【レビュー】08年第19節 札幌戦@スワン

アルビレックス新潟 2-1 コンサドーレ札幌
スタッツ
快勝!一度は追いつかれたものの、快勝と表現していいような試合だろうね。明確な意図、ハードワーク、そして各選手が求められるプレーをその通りにしっかり体現した事。どれを見ても勝つべくして勝った試合だった。あと雨と雷にびっくりしたww
試合は開始40秒足らずでいきなり動く。ピッチ中央から左よりでの松尾とうっちーのパス交換から、うっちーがダイレクトで入れた縦への勝負パスが札幌のDFのギャップの間に入り込んでいたアトムに繋がり、グラウンダーのクロス→マルシオがスライディングシュートでゴール。ゆりかご。勲おめでとう。で、このゴールで特筆すべきは「ピッチ中央から左よりでの松尾とうっちーのパス交換から」ってところだよね。普通に考えればあの位置で4-4-2のシステムの両サイドバックが互いに細かくパス交換行なうなんてありえないもんな。この辺が実に「新潟らしい」ゴールだったと言えるだろうし、最初からアグレッシヴに攻めに行った結果のゴールだったと言えると思う。というかこの試合を通して素晴らしかった内田潤と言う希代のサイドバックの攻撃的(特にビルドアップ)のセンスは異常!って事なんだけどw
で、その後も圧倒的な新潟ペースで試合が続くのだけど、目立ったのがロングボールの多用。これは積極的にラインを押し上げていこうとする札幌のDFを下げさせると言う意図も、ってか「積極的なラインの押し上げなんてトシヤのサッカーじゃない!」という戒めもあったのだろうけど(ねーよww)、一因は貴章ではなくアトムという裏抜けの天才がトップを貼る事になったからってのもあるんだろう。明らかにそこを活かしていこうという意図が目立った。その辺は事前に準備してきたところなんだろうね。やっぱりこういう「快勝」と呼べるゲームって事前の準備と、それに裏打ちされた試合を進めるための明確な意図がないとできないんだよな。
で、そのロングボール作戦は実に効果覿面で、相手のラインを下げさせて新潟がゴールに近づくだけでなく、ボランチとDFとの間隔がどんどん離れてバイタルが空きまくると言う状態を生むことになった。まあ恐らくその辺は芳賀の出場停止ってのも大きかったのだろう。マーカスはかつてサテライトで見たときと同じく、ただ右往左往するだけで、自分の背後に広がる危険なスペースに対して驚くほど無頓着だったしね。あれじゃウチに戻って来るのは難しいか・・・・。
で、その状態を逃すはずのない新潟攻撃陣。そのバイタルの美味しいスペースに、松下、マルシオ、アトムあたりが入れ替わり立ち代わり入ってきて相手のDFを攻略し始める。ミドルを連発できたのは、バイタルが空きまくっていた事の証左だろう。で、そうやってムービングしまくってシンプルにボールに触る3人と、その前でボールをキープしてタメを作るアレという絶妙な関係性。またサイドの選手が中に入ることでサイドのスペースが空いたので、そこにサイドバックが上がってくる・・・・という好循環。グッドリズム!グッドウィドゥム!
その結果前半30分過ぎまでは完全に新潟ペース。確か北野がこの試合で初めてゴールキックを蹴ったのって20分過ぎだったよね?それほどまでに札幌は攻撃の糸口を見出せずにいた。で、30分過ぎたあたりからようやくダヴィクライトンがサイドに突っかけていくシーンが見えてきたのだけど、永田さんいわく「飛び込まないことだけを気をつけていた」との事で、たしかにそうやってじっくりサイドに追い込んでディレイさせてしまえば問題無いし、そもそも彼らがサイドに攻め込んでも、中盤から上がってきて中で待つ選手がほぼ皆無で、仮にクロスが上がっても何の問題もなし、な状況ばかりで怖さはない。0-0でセットプレーの一発にかけているのではなく、1点ビハインドの状況でこれ。さすがだねトシヤ。
結局前半はアトムか勲だったかがカブってボールがこぼれてあわやって所を、北野がファインセーブで防いだシーンくらいしか危ない所はなく(いくつかあった勲の単純なパスミスも大事には至らず)、逆に新潟が2点目を取れなかった事だけがクローズアップされるような試合内容だった。
しかしアトムはやはり交代ではなくスタートから使ってこそ力を発揮するタイプなんだろうか。デビューからずっとそういう印象あるよな。今年もスタメンだった清水戦は素晴らしかったのに、交代で入った試合はイマイチだったもんなあ。「スタメンでセンターの位置」がアトムが最も輝く条件なのかもしれない。


で、後半もその流れはほぼ変わらず。相変わらず裏を狙う新潟の攻撃だけど、淳さんのコメントでもあったようにせっかく相手をいなしていい形を作るのに勝負パスが乱れてチャンスを潰すシーンがチラホラ。で、それを見て札幌は西→チョン・ヨンデ、藤田→砂川、新潟はアトム→フミヤ(アトムの怪我は大丈夫だろうか?)という交代を見せるも、特に大きな動きはなし。フミヤは最初こそ裏へ飛び出す動きを見せてたけど、次第に消えていった感じだったね。てか途中からサイドに流れてマルシオが真ん中とかだったような。何にせよ、フミヤは沢山ボールに触ってナンボの選手っぽいのでやっぱりボランチが似合いそうだ。
そんな淡々とした試合展開で時間が流れていた71分。札幌のCK。セットプレーだけは本当に強いチームなので集中!とばかりに私の拍手も気合が入ったのだけど、またあ〜〜っけなくファーの箕輪をフリーにして折り返したボールにダヴィ。1-1。またセットプレーの失点!準備してたんじゃねーのかよ!3試合連続でセットプレーから失点ってなんだよ!
とりあえず、2週間空くんだからセットプレーの守備は死ぬほど重点的にやってください。セットプレーという弱点を持ったまま戦うのはどう考えても不利だ。なんならアレックス・デラージが受けたルドヴィコ療法でもチーム全員で受けたらどうだ?まぶたをクリップで留めて、目薬を差しながらひたすらセットプレーで失点するチームの映像を見せるっていう。あれだ、98-99のチャンピオンズリーグ決勝のロスタイムの2点と、凹みまくるマテウスの映像でも流し続けろ!
ただ、その時感じたのは、スワンの雰囲気やチームの雰囲気が、名古屋戦のような「絶対に1点取らせる!/取る!」じゃなくて、「まあもう一点取ればいいんだし」っていう感じだったんだよね。って思ってたら淳さんも「チームが余力を残していたので、何とかもう一点取れるのではないかと思っていた」との事。
で、それはあっけなく現実となり、CK崩れからうっちーの素晴らしいミドル→ポストの跳ね返りをアレッサンドロ!2-1勝ち越し。しかしアレはうっちーのシュートの瞬間「色んな可能性を頭に入れていた」との事だけど、早い話が「俺の前にこぼれて来い!」って事だよねwwさすが人でなし系!もう当たり前のように平然と頭でゴールに流し込んでたもんなあ。素晴らしい。で、2度目のゆりかご。勲おめでとう。
で、その後は札幌が中山元気→西谷を投入するも流れは変わらず、最後は慶治を投入して(おかえり!!)5バックで札幌のパワープレーに対抗し、ロスタイムに千代の頭が切れて時間がかかりそうと判断したらすぐさまテラ投入すると言う磐石の交代策で試合終了。完勝。あ、あと治療中にテラが交代で入ったことを知らずに頭を包帯でぐるぐるにしてピッチに戻ろうとバックスタンド側で鼻息荒くする千代と、メイン側で「ばかー!!交代したんだ!入るなー!余計なカード貰うな!」と必死の淳さん。コントか!!
とまあ、しっかり勝ち点3を取っておきたいチームからちゃんと間違いなく勝ち点3を取ったのは良かった。あとはセットプレーの守備の改善と、マルシオ出場停止の穴を誰が埋めるかって事。幸い2週間空くし、しっかりといい準備をしてヴェルディ戦に望んでくださいな。この勝利で上位争いに参加する資格を手に入れたのだから、それを絶対に活かすしかねーでしょ!