例えば君は人妻に恋をしていて、彼女の妊娠と同時に一つの恋が終わった事はあるかい?

それを考えれば、夏目三久さんがちゃんとサガミオリジナルを使っていると言う事実がたまらなく愛おしくならないかい?妊娠という絶対的な正解、もしくは正義と対峙しなくて済む事がどれだけ楽か、考えた事はあるかい?




ビールは神様がくれた飲み物の中で最高のものだけど、妥協なくしっかり注ぐグラスを冷やし、ビール自体も妥協なくしっかり冷やして、初めて最高の飲み物になるんだ。そのどれかを怠った途端、ビールはただの苦い水へとその格を急落させるんだ。



俺はまだ名前がついていない全てのものに名を付けたいんだ。真冬の朝に窓を開けて空気を吸い込んだ瞬間の鼻の奥の痛み。オナニーの衝動に駆られる瞬間。初めてお見舞い以外で花屋で花を買って電車に乗り込み、あと駅3つ、2つ、って数える多幸感。ぬか喜びに慣れる事。性懲りもなくまた急流に身を投じる事。



犬を飼いたい。出来るだけ大きな犬がいい。一緒に散歩に行った時、誰もが驚いて視線を向けてくる大きな犬がいい。それを見た子供が、家に帰って興奮気味にお母さんにその犬の大きさを懸命に説明するくらいがいい。そしてお母さんの「どんな飼い主の人だった?」って質問に対して、子供がさっきの記憶を必死に引っ張りだしても答えられないくらいの、大きな犬がいい。




「キスはどんな味がするかって?マグロの赤身のような味がするよ。本当だよ。君はもしかして蜂蜜檸檬のようだって答えを期待してた?殆どが赤身さ。だけどもし、蜂蜜檸檬のような味のキスをする人に出会ったら、絶対にその人を手放すんじゃないよ。」