悪魔とダニエル・ジョンストン

結論から言うと、個人的に人生のベスト5に入る作品になった。そして、音楽の効力とか作用とか、まあ、歯の浮くような表現をさせて貰えば「音楽の力」をちょっとでも信じている人全てに観て欲しい作品だと心の底から思う。
ダニエル・ジョンストンという人を語る時、必ず「純粋」という表現が使われる。それは間違ってはいないんだろう。ただ、彼の純粋さは人を感動させたい、楽しませたい、というポジティヴな方向に発揮されるのと同時に、狂気・混沌・傲慢にも発揮される。その二つの方向を追いながら、彼の歌う「you」と「love」の裏にこびりついた彼自身の歴史を丁寧に描き切った素晴らしい作品だと思う。



観終えて最後に彼の歌う「you」と「love」を反復しながら、彼の「純粋さ」というあまりに深遠な世界を俺はどうやって咀嚼して理解すればいいんだろう、とぼんやり考えながら渋谷の喧騒の中を駅に向かって岐路に着きました。
しかし、上映館がシネマライズで良かった。ギラギラのネオンに満ちた渋谷のど真ん中で良かった。吉祥寺のバウスシアターだったら、誰かが俺の真っ赤な目に気付いていたかもしれないから。