13年12月に見た映画まとめ

一日に一本のペースで映画を観ていこうと、去年の12月の5日くらいに思い立ちまして。とりあえず観たらツイートしておくことを習慣にしようと思ってるんですよ。感想は140字以内ってのもちょうどいいし。んで、1ヶ月に一回ここにまとめておきます。ということで13年12月の分です。



【♯1 ファントムオブパラダイス
実は2年ほど前にDVD買ってから、全く観ずに放置してたんですけど、今日やっと観ました。最高でした。なんですかこれ。楽しく悲しくいかがわしい。完璧ですね。


【♯2 仁義なき戦い
すげぇ久々に観た。前はVHSで観てるはず。31歳になって観たら、大学生の時じゃわかんない良さが色々あった。なんであんなに愚直に犠牲になっちゃうんだとか。あと昔の日本映画を色々観てから観たのも大きい気がする。孤高の名作。


【♯3 南極料理人
面白かったぁ!文句のつけようのない、じゃなくて、文句をつけてもしょーがない映画。1年間中国で限られた日本人界隈の中で過ごした俺から見たら、もっと人間関係がギスギスしたりするもんだろうけど、そんなの描いてる暇がない映画。あと小野花梨ちゃんが地獄のようにカワイイ。


【♯4 ブルークリスマス
最初これなんで岡本喜八が撮ったんだろう?って思ったのだけど、後半の展開で、ああこの人は「肉弾」とか「地と砂」を撮った人なんだって事を思い出した。SFの裏にある戦争と政治と人種の話。NYやパリが出てくる必然性も後半分かるんだよね。ラストシーン切ないな。。


【♯5 仁義なき戦い 広島死闘篇
仁義なき戦いは初代しか見たことなかったんだけど、2作目のこれ最高だった!初代の7倍くらい好き!メイコカジ!美しい!!!千葉真一最高!!!欣也ちゃんかっこいい!!!


【♯6 ウェールズの山】いい映画だった!イギリス映画らしい上品で土着的な映画。タイトルと導入部分がいいよね。オチがそれで分かっちゃうんだけど、そこに凛と進んでいくストーリー展開があるから、些か唐突とも言えるロマンスパートが生きるんだよね。上手いなぁ。


【♯7 オーブラザー!】
こういう映画を観ると、曲がりなりにも新居でスピーカーとかそれなりのオーディオ環境を整えといて良かったと思います。前半で特に感じるクストリツァを思い出すようなドリフ感がすっごい好き。


【♯8 パシフィックリム】
みんなこれを観て俺得映画だ!って言うけど、何度も言うように香港に住んでて香港の映画館でこれを観るってのが本当の俺得なんですよヽ(;´Д`)ノ香港の街並みをビクトリアピークや飛行機や空港から九龍に使うバスから見てると、これをぶっ壊したくなる気持ち良くわかる


【♯9 恋する惑星
インド人だらけのエリア、白いタイル、狭い部屋、薄汚れたシャワールーム、出っ張ってるネオンの看板。九龍辺りのあの光景と恋の話を観て、数か月前の自分を思い出さずにはいられなかった。俺もあの街で恋をしたんだよ。俺もあの子の部屋に忍び込めばよかったかな!!(死んだ目)


【♯10 夢売るふたり
面白かったーー。西川美和上手い。いっつも上手い。こんだけ面白い話紡いで、松たか子の半ケツもオナニーも経血もあわや陰毛も見れるんだから、本当ありがとう。ありがとうございます。そんなに松たか子が好きって訳じゃないけど、ヨックモックくらい贈りたい。そんな感じ。


【♯11 眼には眼を】
恐るべき大傑作。通奏低音のようにジワジワ来てる恐怖が(特に異国に放り込まれる恐怖が凄い)、カラッカラの砂漠の陽射しの中で膨らんで膨らんで、終盤に刺し違え覚悟の悪意が露見して爆発。町山さんがパクチャヌクの名前出してたけど、確かにこれ「渇き」だよね。こえー。


【♯12 もらとりあむタマ子
なんて素敵で幸せな映画!山下敦弘から前田敦子へのラブレターでもあり、目覚めの挨拶でもあるよね。子供から大人、アイドルから女優、内側から外側。その一歩をみんなで笑いながら祝福する映画。だって観た人あそこで一緒に言ったでしょ?おはよーございます!って。


【♯13 ゼロ・グラビティ
IMAXで。画面の視点の変化の快感を極限まで感じられる作品。見終えた後、世界がぐらんぐらんしてた。重力なかったらどっかに飛んでっちゃってただろう。ありがとう。


【♯14 キャビン】
ラストにかけての展開を観ておもしれー!ってなってたのだけど、このおもしれー!感って前もどこかで感じたな。。。と思案を巡らせたら思い出しました。東京ドームで観たハロプロ運動会です。いろんな子がわーわーやってる楽しさ。アイドリングの楽しさにも近いかも。


【♯15 ブラック・サンデー
構造的にテロリストに肩入れしてしまうんだけど(それまでの事情を丁寧に描いてるのはテロリストの方だし、ダーツどかーんだ!わははは!とかカワイイとこ見てるし)、その視線だとラストは不完全燃焼になるのだけど、それまでの緊張が途切れる快感はとてつもない。


【♯16 コンタクト】
地球外生命体への憧憬というテーマが、宗教観やヒューマニズムといったテーマの混濁の中に埋れてしまい、作品自体が冗長になっている印象が強い。


【♯17 ムカデ人間2
1はハイター博士の夢が叶う瞬間をみんなで暖かく見守る素敵な映画。今回もその視点で観る事は途中まで出来たんだけど(素人さんで歯を処理するの大変だなー、頑張るなーって)、なんか針金はめてバックから挿入して、その後バンバン殺す辺りでブレちゃうんだよね。


【♯18 暗戦 デッドエンド】
大好き!すっごい面白かった。刑事と犯人がクロスオーバーして、事故が起きてぐるぐるバット状態になって以降、シリアスな緊張感がちょっと緩んで食べごろになる感じがすごく好き。冷凍庫から出したハーゲンダッツが、ちょっと緩くなって最高に美味になるみたいに。


【♯19 ツナグ】
橋本愛がむっちゃくちゃ気合の入った好演を見せるのだけど、典型的な「説明モノローグ入れてぶち壊し!」っていう罠にはまってた。他にも典型的なやっちゃいけない罠に落ちまくっててびっくりした。あと全体的に照明が気持ちよくない。異物として画面に放置されちゃってる。


【♯20 ベルフラワー
泣けた。あんなブスのために世界を捨てなくていいよ!毛羽立ちとバリのザラザラをなぞりながら泣く映画。


【♯21 セリーヌとジュリーは船で行く】
飴を食ってからのドラッグムービー的なカットアップはすっごい楽しいのだけど、そこまで長すぎじゃね?もっとビシッと出来たのにとは思うけど、この長さがいいって意見もあるのだろうなというのは分かる。


【♯22 ごめん】
チンポあるある。定規で測る。これでやられた。これで掴まれた。俺もこのくらいアグレッシヴに好きな女の子に突貫していくべきですね。小6にとっての中2とかやばいよね。その壁を越えようとする気概が俺には足りないのだ!


【♯23 ルビー・スパークス
傑作。エロゲー文法の脳内彼女から始まり、散々ヒロインにメロメロにされた後、最後は恋愛におけるエゴとの距離感という大問題に着地。見事。んでこの見事な脚本をこの死ぬほど可愛いゾーイ・カザンさんが書いてて、ポール・ダノと実生活でもなんやらであああっていう


【♯24 ヤング・ゼネレーション】
出自の話。それを青春まっただ中で自分が揺らいでしまう人物たちを通して描いた時点で、もう「勝ち」だよね。素晴らしい脚本。そしてラスト一周のシークエンスに鳥肌。


【♯25 イノセント・ガーデン
パク・チャヌクはハリウッドに行っても積年の怨念と暴力の連鎖を描くのだね!こういう作家性を失わないってのは実は非常に難しく、尊い事だと思うんですけど、それを美しい画面設計と共にやってしまうパク・チャヌクは素敵だと思います。


【♯26 クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険】
やはり傑作。しんちゃんの映画はいつも、日常が犯されて日常ではなくなっていく恐怖が物語の推進力になってるけど、ヘンダーランドとオトナ帝国の怖さは図抜けてる。あとファンタジーはアニメの特権であるっていう気概が見えるのがいいよね。


【♯27 かぐや姫の物語
かつてポニョを「神経症と不安の時代に立ち向かおうとする」映画だってジブリ自身が宣伝してたけど、この映画こそ、そのコピーに相応しいと思う。死は常に傍らにあって、ともすればふらっと足を踏み込んだり口を開けたりする物だけど、それに対抗する力強い生命の映画。


【♯28 クレしん 暗黒タマタマ】
原恵一の素晴らしさは映画的素養、映画作りの基礎体力がとても強靭だっていうことに尽きるんだよね。久々に見返して、アクションを軸としたエンターテイメントとサービス精神の山盛りを、こんなにスルッと喉越しよく出せる理由がそこにあるんだなと痛感。


【♯29 クレしん ブタのヒヅメ】
10年ぶりくらいに再見したけど、これって母親の映画なんだな。みさえ、お色気はもちろん、ぶりぶりざえもんにとってしんのすけは母親でもあるんだ。そしてやはり塩沢兼人ぶりぶりざえもんの金字塔。ぶりぶりざえもん好きにとってはこれ以上ない作品。


【♯30 クレしん 温泉わくわく大作戦】
クレしん映画では春日部の街の住人全員が非日常に放り込まれるという展開がいくつかあるけど、その状況を描いた中では一番これがグッと来る。全体的にプロットが粗いのだけど、そこだけはたまらん。


【♯31 クレしん ジャングル】
原恵一のヒーロー論に関する作品。正直、これもプロットがちょっと雑なので、次作のオトナ帝国であそこまでジャンプアップするってのはリアルタイムで観てたら想像もしなかっただろうな。


【♯32 こわれゆく女】
底なしの大傑作。凄すぎて腰が抜けた。家族に内在する問題に戦う時には、それが外部に波及する事とも戦わなくちゃいけない。その戦いが露見する度に胸が苦しくなる、そんな強烈な体験としての映画。最後の子供のガッツポーズと、エンドクレジットの二人の姿に震えまくった。


【♯33 市民ケーン
かなり前に映画史的なお勉強の為に観て以来、久々の再見。破れかぶれになったら部屋をめちゃくちゃにする、の原典もここだったりするんですかね。


【♯34 奇跡】
カール・テオドア・ドライヤーの方。とても精緻なフレームへの出入りの映画。特にヨハネスが画面に現れる瞬間の緊張感が凄まじい。


【♯35 人生万歳!】
やっぱりこれがウディ・アレンの最高傑作なんじゃないかと思う。whatever worksってウディアレンの人生論を最も端的に表した言葉だよね。そしてこれが恵比寿ガーデンシネマにかかった最後の作品ってのも出来過ぎ。毎年年末にこれを観るのが習慣になりそうだ。