【レビュー】09年第3節 大分戦@九石ドーム

大分トリニータ 0-0 アルビレックス新潟
スタッツ
はあああ疲れた〜〜!ほんっとに濃くて濃くて観てて疲れる試合だった。タイムアップと共にズダっと倒れこんじゃうような試合だった。テレビで観ててこれなんだから現地の方々は相当だったことだろう。お疲れっした。
しかし間違いなく好ゲームだったと言えるだろうね。互いの守備のクオリティの高さとチームの完成度の高さが高いレベルで拮抗したゲームだった。そしてこの試合の成果と課題は、間違いなく今後の新潟の財産になると思う。結論から言えば、このチームの土台はやっぱり守備であり、そしてクローズな展開に持ち込まれた時の戦い方に大きな課題をまだまだ残しているって事。



試合の立ち上がりは新潟ペース。プレビューでも書いた通り、ウイングはウイングバックに、そしてセンターハーフ2枚は相手のボランチにガチで対峙することが出来る形だったんだけど、その中でもペドロとマルシオが相手の中盤でのビルドアップのボールをカットするプレーを連発することが出来て、そこからマルシオとペドロのコンビで切り崩し、そのタメを使ってサイドバックの押し上げを引き出していくという理想的な展開。
で、まあ審判=松尾一って時点でなんとな〜く予感はしてたんだけど、しょっぱなからファウルがぱぱぱんと続いてカードがポンポン出る展開に。となると最初にペースを握った新潟のセットプレーが続く。この人いっつもこうだよね。最初にガッチリ厳しく取るんだけど、それが基準にならないんだよwあれ何なんだろうww
7分、ちょっと遠めの位置でゴール正面のFK。キッカーはマルシオ。そういえば直接FKを狙うシーンって今年初めてだよな、と思ってるとマルシオのキックは素晴らしい弾道を描いてゴールへ向かうも、惜しくもポスト!マルシオのFKは今年なかなか期待できそうな予感。その後もセットプレーが続くものの、大分の守備の集中力はさすがで、すべて跳ね返されてしまう。
そんな中の17分。うっちーにトラブルでゴートクが急遽イン。そのまま右サイドバックに入る。うっちーの怪我は内転筋らしいけど、重傷でないことを祈るのみ。ズルズルの芝の影響もあったかね。
ただそれでも流れは新潟。大分はロングボール主体で攻めてくるんだけど、そのセカンドボールもしっかり勲や松下やマルシオが拾うことが出来るので問題なし。で、この試合通してそうだったんだけど、今日のペドロはヤバすぎ。大分の最大の脅威が金崎ならば、新潟の脅威は間違いなくペドロ。前半から彼がマルシオやオオシを使いながらどんどん前を向いて大分の守備に立ち向かっていく。いやー素晴らしいぜペドロ。あとやっぱこういう展開になった時のオオシの顔の出し方は本当に上手い。さりげなく、時間を稼いで展開できるんだよね。
で、そうやって左サイドでペドロがボールを持てるシーンが増えたことでウッキャッキャーっと元気になったのがジウトン。やっぱこいつおもしれーわw
鋭い飛び出しで藤田のイエローを誘ったジウトン。左サイドを疾走してPA内まで入り込んだところで相手がタッチラインにクリアした後のスローインを、自ら投げて見事なロングスローを披露するジウトン(てかあれ武器になるだろ!新潟のデラップジウトン・ヒベイロ)。自陣で明らかなハンドかましたのに神の手判定でノーファウルのジウトン。ああジウトン!!今録画したの見直したけど、あれもはやバレーのレシーブってレベルだろジウトンwwwひでえwww


とまあそんなかんだで35分くらいまでは完全に新潟ぺース。ただペドロが(これはさすがにブラジル人!って感じなんだけど)松尾主審の最初の基準を頭に入れたのも、相手にカードが出てるのもあるんだろうけど、ファウルを狙いに行って倒れるもののファウルなし、ってシーンもあったり、それと大分の堅守もあって決定的な形までは作れない。
すると35分の大分のカウンターから、ウェズレイのミドルが北野を強襲したシーンから流れが変わり始める。その後ウキャキャキャと上がっていたジウトンの裏を藤田が突いてクロス→高松ヘッドも北野キャッチ、左サイドに流れた金崎に永田さんがついて行った所で後ろから上がってきた慎吾のクロスをウェズレイヘッドも北野キャッチ、と大分のシンプルな攻撃から危険なシーンを作られる。
ただ、それにも慌てず冷静に対応した北野は実に素晴らしかったと思う。ていうか今年の北野はかなりイイね。鹿島戦でセットプレーのハイボールを味方と被ってこぼした以外はほぼ完璧。てか、これはその前にいるセンターバック2人との連携の良さもあるんだよね。前半の最序盤で大分がロングボールをウェズレイに送ってウェズレイがシュートを狙ったシーンで、永田さんが一番危険なウェズレイと併走しながらも、北野に視線を向けて「上がんなくていい!ステイでいい!」っていう合図を送ったシーンがあったけど、ああいう目立たないけど、互いに強固な信頼を築いてないとできないプレーがちゃんと出るってのは素晴らしいことだね。
やっぱこの辺は本当にキツかった08年シーズンの苦しい戦いの中でも、しっかりと培ってきた事がモノを言ってるんだよね。淳さんは去年終了後に「この苦しい経験は財産にしなければならない」って言ってるけど、これまさにそれだわ。


とまあ最後はちょっと大分ペースで前半終了。淳さんはハーフタイムコメントとして「ゲームのペースはこのような感じでいい。勝負どころだけ押さえること。」「ロングボールを入れられた後のセカンドの処理に気をつけること。」「全体的に悪くないぞ。あと45分、集中して勝つぞ。」と話しているけど、まさにその通りの前半だった。



後半の立ち上がりはどちらかと言えば大分ペース。連続でCKをむしり取ると、ウェズレイが全部ニアに早くてゴールを強襲するボールを連発してくる。もーこの人は本当に怖いわ。隙あらばゴール奪ってやるぜ、って事しか考えてねーんだもの!
で、それを凌ぐとそのあと数分は大分・新潟ともに最も得意な攻守の切り替えのスピードを念頭に置いたカウンターの応酬合戦。新潟は勲が上手くボールカットしてつないで(しかし今年の勲は奪ってからカウンターに繋ぐパスの的確さとクイックネスが素晴らしいよね。今年の新潟の躍進を支える主役の一人だと思う。)、マルシオとペドロを中心としたカウンター、大分はボランチを経由した両ワイドと金崎を中心としたカウンター。特に圧巻は56分のペドロがマルシオのパスを受けてPA内で森重のマークを引き連れながらゴリゴリ突き進み、オオシにパスを出すもののシュートは枠外、ってシーン。ペドロやべー!ペドロすげー!てかあれこそうまく倒れればPKだったんじゃねーだろうかw
ただ、それでも互いのチームのセンターバックとGKが実に安定していて、最後は全くブレることなくクリアを繰り返す。この試合の守備のクオリティは互いに極めて高いレベルだったと思う。ゆえに好ゲームになっていた感じ。


で、そんな試合の流れを変えたのは65分のウェズレイの交代。凄惨な事になっていた芝の影響もあったのだろうか、左足を痛めて清武と交代。この前に高松が森島に代わっていたので、これで大分の前線は森島が最前線で、ちょっと下に金崎と清武という並びになる。こうなると、大分が試合を通して狙い続けた前線へのロングボールが使えなくなってしまう。
で、これを見てシャムスカと大分の選手たちは完全に開き直ったのであろう。大分は0-0のスコアレスドローを視野にハッキリと捉えつつカウンターを狙う形にシフト。70分以降はほとんど新潟がポゼッションして、大分がガッチリとスペースを埋めながらそれを迎え撃つという展開になる。


ぶっちゃけ、俺がこの試合で一番見たかったのはこの状況だったんだよね。これまでの2戦はいずれもオープンな打ち合いを望んできたチーム。そういう展開が新潟が最も得意な形で、そうなれば強いってのは分かった。でもそれとは真逆のクローズな展開になったらどういう戦いをするのか。どうやって点を獲るのか。
結論から言うと、この試合ではその回答の提示は出来なかった。まったく前にスペースが見つからない状態では、DFラインから効果的なビルドアップの縦パスは出せないし、ジウトンや貴章が単独突破を図るシーンはあったものの、その後の連動が皆無だったので効果的な攻撃には至らない。
そうなればセットプレーだ!とも思ったのだけど、そもそもセットプレーをむしり取るプレーが出来ない。コーナーでは惜しいシーンが作れていたので、それこそ無理にでもミドル打って相手に当てさせるとか、サイドで踏ん張って突破を仕掛ける過程でゴールライン割らせるとか、そういうプレーが出来ればよかったんだろうけど、それが出来ない。
で、FKをなんとか取っても足が芝に取られてバイ〜ン!と大宇宙開発しちゃったりと運もない。
となると、あとは交替策、って事でラスト10分でオオシ→ヨンチョルで、ペドロをセンター、ヨンチョルを左に置く。しかしヨンチョルは3試合連続で超難しいシーンでの投入になってしまったんだよね。あれだけ超超クローズな展開で、貴章やペドロでさえスペースを見つけるのに苦労して、かつサイドでの起点が作れない状態では、彼の最も得意とするサイドから中にペネトレイトしてくる嫌らしいドリブルが繰り出せず、左サイドでパスを繋いで様子を見るプレーに終始することに。ヨンチョルの真価は貴章が使えない来週のナビスコで分かるかな。


で、対する大分は金崎の単独突破とセットプレーに活路を見出そうとする。特に金崎は左サイドでゴートクとの1対1のマッチアップを挑みまくってきたんだけど、ゴートクがそれをしっかりシャットアウト。ゴートクは急遽投入という不利な状況だったけど、守備面ではほぼ完璧な仕事だったと思う。見事だった。攻撃に関しては、やっぱりこういう難しい試合ではまだまだ特長を出せる感じではなかったけど、ああいう落ち着いたプレーをJリーグデビュー2戦目でやってのけるのは素晴らしい。うっちーの怪我の具合が不透明で、かつ松尾の復帰時期もまだ判然としない中で、ゴートクのこのプレーは光明と言えるだろうね。がんばれゴートク。
で、最後のセットプレーも北野が完璧なキャッチを見せて試合終了。0-0というスコアは至極真っ当なスコアだろうね。ただし、ハイクオリティな0-0のゲームだと断言できる、そういう試合だった。


さあ、これで課題も収穫もあったはず。まずそれを活かすべきはこれから始まるナビスコカップだよ。今年は死力を尽くしてナビスコを戦うよ!!!!!ハッキリ言って今年最も重要な戦いってナビスコだと俺は思ってるからね。今日はとりあえずゆっくり休んで、来週の大宮撃破へのイイ準備をしてれい。ぜってー勝つぞ!!!