【プレビュー】09年第13節 清水戦@スワン

前節は素晴らしかった。そしていま3位にいる。だけど、いつか苦しい時期は来る。だけどそれを今から悲観したってどうしようもない。今できるのは目の前の試合を愚直に戦って、試合にしっかり勝っていくって事だけ。それにこの試合が終わったらナビスコの予選に突入する。今年はナビスコを絶対に狙いに行くべき年なんだから、この試合で大きな弾みを付けたい所。そのためには、何が何でも勝ち点3。もうそれしかないよね。



さて清水だ。毎年最後に帳尻を合わせてくるチームだとは言え、今年は非常に苦しい試合が続いている印象を受ける。ここまで得点は12で失点は14。まずは得点12ってのがやっぱりキツイ。リーグでワースト2位タイだからね。で、失点は14。これはリーグで7番目に少ない数字。だから、高木和道が抜けたことで懸念された守備の問題はうまく切り抜けてる、って一見は見える。
ただ個人的に、今の清水の最大の病理って、この守備にあると思うんだよね。この守備の問題のせいで、これまで清水が構築していた守備が上手く行っていたことで表には出てなかった、清水の攻撃面の欠点を浮き彫りにしてしまってるんだと思う。やっぱり、いい攻撃のためにはいい守備なんだよね。


んじゃそのディティールの部分を書いていこうと思うんだけど、まず今年の清水の守備で問題なのは中盤でのプレッシャーの緩さ。中盤が連動してボールを奪って、そっから怒涛のカウンターに繋げていく、ってのが去年の清水の真骨頂だったと思うんだけど(特に後半の快進撃の時は凄かった!)、今年はそれがなかなか見られない。ぶっちゃけ、これは原因がよく分からないww中盤のコアメンバーのメンツは去年と同じだしね・・・。やっぱこの辺は毎年「去年良かった所をその次のシーズンに継続できない」っていう長谷川健太カントクの悪癖のなせる業なんだろうか。それも何故かは全然分からないんだけど。


でも去年上手く行ってて、今年上手く行っていない、って明確に分かる部分がある。それこそが今の清水の最大の病理だと思うんだけど、それは単刀直入に言えば、これまでの「相手のボールをチームとしてどうやって跳ね返すかってのを全員が共通意識を持ってやる」って部分に随分と綻びがあるって所。
長谷川健太政権の清水のディフェンスラインって、積極的なフォアチェックを見せたり、ガッチリとしたゾーンを構築するって形じゃなくて、「相手にボールを放り込まれてもまあいいからそれを真ん中でしっかり跳ね返す」って守備を標榜してるっていう凄く分かりやすい特徴がこれまでずっとあるんだよね。もちろん、その跳ね返すって仕事はセンターバック2人だけじゃ無理なので、クロス入れられたのと逆サイドのサイドバックも中に絞ってその跳ね返すっていう仕事に参加する。
で、そうやってDFラインがボールを跳ね返すタイミングこそが、清水の攻撃がスタートする進軍ラッパであるってのをチーム全体が分かってて、その跳ね返したボールを伊東テルとか山本真希とか枝村といった「前線へと潤滑にボールを繋いでいく」ってタスクに優れた選手がボールを拾って、運んで、前線の走れるアタッカー=岡崎や原、そして枝村自ら、がドカーンとカウンターを仕掛けて相手ゴールを陥落させる、ってのが形だったんだよね。


ただ、今年はその「跳ね返す」っていう、清水がこれまで構築してきた守備の基礎中の基礎がブレまくってる。なんか、07→08年の新潟を観てるように、それまで出来てた守備の形が今年はできなくなってしまった、っていう苦しさと焦りを感じるんだよね。それはこれまで盤石だった市川、青山、高木和道、児玉っていう4バックのメンツから高木和道が抜けたってのもあるだろうけど、一番の問題はサイドバックの「中に絞る」っていう仕事の曖昧さだと思う。
今年の清水の第一の誤算のは市川の不調だろう。これまで守備の面で的確な判断が出来てた彼が、今年はどうも中途半端。なので途中から高木純平を右サイドバックに起用してるんだけど、彼は正直言ってその「中に絞って跳ね返す」ってタスクに関してはまだ咀嚼しきれてない印象を受ける。それが第2の誤算。
で、この試合での最大の誤算は間違いなく岩下が出場停止だって所。告白すると、前節の大分戦で彼がイエロー貰った瞬間にガッツポーズしてしまったんだけど、ここまでその「これまでの守備」を青山と岩下のセンターバック2枚を中心に必死に構築してきたところで、彼がいなくなってしまうってのは、清水にとってはこれ以上ない痛手だと思う。なので、この試合では右から高木純平、青山、児玉、太田って4バックになりそうだけど、この太田という選手は攻撃面では目を見張るプレーを見せるけど、守備では単純な1対1のクオリティ、そして何よりその「中に絞って跳ね返す」っていう清水のサイドバックならば絶対にやらなければならない仕事に関しては、非常にビミョーだと思う。だから、この試合の最大の注目点は清水の左サイドバックの太田になるだろう。


という訳で、新潟が狙うべきはまさにここ。まずは貴章が磐田戦で戦前から守備に不安があると思われていた山本脩斗に対して、明らかに狙い打ちをかけて無慈悲なまでにそこを突きまくって、前半で彼をベンチに追いやったような、あの積極的な仕掛けを見せてほしいと思う。もちろん、それにマルシオやうっちーが絡んでくれば最高。ここで起点が作れれば、かなり優位に試合を進めることが出来ると思う。
で、これは左でも右でも同じだけど、クロスが入った逆側の選手がそのクロスに対して積極的に中に入り込んで勝負するって意識を90分間欠かさないことが重要だろう。今の清水で一番の病理であるここを徹底的に突けば、今の新潟の攻撃力を持ってすれば必ずや勝利のための得点をゲットできるはずだ。
という訳で攻撃面で新潟が狙うべきはとにかくサイド!サイド!サイド!貴章とペドロという新潟の最大の武器がその真価をバッチリ発揮するって事が重要だろう。攻めて攻めて攻め倒せ。



それと新潟が狙うべき守備のポイントについて。これはまず清水の攻撃における弱みを徹底的に突くことだと思う。前述したように、これまで清水の攻撃が良かった時ってのは、ボールを跳ね返してから一気に縦へのスピードを上げて攻撃を仕掛けるってのがスムーズに出来てた時。で、これって清水の攻撃陣、っていうか中盤に「中盤でタメを作ってゲームを作る存在」(例えば中村ケンゴだとか、ポンテだとか、そして何よりマルシオ・リシャルデスだったり)が欠けてるっていう弱点をうまくカバーする為の見事な回答だったと思うんだよね。てか、その「中盤でのタメ」の仕事って藤本がやるべきだとは思うんだけど、言うまでもなく大宮戦での、あのおぞましいファウルで大怪我してからまだ調子が戻っていないんで、それを期待するのは困難なんだよね。
なので、今年もその形を継続するのがベストだったと思うんだけど、前述の通り今年の清水はまず最初の「跳ね返す」ってタスクの質に問題を抱えてるので、それが上手く繰り出せないんだよね。これが冒頭で書いた「これまで清水が構築していた守備が上手く行っていたことで表には出てなかった、清水の攻撃面の欠点を浮き彫りにしてしまってる」って事。うん、やっぱり清水の最大の病理は守備なんだと思うんだ。

で、そんな清水の攻撃陣の中で「タメを作る」って仕事の重責を一人で背負ってるのがヨンセンだと思うんだ。ポストプレイヤーとしてはJリーグでも屈指の選手だけど、これまでなかなか得点が獲れてなかったのも当然の帰着だと言えると思うんだよね。だって彼にかかる責任が重すぎたし。
だけど新潟としてはそこを突かない手はない。新潟の守備で大きなポイントを握ってるのは、間違いなくヨンセンがボールを受けるっていうプレーを、どれだけ彼に自由を与えずに阻止できるかって所だろう。清水のアタッカー陣=岡崎、枝村、原はいずれも、味方の選手が起点を作れた瞬間に走って勝負を仕掛けるって所に最大の特長を持つ選手。なので、彼らのその特徴を引き出させないためにも、ヨンセンへのファーストディフェンスとマークの質をひたすら高めたいところだ。



という訳で、これまでの流れを持続させて今後に繋げていくためにも重要な試合。目指すは勝ち点3のみだ。清水倒してもっともっと上行くぞおっらああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!