【レビュー】09年第22節 ガンバ戦@スワン

アルビレックス新潟 1-2 ガンバ大阪
スタッツ
鈴木淳監督 試合後コメント

引き分けのトンネルを抜けるとそこは、なんだかスカっとする惜敗だった。



試合はいきなり動く。1分、ルーカスへ縦パスが通ると、それをトラップして意表を突くミドルシュート。永田さんと千代は二人とも揃ってはいたんだけど、シュートは計算に入っていなかったのだろう。落ち際を叩いたボールはドライブしながらゴールに突き刺さる。うっそー。
淳さんは「最初の失点が非常に痛かった。ゲームに慣れる前に失点し、その後はビハインドの中で続けなければならず、プランが狂ってしまった。」「しっかりと守備をして、我々の特徴である速い攻撃につなげたかった。そこから徐々にボールを動かすことができれば勝機があると思っていたが、それが最初の失点で崩れてしまい、中途半端な形で攻めて、向こうの中盤で引っ掛けられて速い攻撃や(ワンボランチの)本間の脇を使われた」と言ってるけど、結局そういう事なんだろうね。
最近のガンバは元々のポゼッションに加えて、じっくり守備ブロックを作ってカウンターを虎視眈々と狙うという形のクオリティも上げて来てるとプレビューで書いたけど、新潟としてはその出方を伺いながら、0-0の状態で試合を進めていくってのがプランだったはず。そしてレアンドロとルーカスに縦に速くボールを入れてくる攻撃を十分ケアして試合に入ったはず。それを二つともいきなり崩されてしまったダメージは大きかったのだろう。
で、その後数分間はそのダメージから回復しないまま、相手にペースを握られる展開が続く。最序盤でまず目立ったのはペドロとマルシオへの徹底的なマークの徹底。ここは間違いなくガンバのプランそのものだったのだろうね。新潟で最も起点になるこの二人を、最近非常に上手く行ってる中盤のプレスを最大限生かして潰していく、ってのがコンセンサスとしてあったのだと思う。最近のガンバの躍進を支えるのはまさにここだしね。
そうやって新潟が攻撃でバランスを崩した結果、攻撃から守備に切り替わった時の新潟の中盤でのファーストディフェンスがとても脆弱になってしまう。淳さんの今回のコメントは凄く分かりやすいよね。「中途半端な形で攻めて、向こうの中盤で引っ掛けられて速い攻撃や(ワンボランチの)本間の脇を使われた」ってのはまさにそういう事だった。
9分には遠藤→レアンドロで抜け出されシュートを許し、11分には中盤でフリーで受けた二川から右サイドを完全に抜け出した遠藤にパスを通され、17分には中盤でこれまたフリーでボールを持った沿道からルーカスへのスルーパスを通されかける、とまあ「中盤でフリーでボールを受けて、レアンドロとルーカスの2トップが一気に裏に走るダイレクトプレー」を連続で許してしまう。この辺はガンバのポジションチェンジのうまさだよね。中盤のプレッシャーをかいくぐって前を向くための術を熟知してる老練な中盤の本領発揮って所だろう。ぶっちゃけ、センターバック二人と2トップが1対1で勝負をするシチュエーションは全く心配してなかったのだけど、こうやって裏に抜け出されるプレーを連発されるとめちゃくちゃキツくなる。


ただ、新潟もその直後のペドロのミドルをきっかけに、ゴートクとペドロの左サイドのユニットが次第に相手を押し込むようになってリズムを取り返す。前半半ばの主役はこの二人だろう。ゴートクのオーバーラップからペドロがクロスを入れて得たCKで、ヨンチョルがヘッドで合わせるもののボールは外れる、って最初の決定機を作るなど、やっとチームに落ち着きを与え始める。
ただ、流石はガンバで、23分にまたしても新潟の中盤をかいくぐってレアンドロがラインを破り掛けるも千代が完璧なスライディングでカットで難を逃れ、26分には遠藤が左サイドを完全に抜け出して北野と1対1になるものの北野がビッグセーブで逃れ、ってシーンを連続で作り出す。ガンバつえー!
ただ、それでもやはり新潟の突破口は左サイド。29分にはペドロが高い位置でボールを奪ってドリブル開始→こぼれ球を松下ミドル、そして33分には左サイドのスローインからゴートクが深い位置まで切れ込んでクロス→マルシオが合わせるもポストと松代の足を叩いてゴールラインを割る、という前半最大のチャンスを作る。あれさ、松代ならゴールに吸い込まれろっつーの。松代ってそういうGKじゃないか。そういうの持ってるGKじゃないかw
このあたりのチャンスをきっかけに、ようやく新潟がペースを取り戻す。そのあたりから左サイドだけでなく、これまで中盤でビルドアップに参加はするものの突破の動きが希薄だったヨンチョルの右サイドが活性化しだす。35分に下平を突破してクロスを上げ、そのこぼれ球をつないだボールから、松下とのワンツーで抜け出してペドロに折り返すもシュートは松代の正面、と言う形を作ってを押し込んでいく。そういやエルゴラの桐山昭とかいう(てかこの人誰?)馬鹿ライターがヨンチョルの採点を両チーム最低の4.5にしてたけど、この試合で4.5を頂戴する選手なんて一人もいねーよバカ。
39分にはその右サイドで、今度はペドロのキープから右の松下へ流してクロス→オオシヘッドも惜しくも左に切れるって形を作る。これは前半で追い付きたい、もしくは最低でも0-1で折り返したいという流れ。俺の頭には07年のガンバ戦が浮かんでいた。あのときも松代だったじゃん!!ってw
ただ、いきなりの先制点以上にこの試合の分水嶺と言ってもいい2点目がガンバに入ってしまう。42分、クロスが流れたボールを左サイドで拾ったレアンドロがクロスを上げると、永田さんの前で二川さんが見事なダイビングヘッドで合わせてゴール。痛過ぎる!2点リードされるという事実もそうだし、何よりやっと流れを取り戻した矢先の失点ってのがダメージ大きかった。



後半はいきなり大ピンチからスタートする。千代が左に開いてポゼッションを開始するという絶対にボールロストしちゃいけないシーンで、明神に中盤の高い位置でボールをカットされると、そこから一気に永田さんと千代の間にぽっかりと出来たスペースに走りこんだルーカスにパスが通る。「うっわああああ割られたあああああああ」ってのがその時の俺の正直な感想wwwだけど、それは本当に本当に微妙なオフサイドの判定で難を逃れる。あれ、録画で観直したけど本当に50:50くらいの超微妙なジャッジだよね。正直、千代がその後すぐルーカスの前を追走したので印象としては最悪なんだよなww多分俺なら旗上げないと思うwwでもパスの出たその瞬間の「超微妙」な所だけをフォーカスして判断した副審に感謝するしかないね。
その後の数分間は若干膠着状態が続く。決定機は54分のCK崩れからの明神のヘッドくらいか。
それを見て淳さんが動く。60分、オオシに替えてエヴェルトン・サントス投入。エヴェ初号機、リフトオフ!!どうやら、鈴木淳三佐兼作戦部長の指示は「最初は右サイドでボールを受けることだけを考えて」というものだったようなのだけど、エベは「右サイド、右サイド・・・」という意識が強かった為、ボールを受けるシーンをなかなか作れなかったようなのだけどその後の「もっと自由に動いていいのよ!サントス君!あなたの意思で戦いなさい!」という指示を得てからはボールに触って前を向くシーンが増える・・・・ってエヴァのパロディもうやめたwwww書きづれーwwwてか、三佐兼作戦部長は黒さんで、淳さんは総司令だよな、役職的に。
マジな話、確かにエベは最初、右サイドに張り付いてることが多かったんだけど、途中からセンターにダイアゴナルに走ったりって形が一気に増えたんだよね。やっぱりあれは淳さんの指示だったんだな。
で、雰囲気が変わった新潟はボールを動かす形が増えていく。そして68分、左サイドからのゴートクのクロスがマルシオの頭に合う直前で遠藤がまさかのハンドでPK。もう分かりやすいくらいのハンド。これはラッキー。まあレッドじゃなくイエローだったことだけが不運だな。そしてこのPKをペドロが沈めて1-2。流れが潤滑になってきたタイミングで得点を奪う事に成功する。
となると後はもう一点を取りに行くだけのこと。71分にはその流れに水を差さんとばかりにルーカスのポストから橋本がシュートを放つもの右に外れる、っていう決定的な形を作られて冷や汗をかくものの、流れは新潟。これまでにはないくらいの、というかここ数試合で忘れてたようなチャレンジングなパスが増えてくる。これ、やっぱりペドロやエベが裏に抜けていくという意志を見せてたのも大きいよね。そういう意味じゃエベの投入はやっぱ正解だったと言える。
で、73分にはうっちーの浮き球のパスをバイタルエリアで受けたマルシオが中澤を背負ってバイシクル!!も中澤の顔にヒットしてチャンスにならずってシーンを作る。あれ決まってたらリバウドだな。
そしてこの試合最後の、そして後半最大のチャンスは80分に訪れる。奪ってから一気に松下からペドロへと繋がり、ペドロが明神をドリブルで外して満を持して斜めに走って裏を抜けるエベに勝負パス。エベは並走する山口の半歩先に抜け出して、右足のアウトでシュートを放つも左に惜しくも外れる。ヒーローになるチャンスを逃したね。だけど、30分の中で評判通りのクイックネスと裏抜けのセンス、そして一部で囁かれる決定力のなさwを披露した感じだね。間違いなく、今後の新潟にとって貴重な武器になってくれるはずだ。彼が覚醒した時こそ、それが3位以上でシーズンを終えるためのトリガーになるはず。
その後も意外とガンバが引かずにラインを高く保ってきたので、チーム全体としてその裏と言う意志を持って攻撃を仕掛けていく。恐らく、残り5分を切った所でのアトムの投入はその裏抜けを期待したんだと思う。これはアトムの最大の特長だからね。
ただ、最後までガンバの試合巧者ぶりを前にチャンスを作り出せずに試合終了。



ただ、久々に内容のある、というか動きのあるゲームを見た気がする。それはやっぱりガンバっていう好チームとの試合だったってのもあるけど、サイドで相手を押し込むだとか、奪ってからのクイックネスで勝負するとか、あと中盤の守備が上手く行かないとチームが機能不全に陥るって事を再確認してそれをゲーム中に何とか克服していったとか、そういう新潟らしいプレーを全面に出せたってのもあると思うんだよね。引き分け地獄はもう終わった。あとはもう一度自分たちのサッカーに向き合うべきだと思う。だってそうやって勝ってきたチームなんだから。
まだまだ連戦は続く。恐れることはないさ。俺たちはもっともっと上に行けるチームだ。間違いない。