DEEEERHOOOOF / Offend MaGGGGGGGGGGGGGIE

Offend Maggie

Offend Maggie

ほい!というわけで我が愛しのDeerhoofの新作「offend maggie」聴いたよ聴いたよー。これね、結論から言うと「ディアフーフ史上最もダークでプリミティヴなアルバム」って事だと思う。多分今までで一番隙間が多くて(といっても静かなアルバムって訳じゃないんだけど)、かつ全体を通してシンプルなモノトーンで構築されてる感じ。ああそうそう、まさに五木田智央の鉛筆のみのドローイングがフューチャーされた今回のジャケの通りだね。白と黒の世界でシンプルなんだけど、描かれてるのはムキムキマッチョで無骨で極めて強度も純度も高い音楽、という。すんばらしい。
全編を通しての感触はかの名盤「Runners Four」と同じベクトルだと思うのだけど、ランナーズ・フォーがグレッグ、サトミ、ジョン、クリスっていうこれまでのキャリアで最も長い間構成してきたメンツの集大成って事で、今までの色んなアルバムの要素を汲んだ物だとしたら、今回のオフェンド・マギーは、3人に減ったからこそ思いっきりマックとDTMソフトを駆使して、サンプリングからエフェクト処理まで好き勝手やり尽くしてディアフーフの「エレクトロニクス/ストレンジ・サイド」の一つの到達点となった前作「Friend Oppotunity」への反動という要素と、エドが加わって新たに4人になった事で「フラットな位置に戻った」っていう要素の2つが相まってこういう作品になったのだと思う。


それと今回の日本盤のライナーは54-71のメンバーが書いているんだけど、これが秀逸。要約すると「人と動物を分けるのは癖の多さ。そしてディアフーフは彼ら独自の癖をたくさんもっていて、いつでもそれが音楽に反映される。だから非常に人間らしいといえるのかもしれない」って事なんだ。これは、本当にこのアルバムでは顕著なんだよね。フラットな位置に戻って、凄くプリミティヴなディアフーフの何たるか、を表現したアルバムだからこそ浮き上がってくるディアフーフの癖。例えば時折マーチングドラムっぽい感触を見せるグレッグのドラムのオカズだとか、左右にパンニングされたギターのユニゾンとズレの浮き沈みだとか、サトミさんのヴォーカルのアクセントだとか。そして俺のようなディアフーフファンが心酔するのって結局そういう彼ららしい「癖」なんだよね。それが随所に見られるってのは本当に素晴らしい事だと思う。そういえば今回日本語詞が多いのはサトミさんのプリミティヴな部分が出た、って事なのかもね。


しかし昨日買ってから聴きまくってるのでもう6周くらいしてるけど、今回は今までで一番噛めば噛むほど味がじゅんじゅわー!なアルバムかもしれないな。しかもその味が凄く芳醇で奥深い。まるで昆布のような。しかも利尻昆布な。味は比較的薄いけど、上品で済んだ味わいが楽しめるという。特に「Jagged Fruit」や「Family of Others」なんかはホント聴けば聴くほどじゅわじゅわとダシが出てきて、口の中がディアフーフ昆布から染み出るうまみ成分でいっぱい。
かつて「ミルクマン」の日本でのキャッチコピーは「このバナナが脇に刺さったままなんだ。オーマイラブ!」 というものだったけど、今回は「凄い勢いでグルタミン酸が染み出ているんだ。オーマイコンブ!」って感じだなww



ああ、来日が楽しみ!