【レビュー】ナビスコカップ第5節 甲府戦＠小瀬

ヴァンフォーレ甲府 0-0 アルビレックス新潟
えー、結論から言ってしまいます。一言で言えば物凄くつまらない試合でした。新潟にとってだけでなく、恐らく甲府にとっても今シーズンで一番スペクタクルな要素に欠けた試合だったと言えるだろうね。
この試合の立ち上がりは先日の対戦をそのままトレースしたように、甲府がボールをポゼッションして、新潟が様子を伺うという試合展開で進んだ。ただ、先日の新潟はフワフワしながらもラインの裏をつくという明確な戦術を打ち出しながら戦ったけど、この日の新潟は何を狙うのか分からないまま時間を過ごしてしまったように見える。その原因の一つはシルビーニョの不調。開始10分までに二つほど致命傷になってもおかしくないミスパスを相手にプレゼントしたあたりで、なーんか不安定だな、って思ったのだけど結局そのまま「なーんか不安定」な状態でゲームを終えてしまった。怪我開けの連戦って事でコンディションが良くなかったって事なんだろうけどね。対する甲府もDFラインから中盤でのショートパスはそつなく繋がるものの、日曜の試合で非常に効果的だった大きなサイドチェンジやロングパスの精度が良くなく、それがリズムを崩す要因になっていた印象。
試合が進むにつれ、新潟はエジと深井が甲府のDFのギャップを狙って裏に飛び出そうという意図が見え始め、不調のシルビーニョが沈黙する中、唯一のボールの出所と言えるリシャルデスが絡んで何度か形は作るもののどれも単純な攻撃に終始し、単発で終わってしまうために波状攻撃にはとてもならず、甲府からゲームのリズムを奪い返すことが出来なかった。
甲府も攻撃のフィニッシュに至るラストパス、クロスがことごとく精度を欠き、試合を通してボールを支配していたにも拘らず殆ど怖さを感じる事はなかった。本当に決定的だったのは、右からのクロスに新潟のDFが足を滑らせてしまいフリーでシュートを打たれたシーンなど、数えるほどだったしね（結局当たり損ねで北野の手に力なくすっぽり収まったのだけど）。
そんな両チームともに連戦の疲れもあってかグダグダな流れの中、いたずらに時間は過ぎてしまい、いつの間にか試合終了の笛を聞く事になりましたとさ、ってのがこの試合の結論なんだろうね。しかも審判も最後は「せめてロスタイムでのドラマティックな展開を････」と懇願する観客を無視して、主審と副審がオフサイドのリスタートの位置について話し込むというグダグダっぷり。あれどっちのチームにも、観客にも、誰にも徳にならないじゃんねぇ？試合を通してのジャッジングについては大きな問題はなかったと思うけど、ああいうのは「主審の仕事はサッカーというエンターテイメントが円滑に進むようにお手伝いする」って基本が抜け落ちちゃってるよね。はぁ。
んじゃ今日新たにスタメンで起用された選手をざっとおさらいしときます。まずは深井。先述の通り、エジと共にラインの裏を狙う動きを試合を通して見せていたし、前線からのプレッシングも良かった。でも、以前貴章のインタビューで読んで知ったんだけど「FWのどちらかは相手のボランチにプレスを掛ける」っていうチームとしての約束事があるらしいのだけど、それを忘れてて淳さんに注意されるシーンがあったね。あの辺がチームに完全にフィットしてない部分なのかも知れない。ただ、その辺が整理されれば間違いなくもっともっと殺傷能力高めの兵器になるはず。頼むよ。
続いては河原。正直ってかなり彼にとってはかなり厳しい試合になったね。サイドバックとの連携でサイドアタックを仕掛けるのか、中に切り込むのか、パスを循環させる役割を担うのか、裏へ飛び出すのか･･････などなど何を選択していいか分からないまま、殆ど何も出来ずに交代になってしまった印象。これは松尾との恐らく殆どぶっつけ本番であったであろう関係もあるし、チームとして殆ど動かない試合展開の中では力を発揮するのは難しいってのもあるし、エクスキューズは確かにいっぱいあるんだけどね。でもそんな中でも何も出来なかったという事実を咀嚼して、次に繋げてくれい。最悪な経験も積み上げれば財産だ。
続いては松尾。ここがこの試合のポジティヴな面かな。この試合の松尾はとても良かったと思う。状況判断・対人、共にそつない守備。そしてマリノス戦に続いてセットプレーでの決定的な仕事（ファーに流れたボールをグラウンダーのシュート→サイドネット）。セットプレーでこういうゴールの匂いを漂わせるってのは一つのセンスなんだろうね。1点取れちゃったらスタメン取れちゃうかも。がんばれ〜。
とまあ、こんな感じですね。他会場の結果を見ると、グループリーグ最終節のホーム名古屋戦の結果によって色々変わってくるみたいだけど、とりあえずは勝てばいいのだ。それでいいのだ。次も過密日程の中で行われるし、今日のようなコンディションが整わない中で何が出来るかって事をもう一度整理してくれ。そして決勝トーナメントへ行こう。何が何でも行こう。いつかトップに立つために、ここで得られるだけの経験は全て得ようじゃないか。勝つぞおらー！！！！！！！！！！！！！