黒猫・白猫

クストリッツァの映画を一言で表現するなら「グルーヴ」だよね。クストリッツァはギタリストという顔も持っているけど、彼の本質の部分は音楽家そのものだと思う。どういうアイデアをどうやって配置すれば、全体の流れが図太く加速して行くかを完璧に把握してる。
メッセージや、行間を読む作業や、伏線を綺麗に回収する流麗なドラマツルギーなんて設置しなくても、画面の流れの中にグルーヴを沸き立たせる事にひたすら注力していけば、とびっきり楽しくて気持ちのいい映画は作れるのだ。本当に天才的なセンスの持ち主だわ、この人は。マラドーナと共鳴し、彼のドキュメンタリーを撮るのは、こういう人しか出来ない作業なんだろうなぁ、ってしみじみ思う。
クストリッツァもどんどん観直していかないとなー。やっぱりこの人の映画はメチャクチャ楽しい。