尾が29歳。千葉ちゃんが23歳。勲が27歳。松下が25歳(もうさっさと完全移籍しちゃおう。な?!)。アトムが21歳。貴章が24歳。河原が21歳。
そんな新潟の根幹を支えてる選手たちはまだこんな年齢なのだ。俺が思うに、チームが一つの完成形を提示できるのは3年のスパンだと思う。(実際今年守備が安定してきたのって、やっとDFラインが同じメンツで2年目のシーズンを迎えることが出来てその精度が上がってるからだしな。)上記の選手たちの年齢に3歳プラスしてみると、それはサッカー選手として最も熟成してくる時期だと言える。松尾が32歳だけど、年を追うごとに上手くなってる彼ならどうにかなるんじゃねーかなwwあとはうっちーの後釜だな。マイケルも彩翔もがんばってくれ。それともちろんゴートクもな!
そして怪我でちょっと足踏みしちゃってるけど明らかに新潟の中盤で異質な存在になりえる事を早くも証明した木暮が18歳。サウジで奮闘してる大輔と川又も18歳。大野だって怪我する前はU-19のDFの核になりかけてたんだし、こっからが再チャレンジだ。センターも左サイドバックもできる選手って貴重だし。
だから、今はとにかく全ての試合を、一試合も無駄にする事無く戦って欲しいと思う。チームを本当に完成させるのには3年のスパンが必要だけど、腐らせるにはたったの3ヶ月で事足りちゃうからな。だからこっちもずっと要求し続けるよ。だって間違いなく可能性のあるチームなんだから。
あーそうそう。河原って来年貴章が新潟に来たときの年齢になるんだよね。はっきり言って「得点を狙う」ってプレーだけ抽出したら明らかにあの頃の貴章より上だと思うんだよwwだってあの頃に貴章にあんなランニングのセンスねーもん。でもその後の2年間で貴章は死ぬほど伸びて、今やワールドカップ予選のメンバーに選ばれるまでになってる。そんなこれ以上ないお手本が身近にいるんだから頑張れよ。まずは1点。その1点を獲る事だな。頑張れよ。


という事で来週の試合をどう戦うか分からないけど、とにかく無駄には絶対にして欲しくない。そして中断明けの川崎戦、絶対に勝とう。とりあえずアウグスト早くコンディション上げてくれ。貴章怪我なく戻ってきてくれ。


んーとまあ、長々と書いてきたけど、言いたい事をまとめると熊谷遠すぎ!!って事だな。何であんなとこでやってんだよボケ!大宮のアホフロントくたばれ!