【レビュー】09年第1節 FC東京戦@味スタ

FC東京 1-4 アルビレックス新潟
スタッツ
This is changed Albirex!!
4-3-3システムという新しい血の導入。新しい戦い方。新しい選手たち。そしてこれまで同様の淳さんの絶対にぶれることのない哲学。つまり「チェンジと継続の融合」。それが一定の成果を上げた試合なのは間違いないと思う。
ただし、まだ1試合。34試合中の1試合が終わったに過ぎない。今日みたいなオープンな展開になれば強さを発揮するのはわかった。でもまだまだ色んなシチュエーションで戦わなくてはいけない。それを観てからじゃないと。まだまだこのチームの評価・判断は早計だろうね。
んで今年、俺はちょっとスパルタに行くことにした。このチームはいい時はいいけど、連敗しだすと止まらないっていう悪癖がこれまであった。そうならないためには、いい時でも悪いときでも、冷静に現状を観て、求めていくって事が必要だと思う。間違いなく、今年のチームは思ってる以上にやってくれる。大多数が想像する程度の可能性を、軽く上回ってしまうポテンシャルを持ってる。
だとすれば、もっともっと要求しよう。まだ浮かれる時期でもなければ、もちろん悲観する時期でもない。このチームはやるよ。絶対やるよ。それに乗り遅れないことだよ。そして求めることだよ。大なり小なりのチェンジはもう進んでるけど、目指すべきチェンジは未踏の地へ到達するって事だと思う。ACLでも、優勝でも、ナビスコでも、天皇杯でも何でもいい。今まで見たことのない所まで行こう。それを求めよう。



この試合で俺がまず一番注目してたのは、4-3-3での守備はどうやるのか?って事。
見てみると、守備時にはまず4バックがいて、中盤はウイング2枚(貴章とペドロ)がアンカー(勲)の横くらいまで下がってきて、サイドバックの前で守備をする。で、センターハーフ2枚(松下とマルシオ)は下がってきたウイングよりもちょっと前の位置を取って、相手の2列目・3列目にプレスをかける。で、残ったトップ1枚(オオシ)も動きながらプレスをかけてく、って形。
なので守備をしてる時の今年の新潟を、無理やりシステム的に表記すると4-3-2-1とか、4-1-4-1みたいな感じ。
ここで一番目を引いたのはやっぱりペドロと貴章の守備時のポジションの低さ。あの位置だと殆ど左右に広がった3ボランチみたいだったもんな。んで、これは後でもちょっと書くと思うけど、貴章が右サイドで起用されれば、ウイングでありサイドハーフでありサイドバックであるのは想定済みだったんだけどw(貴章ってやっぱバケモノだ。何だあの運動量は!今年も新潟の戦術の根幹を担う選手だね)、良い意味で想定外だったのはペドロの守備での貢献。
ぶっちゃけ、俺はあんなに献身的に守れる選手だと思ってなかったwwごめんペドロwwしかもそっから前を向けばとんでもないドリブル突破かましてくれるし、運動量もあるし、冷静なフィニッシュっていうマタドールとしての要素も兼ね備えてる。やべーなペドロ。すげーぞペドロ。てかペドロいい子だよペドロ。だって試合後のインタビューで「キャンプで怪我してた時期に日暮さんにお世話になった。彼にこのゴールを捧げたい」なんて言っちゃうんだもの!!やべーいい子だペドロ。すげーぞペドロ。


話がそれたけど、この守備って試合後の帰り道に考えてて分かったんだけど、基本はこれまでの4-4-2と基本的な考えは同じなんだよね。ウイングが下がってサイドバックの前で2段構えの守備をするのは4-4-2のサイドハーフの仕事。サイドハーフ2枚が前目の位置を取って相手の2列目、3列目にプレスをかけるのは、4-4-2の2トップと前目の位置を取る方のボランチの仕事。やるべき守備のポイントは同じで、やる人とその人のポジションがちょっと違うだけなんだよね。これこそまさにチェンジと継続の融合。なんか、ハビエル・イルレタが昔言ってた「4-2-3-1とかいろんなシステムだって言っても、結局はアシンメトリーな4-4-2に過ぎない」ってやつを思い出した。



試合に話を戻すと、まず立ち上がりはどちらかと言えば新潟ペース。じっくりと相手の出方を窺いながらも、前の3トップに向けて早めにボールを供給して縦への意識を尖らせ、マルシオも調子が良さそう。でもボールを受けるオオシがちょこちょことファウルを取られるシーンが結構あって、リズムを作り出すには至らない。たぶん、この試合で高山主審は後ろからぶつかっていくプレーや手を使うプレーを厳しく取ってた印象があるけど、これって今年のJリーグの判定基準なんだろうね。そこにオオシがまだアジャストできてなかったってのもあるだろう。
あーあとそういえばスカパーの録画でも言ってたけど、今年って遅延行為を厳しく取るみたいだね。マルシオが交代する時バック側から出されてたし、さっき鹿島×浦和観てたらダニーロが交代する時もゴールラインから出されてたしね。


で、そうなると段々リズムは東京へ。その原因は新潟の守備があんまり機能してなくて、いい形でボールを奪えなかったからだと思う。これはいくつか理由があるけど、まず一つは、これはもう言うまでもないよねw、ジウトンのところで梶山と長友に起点を作られちゃってたって点。てかジウトン、ハーフウェーライン付近でチャレンジングな切り返しや縦パス出したら、それほとんどカットされてカウンター食らっちゃうんだもの!!
で、この試合の東京って長友と徳永の位置を逆にして、新潟の左サイドに長友をぶつけてきたんだけど、これってジウトンとペドロのサイドに守備的な欠陥があるのでは?って意図からやってきたんだと思うんだよね。まあ、確かに前半はそうだったんだけどw、ここで頑張ったのが左サイドを主戦場とするペドロ、松下、そして永田充大先生。
特に前半の永田さんはまさに神。ジウトンが上がったり、相手と対峙する時は、マークの近藤や赤嶺を見つつも、ジウトンのカバーの意識を怠ることなく、ピンチと見るやすっ飛んでってしっかりフォロー&クリア。いやー素晴らしい。これあれだね、スラムダンクで言えば山王戦で、赤木をマークしながらも河田弟のフォローをしてた河田兄だね。
つーか永田さん完全にジウトンの保護者だったよね。永田さんってこれまで孤高のセンターバックって感じだったけど、ここに来て保護者になっちゃったよ。何という成長。あれだな、いつの間にかパパキャラになった的場浩司みたいなもんだね。これもまさにチェンジって所だろう。
ま、この試合でもハッキリ分かったけど、今年も千代反田充永田充センターバック二人は新潟の守備の心臓だね。ここがぶれない限り、新潟の守備は瓦解することはないはず。二人とも元気でシーズン乗り切ってくれい。

それと、センターの勲と前のマルシオ・松下の距離感もどうも中途半端だった。そのため、セカンドボールが取れずに、攻撃に転じることができない、ってのが続いた。
この試合、後半戦に一気に新潟ペースになるんだけど、それって淳さんがハーフタイムに一部の選手のポジションを修正したらしいからだと思うんだ。恐らく、それってここの3人、そしてジウトンとペドロのポジションなんだろうね。


でも、そのきつい時間を我慢しきって、ようやく前半のロスタイムまでこぎつける。OK、あとはしっかり前半を失点ゼロで乗り切るぞ、って思ってたところで、ジウトンからペドロにスイッチ→ペドロ鬼ドリブル→パスでジウトンシュ−ト!っていう前半最大のチャンスここに来ていきなり到来。
もうこれを観てここぞとばかりに湧き上がる怒涛のゲットゴールの声援。俺も「これで入ったら発狂しちゃうなww」なんて思いながら絶叫してたら、松下のキックはドンピシャでジウトンの頭に通って先制ゴール!!!!発狂wwwお陰で跳ね過ぎて足底腱膜炎悪化したぞ!!足いてーよ!!
そしてそのまんま前半終了。ジウトンおもしろすぎ。前半最大のアキレス腱が、前半最大の歓喜を持ってきやがったww



そして怒涛の後半。
見違えるように流れがスムーズになる新潟。その要因は多分中盤3人の位置が整理されて、いい形でボールを奪えて、そっから一気にスピードアップする形が生まれてきたこと、そしてそれによってジウトンでのサイドで起点を作る余裕がFC東京からなくなったって事だと思う。特にこっからの勲は凄くいい仕事。最後の方でボール掻っ攫われて自分の責任でイエロー覚悟で止めに行った所以外はほぼパーフェクト。いいところで奪い、いいところに繋ぐっていう基本ができればやっぱこのシステムは生き生きするね。


そんな中、プレーが切れた後にぽこーんと蹴られたボールのセカンドボールを早く縦に繋がれて、それを受けた近藤がバイタルエリアのスペースをうまく使ってボールを運びミドルドカン!!で失点。これは近藤見事。だけど、セカンドボールを取られたときにバイタルのケアをどうするか、っていう大きな大きな課題が露見した失点だと思う。これは是非とも修正と確認を。


しかし、そのちょっと嫌な流れを、その直後のCKが払拭することになる。松下のキックに競り合ったボールがペドロの前にこぼれてドカン!で勝ち越し成功。最高のタイミング。
しかしこの試合の東京のセットプレーの守備も、権田の不安定さもあるけど、今年のウチのセットプレーは凶悪かもしれないね。だって、千代が183、永田さん184(なんか1センチ伸びたよねwwここでも成長かww)、ジウトン184、オオシ184、貴章185、ペドロ182。これがでーんと並んでたらそりゃ相手は怖いだろう。あと今年も松下のキックは出色。去年の後半の精度がまたブラッシュアップされた印象さえ受ける。いいよいいよわんちゃん。


その後はもう完全なChanged Albirexのお披露目の時間。勲やバック陣、貴章、ペドロがボールを奪えば、一気に縦にスピードアップ。これまで窮屈そうだった3トップとセンターハーフ2枚が動き回り、相手のマークを引き剥がし、組織を壊す。その結果生まれたスペースにオオシのワンタッチポストプレー、マルシオのパス、そして後ろからは永田さんのセクシードスケベフィードといった多彩なパスが供給され、そこに飛び出すのは貴章であり、ペドロであり、マルシオであり、松下であり、そしてジウトン!であるというw
ジウトンの壮絶な長距離ドリブルからのクロスをマルシオ宇宙開発、貴章が永田さんのフィードに凄いスピード追いついて左サイドでクニョクニュっとうなぎシザース2発から意外性のあるシュート、オオシが縦パスをヒール気味にワンタッチポストプレーで流したところに貴章が走って徳永の裏を抜いてアウトサイドシュート、カウンターから持ち出した松下のミドル・・・とまあやりたい放題。結局、去年1年通して見られなかったこんな形が、開幕戦でいきなりお披露目。見事。
まあ、これは新潟が一番得意なオープンな打ち合いに相手を誘い込んで、その罠にまんまと東京がずっぷりハマったってのもあるけどね。その辺の試合巧者っぷりが上回ったのがこの試合の一番の勝因だろう。



これを見て城福カントクも動く。金沢→鈴木達也、近藤→カボレ、羽生→ブルーノ・クアドロス
しかし、ここで効果的だったといえるのは鈴木達也くらいだろう。だってジウトン鈴木達也に仕掛けられた時、ほぼ全て抜かれてたもんなwwやべージウトンwww松尾の復帰はいつですか?と、ヒロシ使いませんか?と、それでももう少しジウトン見てみたいっす、の混沌!!
という訳で、その交代でも流れは変わらず新潟がポジションチェンジとスピードを活かしたアタックを繰り返す。すると明らかに疲弊してくる東京の守備陣。この辺もあったのだろう。平松がオオシにプレゼントパスを献上して、それを受けたオオシは右に流れるマルシオの囮というアシストもあって、茂庭に対してワンフェイント→左足でそこしかないコースへシュートドカン!でバースデイゴール、1-3。これぞマタドール!これぞボンバー!オオシすげーぜ。
この試合、前述の通りオープンな展開で、貴章、ペドロ、松下、マルシオといったスピードと走力を最大の武器とする選手たちが走りまくったのが、1-4というスコアとして現れたと思うんだけど、これってある意味では去年でも出来てた所なんだよね。ただし、このチームがもっと上に行くためには、クローズな展開になった時でも勝てるかどうかって所が重要になる。
その時こそ、オオシが必要になる。たとえば引いてくる相手に対して、トップがここぞのタイミングで中盤に降りてきてボールを受けることでDFを一枚引き出して穴を作らせるとか、引いてるならば高さで勝負して相手が引くことの恐怖を植え付けさせるためにPA内の空中戦で勝負させるとか、そういう時には絶対にオオシが必要になる。まだまだ。まだまだオオシの真価は見せてもらってないよ。いや、このチームの真価だね。このチームの完成形が10だとすればまだ1にさえ達してないんだ。


で、それでも手を緩めない新潟。セットプレー、カウンター、サイドアタックとガンガン責め立てる。そして72分。センターで勲とうっちー(なんとこの時貴章はほぼサイドバックの位置にいた!)がブルーノからボールを奪うと、そのボールを受けたマルシオの勝負パスから抜け出したペドロが冷静に流し込んで1-4。勝負あり。完璧。


その後は、オオシ→ヨンチョルでセンターペドロ、右貴章・左ヨンチョルの布陣のテストもやって、クローザーとして松下→千葉ちゃんで守備を固め、最後はゴートクをJ1デビューさせる余裕。最後の方に連続でCK取られて押しこまれたものの、大事には至らず試合終了。




とりあえず、明らかに刷新した姿を見せてくれた。でもまだまだ。全然まだまだ見せてもらってないよ、このチームの持ってる可能性を。
次はおあつらえ向きに最強の王者、鹿島アントラーズとの試合だ。ジウトン内田篤人と対峙するのか?松尾やヒロシが入るのか?マルキやコウロキをはじめとする恐ろしい攻撃陣に対してどういう守備をする?あの鋭いカウンター対策は?そしてあの守備を新潟の攻撃陣は破れるのか?
求めよう。このチームの可能性の提示を求めよう。そして勝利を求めよう。俺たちが立ち止まってる暇なんてないよ。立ち止まってたらあっという間にチームに置いてかれちゃうぜ。