【レビュー】09年第5節 京都戦@西京極

京都サンガ 1-0 アルビレックス新潟
スタッツ



この試合でまず注目されたのはマルシオの代役と京都のメンバー・システム。まずマルシオの代役としてはうっちーが起用される。ここ、本来のポジションならアトムなり三門なりが使われてもおかしくないと思うんだけど、このシステムの中の、今のマルシオの仕事=つまりゲームをオ−ガナイズしてタメを作っていく、っていうタスクを考えるとその二人じゃないんだよね。
たとえばこれが松下の位置だったら話は違ったかもしれないんだけど、選手の良し悪しじゃなくて役割の問題として、うっちーがここで使われるのは至極真っ当だったと思う。
てか俺が想像するに、淳さんが今年4-3-3を採用したのはFWの補強がめちゃくちゃ上手く行ったのと同時に、ポスト・シルビーニョとなるブラジル人ボランチの補強失敗もあったと思うんだよね。去年の反省だった真ん中でのキープ力って意味で、そこを高いレベルで託せる選手がいない。ならその役割ならチームで一番どころかリーグでもトップレベルのマルシオ・リシャルデスを真ん中に持ってくる事を考える。そしたら4-3-3が一番しっくりくる。なので、貴章とペドロというウイング適性のある選手をサイドに。そして真ん中で構えるオオシもいる。勲もアンカーの役割やらせるのが一番。っていうね。「卵が先か、鶏が先か」の世界だけど。
だからそういう意味では先日の練習試合で復活したフミヤには大きな期待を賭けたいんだよね。「役割」の問題として、マルシオの代わりは彼しかいないでしょう。18歳で見せたセンスと脆弱さ。それが19歳になってどうなってるのか。是非ともトップで観てみたい。


んで京都はボックスっぽい中盤に最前列にパウリーニョ、その下にディエゴの4-4-2。4バックはいつもので(残念ながらまっすうは欠場wwまっすうがいれば結果はきっと違ったのに!!!!)、中盤は安藤とシジクレイボランチ、右サイドハーフに渡邊、左サイドハーフに林。ここでポイントだったのは渡邊と林っていう京都の中で「一番縦にどかーんと走れる」選手をサイドに配置したことだったんだと思うんだけど、これは後述。


試合はいきなり動く。3分。え?ええ??えええ??うっそ!!って感じで何の前触れもなく、パウリーニョに完全に裏へと走られて1対1を決められてしまう。今年のセンターバック二人の仕事で最大の、っていうか唯一といってもいい致命的なラインコントロールとマークの受け渡しのミス。先制点を献上してしまう。
この一点自体が新潟の選手に与えた影響ってのはそれほどじゃないと思う。ただ、京都の選手にとってはかなりの大きな影響を与えたんじゃないだろうか。だって、京都がこの試合に用意してきた「守備は4バック+ボランチ2枚でガッチリとブロックを作り、そっからカウンターに繋げる」っていう大まかな決まり事を完遂すればいいだけ、っていう分かりやすい状況が開始3分で作れちゃったんだからね。

それもあって、前半のその後の展開は、基本的には「DFからのビルドアップとサイドを走らせるという攻撃→でもアタッキングサードで京都の守備を崩せずにボールロスト」する新潟と、「それを奪ってどかーんとカウンターに走る」京都っていう構図。
で、特にこの時間帯はそうだったんだけど、この試合って結局加藤Qカントクの新潟に対するスカウティングがバッサリ嵌ってたってのが勝負を分けたんだと思う。
この試合のミソは間違いなく右の渡邊と左の林。とにかく京都はこの二人が常に新潟のサイドバックの前でカウンターの脅威をちらつかせながらプレスをかけ続けていた。これはオオシが「ウチがやりたい事を相手にやられてしまった」って言ってるけどまさにその通りで、これって新潟が鹿島を仕留めたのと発想は同じなんだよね。松尾も「自分がオーバーラップしても相手が付いてくる」って言ってたけど、それもまさにこれ。
つまりしっかり相手のシステムに合わせて守備のブロックを作ると同時に、両サイドが相手のサイドバックにプレスをかけ続け、相手がその守備ブロックに引っかかったら、一気にそのワイドの選手がサイドバックのポジションを侵食していく、って形。これを京都に何度もやらせてしまったんだよね。
その結果、何が新潟にとって一番まずかったかって言うと、結局やっぱり「いい位置で奪ってから素早く攻守を切り替えて速攻」ってのが繰り出せなくなったって事だと思うんだよね。だって、サイドバックの裏めがけてどーんと展開されるボールを奪ったところで、そんな低い位置から速攻仕掛けてもほとんど効果ないわけだからね。
それに加えて、この試合の京都は一つの「賭け」にも勝ったと思う。つまりそれは、「新潟がカウンターに移行しかけたらとにかく早めにハードにぶっ潰しに行く(特にシジクレイは出色の出来。やっぱこの人危機察知能力高すぎるw)」っていうチームの約束事で得られる新潟の攻撃の弱体化と、その結果当然想定される「カードトラブル」っていうリスクのバランス。結論から言うと、小川直仁主審はそれを「流す」っていう基準を作ってブレずにこのゲームをジャッジした事で、京都はその「賭け」に勝ったんだよね。やっぱこういうギリギリの「賭け」に勝てちゃったチームってのは、勝利の女神にも見放されにくいよな。何て言うか、先週オオシじゃなくてペドロとヨンチョルを替えるっていう「賭け」に勝った新潟が勝利の女神様に微笑んでもらえたような、そういうロジカルに説明できない要素だよね。でもまあ今録画観たら安藤が千代に足の裏見せて削りに行ったシーンはどう見てもイエローだけどwww

あと淳さんはこの敗戦の反省として「マルシオがいなくて中盤で時間を作れなかった」事を挙げてるけど、それはあくまで一因であって、主因じゃないように思う。前半は確かにDFからのビルドアップまでが良くて、アタッキングサードに入って工夫がなくてチャンスを作れなかった感じだったので、そこでマルシオがいたらどうだっただろう?とは思うけど、後述する後半の戦い方ってマルシオがいる/いないが関係ない攻めを繰り返してたしね。




で、その後半。基本的には前半同様「守ってカウンターの京都」と「その堅守を破らんと腐心する新潟」の構図。でも前半に比べると新潟の流れはかなり良好。で、その一因って中盤でのビルドアップよりも一気に前線へ送る形、シンプルにオオシをターゲットにする形が増えたことだと思う。そう言えばこの試合に向けて「シンプルにもっとクロスを前線に供給する」意識を高めた練習をしてたらしいけど、その成果の一端が出たんじゃないかと思う。
その結果64分のわんちゃんがオオシのポストを受けてDFの間を割って入ってシュートを放ったシーンのような前半にはない形が出来るし、クロスに合わせるのが大男3人って事でCKも増える。やっぱり一回のセットプレーがチームにもたらす影響って大きいんだよね。
で、71分。淳さんココで勝負に出る。松尾に替えてヨンチョル投入で、うっちーが右サイドバックの位置へ。んで、ヨンチョルが左サイドでペドロが中に絞る感じ・・・なのでヨンチョルが左、貴章が右の4-4-2・・・・かと思ったんだけど、これ状況によっては普通にそのまんま4-2-4じゃね?っていう配置w淳さんやるなww
そういや前線の選手がフルメンバー揃った状態でビハインドを背負ったのって今シーズン初めてなんだよね。ふーむ。今年はスクランブルな形がいろいろ見られるかもしれんね。
ただ4-2-4と言っても、オオシとペドロが前線で構える後ろでは、当然のように貴章は守備に戻るし、ヨンチョルも戻ったりギュッと中に絞ったりって言う守備のタスクも欠かさない。それに攻撃時にこの試合めちゃくちゃ元気だった松下が左サイドの前目のポジションを取る事も多かったので、そういう時はヨンチョルが松下の本来の位置に入ってセカンドボールを狙う。んで、右サイドで起点を作ってる時は、松下がセンターでボールを経由させる役割を担い、ヨンチョルはしっかりサイドに張り、それに加えてその後ろにはジウトンが構えてサイドチェンジを待つ。いやー今年のチームはホントいろいろ見せてくれるな。面白いわ。
あとヨンチョルにとって前節の最後のプレーが彼にもたらしたものは大きかったような印象を受ける。やっぱヨンチョルはこのチームにとって大きな武器だよ。たぶん来週はどっかのアレなチームがアレな契約をペドロと結んでるので、ヨンチョルに大役が回ってくるはず。恐らく、その準備はもう万全だと考えていいと思う。ヨンチョル、ちょっと先の話だけど頼むぜ〜。

で、残り10分くらいはもう完全に新潟の攻撃が続く。なんせそのかなりの時間で新潟のFW4人がPA内に入ってるとか、もう大変な状況。でも決まらない。新潟ゴール裏ももう叫びっぱなしの、ゲットゴール絶叫しまくり。俺、この試合後風邪が悪化したのってぜってーこの時間が原因だわwww
んでイ・ジョンスと水本を中心にひたすら守る京都の守備をなんとかすり抜けてチャンスは作るものの、最後の最後のギリギリなところが決まらない。オオシのロスタイム突入直後のシュートなんて、本当にポストのギリギリをすり抜けていったし。あれ本当に心臓がつぶれるかと思ったぜ。入ってたらまた発狂してたよw
しかし結局ゴールを奪えずに、開始3分の失点が決勝点になって敗戦。今シーズンのリーグ戦、初の敗戦。




でも胸を張って広島戦の準備をすればいいだけの話だよね。この敗戦はこのチームの流れを停滞させてしまうような敗戦では決してない。だから次。重要なのは次。連敗をしないって事が、上位に踏みとどまるための必須の条件だからね。さあ、広島から絶対に勝ち点3獲ろうぜ。











あとまあ蛇足だけど、和田りつ子が毎回ホームの中継に出てくる京都サポに心から同情する。だって大好きなチームのサッカーを楽しもうとテレビを観ると毎回漏れなく、でしゃばるドブスの醜態を拝まなくてはならないわけでしょ?全試合録画して何度も楽しんでる人もいるわけでしょ。その人ホームゲームの録画では毎回和田りつ子のでしゃばりを聞かされるわけでしょう?ご愁傷様です。