【レビュー】09年第20節 大宮戦@スワン

アルビレックス新潟 0-0 大宮アルディージャ
スタッツ
鈴木淳監督 試合後コメント
張外龍監督いわく、この試合は「自分たちのプラン通りの試合運びができていた」んだそうだ。さすが大宮。最初からいいサッカーをして観客を楽しませようとする意図自体放棄してたわけだ。このチームは本当に芯が通ってるね。どんな時代も糞ゲーム。


試合開始から(そして試合終了までずっと)ポゼッションする新潟、3つのラインを作ってガッチリ引いて守る大宮の構図。オオシを頂点にボールを動かし、アトムとジウトンの組み合わせとなった左サイドを中心に攻めていく。
で、この試合で大きなポイントになるのはセットプレー、特にガチガチのゾーンで守る大宮のセットプレーの守備への攻略であるとプレビューで書いたけど、前半7分の最初のCKの選択はPA内へのシンプルなボールではなく、PAの外で待っていたマルシオへのグラウンダーのパス。結果的にはそのボールの処理がまごついてシュートへは至らなかったけど、あれはゾーンで守る大宮への牽制だったんだと思う。明らかに新潟がスカウティングで大宮のセットプレーの守備の拙さを見抜いていた事が伺えるプレーだった。
で、この試合の前半の大きな注目点はやはりアトムとジウトンで構成する左サイド。ペドロがいないという事は、今年の新潟の最大の武器である両ウイングによる相手サイドバックへのプレッシャーの半分を失うという事。そこをどう埋めるかって事に注目したんだけど、淳さんはまずペドロの不在を受けて「運動量とサイドからのクロス、突破に期待し」ジウトン、「運動量で相手の背後に出ること、中盤で受けて、内に入ってミドルシュートを打ってほしかった」という意図からアトムを選択。つまりペドロのドリブルとスピードという個の強さで相手にプレシャーを掛ける所を、アトムが動いてベタっとゾーンを作る相手の守備ポジションに狂いを生じさせ、そこにジウトンのサイドアタックをぶち当てていくという事で代替しようとしたのだろう。
ただ、これは機能したとは言い難かった。特に相手がスペースをまず与えないことだけを考えるドン引きのゾーンディフェンスだったこともあり、そのポジションを動かしてスペースを作っていきたかったのだけど、逆に相手に限定されたスペースの中でアトムのポジションが下がってジウトンと被るって言うシーンが散見する。淳さんの意図としては、この二人が接近した時の連携で左サイドの圧力を強化しようとしたのだろうけど、それが相手にプレッシャーをかけるには低すぎる位置で多くなってしまった。その結果、左サイドの二人とそれ以外の選手の連携が生まれてこず、45分間攻撃が停滞し続ける事になってしまう。
多分、淳さんが前半でアトムを下げた理由はこの辺なんだろう。アトムが前後左右に動きまわって、その結果出来たスペースをジウトンが上手く使う、ってのが基本的なこの試合の意図。ただ、アトムは守備面では完璧な仕事をしていたけど、その動いて相手の守備ポジションを動かすっていう攻撃的なプレーでは不十分だった。
あともう一つはヨンチョルというカードがベンチに控えてたってのも大きかったと思うんだよね。間違いなくヨンチョルはいつものスタメンの次にプライオリティの高い選手だけど、韓国帰りでコンディションが良くなかったので、淳さんとしては90分は無理と判断したのだろう。じゃあその限定的な時間で最初から使うか、後から使うかの選択で、後者を選んだと。アトムはこのプライオリティを越えていく努力をするしかないだろうね。がんばれ。やっぱアトムを筆頭としたベンチメンバーの台頭なしにはこれ以上の成長はないのだから。


で、試合の流れに話を戻そうと・・・・思ったんだけど書くことがないww大宮はセットプレーで新潟のマークミスを突いた片岡がヘッドを放ったのと、藤本が抜け出して力のないヘッドを放ったのがほぼ唯一と言っていいチャンスで、それ以外は守って守って一発のロングボールを藤田と石原の2トップに送って走らせる、って形に終始していたけど、千代と永田さんの二人のブロックと勲のフォローは完ぺきで、山形戦のようにすぐさまマイボールに繋げていく作業を完遂。
ただ、こっちもこっちで大宮のゾーンを崩せずに前半終了。



後半は頭からアトムに替えてヨンチョル。最初から積極的に仕掛けるヨンチョルをきっかけに、左サイドが活性化しだす。これ、いつものペドロとほぼ同じの役割を担えるヨンチョルが入ったってのが大きいと思うんだけよね。要は慣れの問題。前半はアトムと言うオプションを入れる事に、アトム自身だけでなくチームも慣れてなかったのも大きいんだと思う。
で、そうやって左サイドで起点が生まれる事でようやくスペースが生まれ、そこをジウトンが使うというシーンが出てくる。こうなるとジウトンを起用した淳さんの意図がやっと生きてきて、ジウトンがクロスとドリブルで左からの攻撃を生み出す。後半の攻撃の主役はジウトンだったと言っていいだろうね。しかしGKにまでプレスに走れるサイドバックってやっぱ凄いよ。とてつもない運動量。エヴェルトン加入で最も刺激を受けたのは、もしかしたら彼なのかもしれない。
で、前半に比べて随分とボールが動くようになり、相手を押し込んでいく流れになる。で、大宮は前半よりもさらに割り切って、攻撃時にラインを押し上げるのを放棄して2トップにロングボールを入れて走らせる、って形に終始。だけど、千代と永田さんを中心としたラインコントロールは完ぺきで、それを的確に処理して再び新潟の攻撃に繋げていく。たまーにサイドハーフが上がっても、その後ろはほぼ上がらない、新潟陣内のバイタルに入ってこないので、新潟がペースを握り続ける事になる。改めて、左足のロングレンジのキックのみに特化した選手である橋本早十ボランチに使われてるのが、よーく分かる試合だった。大宮早く落ちてくれないかな。
ああ、あとこちらの方も言ってるけど、それを見てラインが低いラインが低いって大騒ぎしてる古俣健次氏はもう解説やめた方がいいんじゃないかな。それとサッカーを知らない、の前に目の前で起こってる事をまともに伝えられないという、基本的なアナウンサーとしてのスキルに欠けた鈴木英門氏も、もう実況やめた方がいいんじゃないかな。川崎戦なんて、何度選手名間違えた?あとこの試合じゃないけど、試合中に絶叫し過ぎて試合後の告知がまともに喋れなくなってるアナウンサーってプロとしてどうなのそれ。あなたが今喋ってる番組は、視聴者が月額2500円とちょっと払って見てる番組だって分かってんのかな。
あーもう、こういうつまんねー試合だとこういう余計な事を言いたくなっちゃうんだよなw自粛しとこうwwでも大宮は落ちろ早く。



ただ、ボールは圧倒的に試合するものの、大宮の組織を崩すまでには至らない。ボールの流れは前半から比べれば圧倒的に良くなったのだけど、結局のところ「勝負パスが出せなかった」ってのが一番大きかったと思う。それはオオシに対して徹底的にマークがついた影響でクサビが入らなかったのも一因だろうね。たぶん、大宮はナビスコ予選でのオオシの記憶がやっぱりあったはず。あの試合もそうだけど、こうやってせせこましい状況で、彼が頂点になってボールを動かすのが新潟の特徴だからね。
で、こういう停滞する流れを破るのはやはりセットプレー。しかも前半は見事にその布石を打ってるって事もあって期待して観てたんだけど、56分にはCKの混戦からジウトンのヘッドもポスト、75分には貴章が頭一つ抜け出して上手くヘッドでゴールに流し込むも、それを波戸が右足で完璧なクリア、と大宮のセットプレーのまずさをうまく突いていたのだけど、どうしてもゴールが割れない。
セットプレー以外で最大のチャンスが訪れたのは87分。勲がサイドバックの裏に完璧な勝負スルーパスを通して、それをワンタッチで折り返したうっちーの決定的な勝負パスをマルシオがシュートするも、見事に大宇宙開発。マルシオぉぉ!!まーこの試合のマルシオは細かいミスが多かったしな。今シーズンでは一番良くなかったかもしれない。だけどこれからも分かるように、こういう勝負に出るパスが出ないとチャンスは作れないよね。難しいもんだ。


と言う事でそのまんま0-0で試合終了。これぞ大宮戦。4試合連続引き分けになった。
だけど負けてないの。それはすごく大きいことだと思う。あとはこの流れをぐいっと上昇させればいいだけの話だ。うし、次だ次。次行こうぜ。