【プレビュー】09年第3節 大分戦@九石ドーム

これまで対戦した2チームは4-4-2のシステム。そして基本的には自分たちの特長を押し出すサッカーをしてきて、オープンな展開での戦いを挑んできた。そして新潟はそれに勝った。ここまではOK。
しかしこの大分戦は、3-5-2のシステム。そして自分たちの特長を出すというよりも相手の長所を研究してぶっ潰すことを主眼とするチームであり、恐らく相当にクローズな展開に持ち込ませようとするだろう。そして何より、シャムスカが率いる大分にはまだ一度も勝っていない。俺の印象として06年で最も完敗だと思ったのはアウェー大分戦だし、07年の最終節も完敗に近いゲームだったし、08年のホーム戦も0-1というスコアながら限りなく完敗に近い負け方だった、・・・と負ける時は「完敗」になっちゃう嫌な印象がある。
しかしだからこそ、このゲームの価値は大きい。明らかに変わりつつあるアルビレックス新潟というチームが、その刷新の作業をさらに推し進められるか否かを試されるゲームだ。この試合の勝利は本当に大きい。どんどん強固になってるチームの自信と勢いを何倍にも膨らませてくれる勝利になるはずだ。もう、勝ちに行くしかないよね。



さて、大分と言えばなにはともあれ壮絶な堅守。大体さ、07年の失点が62だったのに、08年が24(!!!)ってなんだよそれwwマイナス38だぜ38!!すげーなおいww
で、去年の堅守って3バック+ブラジリアンダブルボランチの5人で構築する守備ブロックの充実ってのももちろんあるんだけど、それだけじゃ24という驚異的な数字は叩き出せなかったと思う。んでこれは、俺が去年の大分の失点数の少なさを見て「なんでこいつらこんなに失点しねーんだろう」って思いながら、前述の完敗だったホーム大分戦観戦してて分かったんだけど、彼らの失点の少なさってのは「守備が攻撃時からもう始まってる」って事なんだと思うんだ。
要は大分の攻撃ってのは「相手の守備陣の誰かを手持無沙汰に余らせる様に攻撃することで、いい形でボール奪取してカウンターに繋げさせない」ってのを主眼としてるんだよね。Jリーグのトレンドって大雑把に言えば「ハイプレッシャーからいい形で奪って速く攻める」って事だと思う。多くのチームがその形を標榜してるからね。シャムスカはそれを冷静に分析して、こういうサッカーを導き出したんだろう。しかもそれが4-4-2で中盤の数で3-5-2が一枚有利に立てればなおさら。
で、これってまさに去年の新潟なんだよねww今考えればその術中にガッツリはまるのも当然だったと思うんだよ。んじゃ以下、これを去年の反省も含めて前述のホーム大分戦(0-1で負け)を例にして順番に説明していこうと思います。


1.あの試合でまず顕著だったのはトップの森島とウェズレイのうちの一枚が、新潟のセンターバックのどちらかとマッチアップすると同時に、もう一枚のトップは新潟のセンターバックとのマッチアップを避けて、サイドに流れたり中盤に下がったりして曖昧な動きを繰り返す。
2.で、トップ下の金崎もその「曖昧なトップ」と同様の役割で、一緒にふらふらといろんなところに顔を出す。間違っても相手のセンターバックとマッチアップして、ボールを失ったりって事をしない。つまりここで、センターバックの一人が「手持無沙汰で余る」状況が出来る。(あの試合では確か永田さんがよく余ってた気がする)で、その二人を捕まえるのは大抵サイドバックボランチの仕事になる。
3.また大分のウイングバックはほぼ固定で必ずサイドに位置する。中に絞ったりって仕事はほぼ放棄。それで新潟のサイドバックサイドハーフの中間あたりの、すっげー微妙なポジションを取ることを常に心がける。サイドへの個人突破なんて考えない。その結果、サイドバックが行っていいのかどうか、ってのが曖昧になる。だって前述のトップと金崎の動きも見なくちゃいけないんだからね。その結果、サイドバックが上がって反撃の体勢を取ることができない。
4.じゃあサイドハーフは何やってるんだって話になると、その大分のウイングバックに対してプレスに行くと同時に、真ん中で虎視眈々と前を向こうとしてるボランチ2枚=ホベルトエジミウソンも気になってしまう。本来、この2枚は新潟のボランチ2人=勲と千葉ちゃんが見なくちゃいけないんだけど、前述の通り金崎とトップの一枚が下がってくるのでそれを見なくちゃいけないんで、ホベルトエジミウソンへの注意が散漫にどうしてもなってしまう。その結果、新潟のサイドハーフが中に絞らなくちゃいけない。だけどそうすると、3.の問題の通り、サイドバックへの負担が増えてサイドバックが起点になる新潟らしい攻撃の形が死ぬ。
5.そもそもこれは新潟の中盤が4人、大分の中盤が5人、って数的不利で生まれるわけだから貴章が下がって1枚分の不利を補おうとする。ていうか新潟のトップの一人が相手のボランチにプレスかけるのって淳さんが就任した当時から変わらない約束事だしね。だけど、そうやって貴章が下がって守備するのはいいものの、トップ一人のプレスで熟練のボランチ2枚がボールロストするわけもなく、単純に貴章が中盤に吸い込まれて、カウンターの第一陣としての機能が果たせなくなる。
6.とまあ、こうやって八方塞がりで「死ぬほど守備がやり辛い」状態になってるので、仮に相手からボールが奪ったとしてもいい形ではほとんど奪うことができない。だけど、守備から攻撃の切り替えが一番の武器である新潟らしさを出すために、一気に縦への展開を出す。でも前で受けるのがアレッサンドロか中盤から戻った貴章しかいない。で、そのトップにボールが入った時点で、予定通り待ってましたとばかりに、ほぼ攻撃参加を捨ててしっかり後ろでブロックを作ってる3バックがそのボールを「はいどうも御苦労さ〜ん(・∀・)ゞ」ってあっけなくボールを刈り取ることに成功する。
で、1.に戻る。の繰り返し。
仮に、そこでボールを奪った後で速攻ではなく遅攻に切り替えたとしても、最初からガッチリ守ってる3バックと、あっという間に帰陣するボランチ2枚とウイングバック2枚の7人でスペース埋められて守られちゃうので、全然効果的な攻撃が出来ない。



っていう流れなんだよね。すげー分かりにくいと思うけどww
こうやって大分はその堅守を作ってきたんだと思うんだよね。シャムスカマジックの正体ってこれなんじゃないかと。だから大分がシーズン通してあんまり点が獲れなかったのも(大分の08年の得点はたったの「33」でリーグワースト2位。え?最下位どこかって?知らねーよwwwww)当然なんだよね。だってこの「守備のための攻撃」って積極的に得点を獲るって視点から見れば全く有効じゃないし。でもそうやって相手のバランスを崩させて攻撃を殺し、その結果生まれる歪な部分をピンポイントで突いて1点奪って僅差で競り勝つ。これが08年の大分の躍進の土台だったんだよね。



話が長くなったけど、じゃあ今回はどうすればいいのか?
それは守備時には4-5-1になる今の新潟の4-3-3のシステムを最大限に活かしちゃえばいいんだよね。去年みたいに守備時に曖昧な役割になっちゃうのを防がなくちゃいけないからね。このシステムだと、まず大分のボランチ2枚にはマルシオと松下の二人がガチで対峙、ウイングバックにはウイングの貴章とペドロがガチで対峙、トップ下の金崎にはアンカーの勲がガチで対峙、っていう中盤5人対5人のガチの対峙という構図が出来る。だからそれぞれ対面する選手に対してしっかりと守備が出来れば、それつまり狙い通りのボール奪取ポイントでボールを奪うことが出来るんだから、ここ2戦で見せたような「奪ってからの縦への素早い攻撃」という、今の新潟最強の凶器が牙を剥くことになるはず。
それにその中盤の戦いでしっかり勝てれば、後は大分の2トップに対して新潟の4バックで対応すればいいんだから、去年は全く出せなかった「サイドバックが高い位置まで張り出して攻撃に参加する」っていう新潟らしい形も期待できるしね。
もちろん、サッカーは数の計算ごっこじゃないので、そんな分かりやすい対峙だけじゃないシーンも大量にあるだろうけど、根本的な発想として「大分の堅守を破るためにはまず守備」ってのはブレずに戦いたい。
だって、開幕2連勝の内容を見れば、明らかに今の新潟の躍進の原動力になってるのは守備だからね。たぶん、この試合って「堅守大分 VS 攻撃力の新潟」みたいな見方されると思うんだけど、そうじゃなくて「いい攻撃をする為の守備の質を競い合う」試合だと思う。


あ、あと大分の攻撃に対する守備の話で言うと、今年の大分の形として去年よりはっきりと全面に押し出してるのは、大分の2トップが横に流れた時に金崎ムーが飛び出してくる回数と積極性だと思う。実際、名古屋はこれを全くケアできてなくて、金崎に何度も危険なシーンを作られたからね。それを完璧にシャットアウトした楢崎がいなかったら名古屋の勝利はなかったと思うし。
なので、これは勲とセンターバックを中心に相当にケアしなくちゃいけないと思う。勲が金崎について行くのか、センターバックがついて行くのかっていうはっきりとした守備が求められる。今の大分の攻撃で最も得点の予感がするのはこの金崎の飛び出しと、それに付随する二次攻撃なので、例えば金崎が飛び出すのに勲が付いて行って守備するシーンならば、センターバックなりセンターハーフなりがバイタルエリアのカバーに入らなくちゃいけない。4-3-3のシステムでは、アンカーがバイタルエリアから離れてる時間帯ってのは一番危険な状態だからね。ここがうまく回らなければ、失点の回避やいい攻撃なんて期待できないので、ここだけは絶対に集中してほしい。



あとそうやっていい守備でボールを奪って攻撃に切り替わった時に、頑張らなくてはいけないのはオオシだろう。前述の通り、大分の3バックは上がることをせずにしっかりと引いて守備ブロックを常に作って、入ってきたボールをまず早めのチェックで跳ね返すのを第一の仕事にしている。となると、ここでボールを刈られてしまうと、奪ってからの素早い攻撃というタスクが使えなくなってしまう。なので、ここはしっかりとキープしてタメを作ってほしい。逆に言うと、オオシがここでしっかりとしたキープを見せることが出来れば、新潟の攻撃の殺傷能力は一気に増すことになる。頼むぜオオシ〜!!期待してるぜ〜〜〜〜!!!
それに、この試合では今シーズン初めて「ガッチリ引いて守備をする相手を切り崩す」っていうタスクに挑むことになるかもしれない。となると、やっぱりオオシの出番だ。大分のセンターバックを引き連れて中盤に降りてきてボールを受けて、その分のスペースをうまく使わせるとか、引いてきた相手に空中戦を挑むとか、そういう時には必ずオオシの力が必要になる。さあ、オオシの真価の見せどころだぜ!
あと言うまでもなくセットプレーは相手が引いてくる云々は関係なく得点のチャンス。この試合でもすごく大きな意味を持つだろう。どうやらセットプレーでいろいろできる新潟を、この試合でも見せてほしい。




とまあ、これはすごく重要な一戦。この試合の勝利は、今の勢いの推進力を一気に上げることになるはずだ。チェンジしたアルビレックス新潟が今後目指すべき高みに対しての、大きな助走になり得るはずだ。大分倒してもっともっと上目指すぞおらあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!