しとやかな獣

  • 69 しとやかな獣

俺様採点:5
むっはー!!殺人的に面白い!!凄い!
アパートの一室というワンシチュエーションの舞台劇だから、セリフと人物造形と演技の3つが全てなのだけど、その3つが信じられないくらい素晴らしい。全編通してべたーっとセリフに塗り潰されているけど、つまらない所が一切存在してない。全く隙がない。最初のピノ作というエキセントリックな存在でつかみはオッケー!になってから、怒涛の流れで最後まで突っ走っちゃう。最高。
そしてこれは戦後に西洋化していく日本に対する、真っ黒なコメディでもあるんだよね。全編を貫く丁寧な笑いに、その失笑のエッセンスをひとつまみ、のバランスのセンスも見事。
しかしまぁ、いつ観ても悪女が嫌になるほど似合う若尾文子、そして完璧なセリフ回しで劇中の笑いの部分を独り占めしちゃう伊藤雄之助の腐れオヤジ。最高。


しかしまあ、その内容でタイトルが「しとやかな獣」と来たもんだ。センス良すぎるだろう。