【レビュー】08年第24節 柏戦@スワン

アルビレックス新潟 2-1 柏レイソル
スタッツ
いよっしゃぁぁぁ!!やっと連敗脱出っっっっ!!!!!そして絵に描いたような「アルビレックス新潟らしいファインゲーム」だった。これが何よりも大きい。よそ行きのサッカーじゃなく、奇抜なメンバーじゃなく、あくまでいつもの新潟らしく戦い、その「らしさ」で完勝した。いやぁ、考えれば考えるほど大きいよ。
プレビューで「この試合はこれまで積み上げてきた自分たちのサッカーを信じ切った方が勝つ」と書いたけど、結論から言えば「全員がハードワークして守備をし、高い位置で奪って早く攻める」という点が最大の武器である両チームにあって、それを愚直に遂行した新潟と、それにポゼッションという要素を付加しようとする意識に苛まれた柏の差が出たゲームだったのだと思う。


立ち上がりから8月の連敗時の鈍重な動きとは見違えるように、全員が走りまくる新潟。そのアグレッシヴな意識は、開始2分に満たない時間でのバーを叩いたマルシオのシュートという形で具現化される。
その決定的なチャンスを皮切りに、果敢に柏ゴールに向かっていく新潟の選手たち。その流れを作っていたのは、まずなんと言っても前線からアグレッシヴに連動して機能するプレス。この試合は本当に選手一人一人が死ぬほど走って自分のエリアを責任を持って担当していた。そうだよ、これだろやっぱ。
こうなれば新潟は強い。このプレスの意識は「どこで、だれが、どうやって」ボールを奪うかって事をチーム全体、特に前線の選手たちにメッセージを送る事になって、ボールを奪った瞬間に何の迷いもなく前線へと走れるようになる。前半は特に縦への展開が多かったけど、あれはこの前線の選手たちの迷いのなさが後ろからボールを送る選手たちにも伝播したのであろう。まさにグッド・リズム!グッド・ウィードゥム!
特に、この試合でスタメン復帰した千葉ちゃん&勲の「今年のアルビレックス新潟ボランチのファーストチョイス」コンビが非常に卓越したプレーを見せたのが大きかった。千葉ちゃんは立ち上がりこそミスがいくつか続いたけど、センターバックの守備を嫌がって(そして恐らくポゼッションという題目が若干彼を迷わせた結果)、フランサが下がってくるとあっという間にプレスをしかけて彼のマジックパスを防じるし、山根と鎌田のコンビの間を縫ってグイグイと前へと攻めあがってくるので、そこで「中盤でのボールの奪い合い」でイニシアチヴを取れるようになる。
で、その恩恵を最も享受したのが両サイドハーフ、特に“皇帝”マルシオ・リシャルデス。彼のコンディションのよさは誰の目からも明らかだったけど、あれだけの素晴らしいプレーを可能にしたのはそれだけでなく、前述のようなボランチのセンターでの頑張りがあったからだと思う。というのも、大分戦や川崎戦で顕著だった「真ん中がヘタレやからワイがサイドを空けて真ん中に絞ってフォローしなくちゃならんのや!」な負担が軽減されていた事で、サイドハーフの二人がサイドバックとしっかり二枚でブロックを作り、攻撃に切り替わった瞬間に迷わず飛び出せる形が作れた。
結局、ウチが相手に最大の脅威を与えられるのは奪ってすぐに発動するカウンターなのだ。で、その強度を高めるには、いかに攻撃の切り替え時の「一歩目」を上手く切れるかなんだよね。そしてその「一歩目」の先陣を切るのって新潟の戦い方では高い確率でサイドハーフになるし、実際新潟最強の2本の槍である松下とマルシオってその「一歩目」の速さと的確さが何よりの魅力の選手。だからこの二人を上手く使えたのがこの試合の勝因であり、8月の連敗時とは決定的に違う所なんだよね。そして、これって今後の大きなヒントになると思うんだよな。
で、結局先制点は相手のCK崩れから。マルシオが見事なコントロールでカウンターの先陣を切ると、左に走り込んだうっちー→真ん中どフリーでアレ!3人でカウンター完遂!かっこよすぎ。
とまぁこんな感じで攻めまくる新潟。何度か訪れた決定機を外したものの、前半をほぼ圧倒的なペース終える事に成功した。
あ、そうそう。それとこの試合は2トップのポジショニングも凄く良かった。大分戦のような「何でお前ら隣に並んでるんだよ!!ww」って言うのがなくて、左右前後に程よい距離感を保つ。その結果しっかりボールが収まってキープできるんだよね。やればできるじゃーん。

しかしまあ柏は重症のようだ。やはりポゼッションの呪縛に縛られたのか、前半孤軍奮闘だった菅沼が新潟の守備陣のスキマに頑張って滑り込んでも、それに連動する選手が出てこない。ああやって一枚がつっこんだら、他の選手がゴールになだれ込んで来るのが、柏らしいサッカーだと思うんだけどね。前半のチャンスはフランサのFKくらいか。うーむ。


後半、柏はポポを投入してきたけど基本的な流れは同じ。相変わらず上手く守備組織を作って、虎視眈々とカウンターを狙い続ける。そんな中追加点は早々に生まれる。50分、これまたマルシオが一歩目で柏の選手をするりと交わしてカウンター開始。ボールが右の貴章に渡ると、実に貴章らしい大きなストライド小林祐三を交わすと、貴章が選択したのは右足のアウトサイドでのシュート。左足のキックでファーサイドへと飛ぶシュートを予測していた菅野をあざ笑うかのように、するりとニアをすり抜けてゴール!全てのプレーが実に貴章らしいゴールだった。唯一らしくなかったのはあのゴールパフォーマンスくらいかw
その後の約10分間は完全に新潟のワンサイドゲーム。攻撃の術を見つけられない柏からボールを奪うと、一気に縦へと攻め立てて次から次へと選手がゴールに飛び出していく。柏も左サイドバックの大谷をセンターにする3バックにするなど対応するものの、効果を生まず。まぁ、いつ3点目が生まれてもおかしくない状況だったんだけど、それが決まらないからこの得失点差なんだよな。。。。w
その後柏はアレックスや北島を投入。これでアクセントが出来て柏のポゼッションが上がるのだけど、新潟の守備陣もしっかりブロックを作って跳ね返すのでほとんど決定機らしい決定機も作らせないまま時間は進む。
唯一、どう考えてもイージーすぎる壁の作り方で(だって直接狙ってくるのが想定できたあのシーンで壁1枚って!!ありえん!!)FKから失点したけど、ピンチはそれくらいのもの。その後はアレ→アトム、マルシオ→慶治の万全の逃げ切り策も使って試合終了。実に新潟らしいいいゲームで完勝した。


もうね、これではっきりしたよね。そして確認すべきだよね。アルビレックス新潟は走って走って走って、そして走るチームなのだ。その意識がまず根底としてあって、その結果効果的な速攻や、サイドアタックや、ビルドアップが生まれるんだよね。
この試合の感覚、絶対に忘れないで欲しい。今年は残り10試合。最大で勝ち点をあと30上乗せできるんだ。ならば出来るだけ30に近づけることだけを考えよう。柏戦で思い出したこの感覚を失わなければ、俺たちは強いのだ。