イングロリアス・バスターズと母なる証明

最近観たい映画がたんまりたまってるんだけど、その中でも最上位のこの二つを観て来た。今回はネタバレなしで簡潔に書きます。だから、これから観ようと思ってる人も読んでしまってOKですよ。


まずイングロリアス・バスターズだけど、俺は「映画観て鳥肌を立てる経験」って凄く貴重だと思うんだよね。めったにない。だから、鳥肌が立つ瞬間があれば「名作」と呼ぶことにしてるんだけど、この映画のクライマックスシーンはまさにそれ。鳥肌がぶっわー!だった。
この作品はタランティーノ史上、最も演出のセンスが輝いている映画だと思う。練りに練った脚本、ギミック、ゴアシーン、オマージュ、ギャグ・・・っていうのがこれまでのタランティーノ映画において、演出と並立して目立つ要素だったと思うんだけど、今回のタランティーノはマジもマジの大マジで「演出」に特化してる印象を受ける。特にあのピリピリとした緊張感の部分でね。やっぱりこの人は凄いよ。本当に天才だと思う。今度のタラは大マジだ!今度は戦争だ!これ知ってる?「今度は戦争だ!」っての。「家なき子」の劇場版のキャッチフレーズなんだけど。いや、これはどうでもいい。
この人はもう映画やるしかないだろう、っていう映画に愛された、ってか映画に愛される他なかった天才が、映画史には何人もいるけど(んー、フェリーニとかキューブリックとか?)、この人もそのうちの一人だろう。俺はそのフェリーニキューブリックの映画をリアルタイムで見られなかったことを(アイズ・ワイド・シャットはリアルで観れたはずなのにスルーしてた!)、とても悔しい事だと思ってるのだけど、タランティーノの映画をリアルタイムで観られていれば、とりあえずはいいや、って気がした。名作。
あ、ただ問題は日本版のポスターな。この映画に黄色バックはないだろう。海外版だと黒や茶ベースだけど、この映画についてはそうするべきだ。まあ、黄色ってタランティーノのシンボルカラーというか、企業で言えばコーポレートカラーみたいなイメージなのは分かるんだけどさ。だけど、これいつものタランティーノ作品とは全然毛色が違うんだから。「娯楽大作!!タラ×ブラッド・ピット初タッグだようっひょー!!ビストロスマップ出て宣伝したよ、女性の皆さん観に来てね!イエイ!」って映画じゃ到底ないんだし。だって、今回のタラは「物悲しい」のだもの。あのタランティーノが「物悲しい」んだぜ?



続いて、「母なる証明」。結論から入ろう。大傑作。すげーよこれ。伏線の提示、ミスリードを含めてどこにでも転がることの出来るドラマツルギー、編集で作るリズム、濃厚な演技、そして伏線の完璧な回収。映画とはこうあるべきである、っていう超絶技巧の大傑作だわ。ポン・ジュノの最高傑作である事は疑いの余地がないと思う。
これさ、色々と書きたい事はあるけど、ネタバレになってしまうとちっとも面白くないのであんまり書かないようにします。だけど一つだけ踏み込んじゃうと、「ラストシーンの美しさは『悪魔のいけにえ』のラストのそれのよう」って事だけは書いておく。あれも鳥肌立っちゃった。
んー、あとは「ウォンビンはめちゃめちゃ可愛い」って事かなww劇中で「小鹿のような目」って言われてたけど、あの目は確かに凄い。あの衝撃の事実と「片目」のシーンなんて震えたもの。これ「ウォンビン」で検索してくる人が結構いそうなのを承知で書くと、この人韓流ババアのものだけにしといちゃ絶対にダメだね。日本だとどうしてもそっちのフィルター掛かっちゃいそうだけど、それじゃダメだろう。
あとどうでもいい話をすると、ポン・ジュノって不細工なヤツをキッチリ不細工に描く事と、駄目なヤツをキッチリ駄目なヤツに描く事に関しては本当に天下一品だよなwwwあれ何なんだろうwwwあの不細工学生の片割れなんて、前歯折られるしか選択肢がない不細工だもんなあ。そういや「グエムル」の娘もブサイクだったけど、あれが美少女じゃなんかちょっと違うもんな。諸事情からブサイクしかキャスティングできなかったら、ポン・ジュノを起用すべきだね。
あ、あとこの映画のポスターは完璧。この映画の内容を完璧に1枚に納めてるポスターだと思うね。