【レビュー】08年第31節 鹿島戦@鹿スタ

鹿島アントラーズ 0-0 アルビレックス新潟
スタッツ
今回、土曜日から殆ど食わずに日曜の鹿島スタジアムに臨んだのである。せっかくうまいものが色々あるんだから極限の空腹状態で挑んでやるぜーってね。だからモツ煮を食い(多分6種類くらい食ってるww)、ハマグリカレーを食い、豚串を食い、ハム焼きを食い、グリーンカレーを食い、つみれ汁を食い、牛スジの煮込みを食い、浴びるようにビールを飲んだのだ。特に今回はじめて食った牛スジの煮込みが死ぬほどうまくてびびった。俺が居酒屋を開店する事になったら、あの売店の人に頼み込んでそのレシピを聞きだして看板メニューにするであろう。
だからお腹いっぱいな状態で声出せるのか、ってのが懸念されたんだけど、試合が始まったらもうそんな心配ケロリンチョ。もうげっぷが出る余裕さえ許さないくらいの猛烈に熱い試合展開。頻発する局地戦の緊張感とか、揺れ動く試合展開の中でチームがアジャストしながら構築する守備組織の見事さとか、互いに得意とする攻撃の形を繰り出そうと腐心する姿勢とか、もう見所たくさん。そんなもんゲップしてる暇なんてねーよ!その熱い試合展開に呼応するように声も出るっつーの。



試合の立ち上がり、いきなり新潟がチャンスを迎える。この試合を通してずっと狙い目であり続けたサイドバックの裏を、マルシオがうまく抜けてクロス→貴章のシュートはぼよーんと枠外。あれ現地で見てる分にはずいぶん淡白に外したので「まあこんなもんか」と思ったんだけど、録画で見たらすっげーチャンスだったんじゃねーか!貴章決めてくれ〜〜〜。てかあれがいきなり決まってて0-1のまま相手の猛攻に耐え忍ぶ・・・・とかそういう展開だったらもっと面白い試合になっただろうな。マゾヒスティックな人間揃いの新潟サポにはたまらん展開www
その大チャンスの後、前半15分くらいまでは完全な鹿島ペース。次第に鹿島のラインが上がってくると、全体がコンパクトになった中でマルキーニョスのテクニカルなポストプレーが効用を発揮してきて(ってかマルキ超上手い。優良外人過ぎるわ)、それに呼応するように2列目以降の選手もゴールに飛び込んでくる。特に両サイドバックダニーロが新潟のバイタルエリアにがんがん入り込んでくるプレーはとってもいやらしくて、その結果DFラインが割れた一瞬の隙間を狙ってマルキーニョスがミドル→ポスト強襲、などなどピンチを迎えることになる。ってかマルキ超上手すぎ。優良外人過ぎるわホント。
それに加えて鹿島のボランチ2枚とDFの屈強さ、特に岩政のべらぼうな空中戦の高さを前に、前線へのボールを跳ね返されてボールを前に運べないのもあって、その時間帯(前半15分くらいまで)はちょっとしたハーフコートマッチ。ってか岩政高すぎて笑ってしまった。単純にロングボールを競り合う空中戦全部勝ってたよな。マジで100%の勝率。ただ、それがことごとくラインを割ってウチのスローインに繋がってたのには救われたけど。あれが鹿島の中盤への優良なパスになるシーンがもっと多かったら、結果は変わっていたかもしれない。
しかしそんな流れに対して慌てない新潟。まず、ずっと嫌らしい動きをしてたダニーロに千葉ちゃんがほぼマンマークみたいな形でつくようになると、ダニーロが前を向いてボールを受けるシーンが激減。これによって鹿島の攻勢を形作ってた要素をまず一つ欠落させることに成功。で、ガンガン上がってくる鹿島の両サイドバック(内田アツトと新井場)には松下・ヒロシ、マルシオ・うっちーのコンビが時に中にスライドしてフィルターをかけ、その後はこの日バイタルエリアで渋くも実に的確にすんばらしい仕事をしていた勲が潰す。それに呼応するようにセンターバックも2トップに前を向かせず、絶好調永田さんは時にボールを受けようとする相手の前に回りこんでボールを掻っ攫ったり。いやー、ホント最近の永田さんは素晴らしい。
で、そんな守備のやり方がはっきりすると、その開始から約15分間の鹿島の猛攻は影を潜めるようになる。結局、この試合で極端に相手にペースを握られて非常ランプがワンワン鳴り響いてた時間ってここだけだったと思う。
すると今度は最初の15分とは違って、守備が安定したことにより中盤以降の2トップへのフォロー回るタイミングが早くなったこともあって、新潟がアレと貴章へ当てるボールをきっかけに、速攻を繰り出すプレーがやっと生まれ始める。ただ前半はマルシオがちょいブレーキ気味だったこともあり、速攻から貴章の個人技でDFを抜けてシュート!とか、速攻に行きながらもちょっとディレイさせられた後でうっちーが上がってきてクロス、とか以外の攻め手はあんまなく前半は終了。守備面では一方のサイドでキープした後で一気に逆サイドに展開する鹿島の攻撃に若干手を焼いたものの(特に鹿島の左から内田アツトの待つ右サイドへの展開)、そこはヒロシと松下と永田さんが実にクレバーな対応を見せて相手の攻め手をしっかりぶっ潰す。そういう守備のクオリティの高さが目立った前半だった。


後半も基本的な流れは同じ。相手の攻撃をしっかりそれぞれが責任持って潰し、そこから速攻につなげていく。で、後半は前半に比べてこれまで守備に専念してた選手たち=ヒロシやうっちーや千葉ちゃんが前線へと顔を出すようになる。特にこの試合で出色だったのは千葉ちゃんだろう。後半の機を見て前に絡むプレーは間違いなく鹿島の守備を脅かし、新潟のいいリズムを作る一因となっていた。てか、新潟のボランチがバイタルに入り込んで「ほーれミドルも打てるぞー、パスもできるぞー、ほれほれどうする〜?(結局シュートは打たなかったけどww打っていいと思うんだけどなぁ)」ってプレーをする事は残念ながら今年殆ど見られなかったけど、まさかそれがアウェー鹿島戦で見られるとは。
で、こうやって前線に絡む選手が増えてきたことで、前半は真ん中でボールを受けて速攻につなげる仕事ばかりしてきたアレや貴章が、サイドに流れるといった選択肢も生まれてくると一気にサイドの厚みが増す。アレ、松下、ヒロシのパス交換で左に基点を作れば、右ではマルシオ、貴章、うっちーで基点を作って・・・といった具合。プレビューでも書いたけど、やっぱサイドバック周辺のスペースが空くんだよな、鹿島って。それによって裏に抜けたり、クロスを上げたりは出来たのだけど、やっぱり中で構える岩政や青木といった選手の単純なぶつかり合いの勝負の強さはさすがで、どうしてもシュートにまで持ち込めない。
なので今日も相変わらず「そこまではイイんだけどその後が・・・」っていう攻撃になってしまったのは事実だろう。だけど、ボランチがバイタルに入ってくることで生まれる攻撃のダイナミズムってのは新しい要素だと思う。そういやアレが左サイドに流れて、それを千葉ちゃんがフォローしたところで、マルシオが走り出したのでそれに呼応するように千葉ちゃんがライナー性のストレートなクロスを入れて、それをセンターバックが頭で何とかはじいてCKゲット、ってシーンがあったけど、ああいう今までにないトライも前線の4枚+サイドバックだけでなく、ボランチが絡んだからこそ生まれたプレーだよね。やっぱ今新潟がブラッシュアップすべきはサイド攻撃なのは間違いないけど、もっと色んな選手や動きが絡んだプレーを主眼に置いて取り組んでほしいと思う。そうすれば必ず道は開けるよ。てか事故でもなんでもいいから点入れ!!1点入れば絶対に流れ変わるよ。今までの滞留がぶわーって出てくるって。あー点だ!点!その1点をくれ!神様!人事尽くしてるじゃん!天命をくれ!!!もう待ってられないよ!
ただこうやって攻撃があと一歩の惜しいところで逡巡してしまっていても、絶対に集中を切らさなかった守備こそが、この試合をファインゲームたらしめていたといえるだろうね。後半も永田さんと千代の二人はコウロキとマルキに早めのチェックを繰り返して仕事をさせなかったし、千代が中盤でボールを突っつくダニーロに引っ張られてコウロキに裏取られて走られるというミスから生まれた76分のこの試合一番のピンチも北野が超グッドセーブで守りきる。

そして試合も残り10分を切ったあたりから目に見えて全体の運動量が落ちてきて、それまで奪ったら全体がぶわーっと走っていた新潟の前線もその1歩が出なくなる。遅攻ではしっかりみんないい動きをしてたけどね。それを見て淳さんはアレ→河原で、河原を右サイドハーフ、トップは貴章とマルシオという「まだ点を取る意思は十分あるけど、守備も考えてる」な交代策を見せる。まあ、相手も運動量が落ちてきたのでポロポロ生まれるサイドのスペースを河原に突かせようって意志もあったのだろうけど。
ただ攻撃面ではそれが奏功することなく時間は進み、最後ロスタイムは鹿島がかるーくパワープレー的な攻撃を仕掛けてきたのを見て、慶治をロングボール跳ね返しマシーンとしてマルシオに代えて投入でポイント1を確保しにいく。そうだよね、この試合に向けて新潟がしてきた準備の質を考えれば、勝ち点0はまったく妥当ではない。理想は3だけど、最低限の1はもらっておかないとね。で、最後はぐちゃぐちゃになったけど、失点することなく試合終了。0-0で勝ち点1。



とにかく重要なのは次の大宮戦だ。このチームはずっと溜め込んできた色んなものを吐き出す場所を探している。それを吐き出してしまえば、もうこのチームは何の問題もない。そのために必要なのは得点だ。その1得点だ。だったらそれをホームスワンでやってしまえばいい。それが大宮相手なんて、なかなかオツじゃないか。怪我人も戻ってきたし、守備のクオリティはとてもいい。もう少しだ。そのもう少しを手に入れるために、大宮を踏み台にしてしまえばいい。
ぜってー勝つ!!!