「海炭市叙景」「赤線地帯」「残菊物語」「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」

俺様採点:4
とてもいい映画だ。リアリズムだけでは映画にならない。詩的なだけじゃ面白い映画にならない。叙情性がなくてはつまらないけど、多いと吐き気を催す。そのバランスをとても的確に配置した良作だと思う。
この作品とはつまり、「街」の情景とそこでの人間の営みをただ淡々と切り取って提示していく作業と同義だけど、その風景の一つ一つの佇まいの中から染み出す叙情性や、街の香りに、ぐいぐい引きこまれてしまう。152分と言う決して短くない作品にもかかわらず、緊張感を張り詰めさせる作業や派手な動的描写が一切なく、また各エピソードが繋がる瞬間のカタルシスをそれこそ「パルプ・フィクション」みたいに一気に爆発させるようなことをせず、ただその情景の説得力のみで、最後まで全く飽きさせずに進むという事は簡単なことじゃない。凄いね。
しかし谷村美月さんはすっごいカワイイ役も、地味でブスい役も出来るのがいいね。女優の力量はブスとビッチやらせた時に分かると思う。ねえ?宮崎あおいさん!


  • 10 赤線地帯

俺様採点:3
溝口映画の真骨頂とも言うべきフォーマット。だけど完璧に乗り切れなかったのは、程よく猥雑で程よく悲哀に満ちてる「程よさ」に温さを感じたからかもね。ビッチが本当に良く似合う若尾文子さんはやっぱ凄いです。女優の力量はブスとビッチやらせた時(ry

  • 11 残菊物語

俺様採点:4
ゴダール溝口健二の熱狂的なファンである事は周知の事実だけど、特に溝口映画における静止からトラヴェリングへと移るカメラワークの叙情性に打ちのめされてたんだってさ。その視点から見ると、この映画は本当に凄い。例えば序盤のお徳が菊之助の演技の拙さを指摘する長回しのシーン。本来おこがましい行為であるその指摘に躊躇するお徳のためらいが、横にスクロールする画面の中で菊之助との距離を微妙に測りながら歩く姿に反映されてんだよね。うむ、演出の天才の所作だこれ。正直、個人的に溝口映画ってあんまり楽しさがわかんなかったんだけど、この作品で凄さが分かってきた気がする。
しかしまー菊之助の馬鹿なこと!やっぱり梨園の温室育ちなんてロクなもんじゃないなwwあとどうでもいいことだけど、俺森赫子のモノマネできるわ。持ちネタの一つにしていこう。

  • 12 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑

俺様採点:2
ザッツ・ノット・パーフェクト。
ゴア表現云々は別にまあいいんだけど(ただ、子供を折檻するシーンはドン引きした)、単純に話が面白くないんだよな。目を潰された子供がいるなら、復讐しに来いよ!!あと1年も準備したのに、あんなに行き当たりばったりな復讐するなよ。しょっぱいなー。そもそも事前にガサ入る情報分かってたんだし、彼女連れて逃げとけよ!登場人物が馬鹿だと楽しめない、の典型だな。