【ハーフシーズンレビュー】2007シーズン前半戦を振り返る

さーて、熱病のようなギャル曽根熱も終焉を迎え、今は完全にサッカーモード復活してきたよぉぉぉ!!ていうか明日にはガンバ戦だよ!やっと中断期間が明けるよ!!
という訳でずっと書こう書こうと思ってた前半戦のレビューをこのタイミングで、ていうかガンバ戦のプレビュー書かなくちゃいけないのにそれ無視して書いてみます。リミットギリギリで書いちゃうところが俺らしい!!かっこいい!!だからダメなんだ俺は!!www
んでそのために今日新しいキーボード買って来たんだよww何だこのモチベーションwま、ずっとエンターキーがグダグダになってたから、変えるタイミング探ってたんだけどね。ま、ウダウダ言ってないで始めますか。多分、かなり長文になりそうだけど宜しければお付き合いを。


とりあえず色んな要素があるので箇条書きで進めたいと思います。

  • 昨シーズンからの継続性 その1 〜システム編

なんと言っても今年は昨シーズンの遺産が花開いたシーズンだろうね。就任当時からずっと変わらない4-4-2のシステム(4-2-3-1のような形になったりしたけどあれは4-4-2の変形だし、試合中に3バックに変更したこともあったけどあくまで試合の流れで採用しただけだしね)。そのシステムが今年やっと一つの完成形に達したのだと言っていいと思う。
そのシステムの話を詳しくすると、淳さんの理想は山形時代の2年目の形を見ても分かるけど4-1-3-2の様な形なんだと思う。4バックの前に1枚アンカーがいて、その前にゲームを作るセンターハーフが君臨。その根幹をしっかり築いた上で、2トップが動きまくってスペースを作り、そのスペースを利用してサイド2枚のMFとサイドバックの果敢なサイドアタックや、2〜3列目の飛び出しを誘発するという発想。これを去年1年かけて実行した事で、選手たちが本当の意味で理解したのだと思う。
結局、千葉戦やガンバ戦で顕著だった様に、相手の猛攻に曝されても去年の様にそのままズルズル失点するのではなく最終的に勝利を収める事が出来たのは、ボランチの関係が縦関係になってアンカー役がDFラインのフォローをしっかり遂行できたのが大きいと思う。もちろん、去年と比べて千代反田充永田充というセンターに於ける強力な守備力や坂本將貴内田潤松尾直人というサイドの守備力が補強されたと言うのも大きいのだけど、このシステムの理解度のアップがチームにもたらしたものは無視できないだろうね。
それとそのシステムにおける重要なポイントである「動けるトップ」をまさに体現する矢野貴章、アンカーの前のセンターハーフシルビーニョ、アグレッシヴなサイドバックに内田と坂本、と言ったように淳さんの理想のシステム・機能性を考えて、適材適所の選手補強を行った強化部の審美眼の素晴らしさも、改めてここで褒めたいと思うよ。

  • 昨シーズンからの継続性 その2 〜戦術編

ただ、システムはあくまでシステムなのであって、昨シーズンからの継続性という話をしたときに一番重要なのはその戦い方そのものだろうね。「前線からプレスを掛けて高い位置で奪い、素早く攻守を切り替えて攻める」が基本コンセプトであり、それに加えてチームとして状況判断に優れたポゼッション力を高めていくという狙い。そしてこのチームを語るときに最も重要な言葉である「アグレッシヴ」の意味の咀嚼。そういった部分が去年と比べて日進月歩で成長している、というのがこのチームの好調の主因だと思う。
この「アグレッシヴ」という要素の中身を考えていくとそれはもう余りに多彩なのでなかなか説明しきれないし、現場の人間だけが知り得るサポーターじゃ理解できない部分もあるんだろうけど、一言で言ってしまえば「自分達の特徴を積極的に出して、ゲームを主導して進める意識」という事なんだと思う。
反町時代の新潟は基本的には受動的なサッカーだったと言える。しかし、鈴木淳体制になってからは、完全に能動的なサッカーにシフトチェンジ。しかしその中でも共通してるのは「死ぬほど走る」という事。これはもはや新潟の絶対的なチームカラーと呼んでいいと思うのだけど、それを最大に活かすサッカーを選択したのは実に正しいだろうね。持ち前の運動量を前述の通りの「前線からプレスを掛けて高い位置で奪い、素早く攻守を切り替えて攻める」の精度を高めるために使用するという事を、チーム全体の統一意識として持つ。これが新潟の戦術の根幹だ。そしてその根幹がしっかりと根付いたのが今年のチームだろうね。
ただ、この持ち前の運動量をベースにしたアグレッシヴな姿勢をどこで発揮すればいいのか、と言う点が曖昧になっている事が多かったのが去年の新潟だったと思う。だから良い時は良いんだけど、ダメな時は修正が効かずに試合終了の笛を聞いてしまうというパターンがあまりに多かった。しかし、今年の新潟が違うのはこういったポイントを絞れるようになった所。勝負所を見つけ出す能力の向上と言うかな。ま、この詳細についてはこの後言及します。

  • 攻撃ユニット・オプションの確立

山口→マルクスラインや、オゼアスファビーニョエジミウソンラインと言ったように、これまでの新潟には確実に計算できる攻撃面でのユニット・オプションが存在していた。ただ、昨シーズンは結局これと言った決定的なユニットの開発が最後まで出来なかったように思う。それが去年競った試合の中で、いくつも勝ち点をこぼした大きな原因の一つだったのは間違いないだろうね。
ただ、今年は内田&マルシオ・リシャルデスという右サイドでの確固たるユニットが完成したのが本当に大きい。序盤は左の坂本や慎吾のコンビがどちらかと言うと目立っていたのだけど(今開幕戦の大分戦を見るとうっちーの攻撃の自重っぷりは異常wwwまあ、根本を完璧に押さえ込むような守備のセンスはさすがだけどね!)、マルシオがフィットするのに比例してどんどんその殺傷能力を増していった感じだね。二人で2段構えの守備をしっかりする事を大前提として、カウンター時には互いに追い越しあってサイドの一番美味しい部分を狙いに走り、遅攻時にはこの二人が右サイドで基点を作ってポゼッションの中心になる。素晴らしい関係性。
それとエジと貴章の2トップのコンビネーションが2年目に入ってやっとその精度を上げてきたのも大きいと思う。昨年は守備に奔走する貴章と、コンディション最悪でふらふらと曖昧なポジショニングを繰り返すエジの関係がバラバラだったけど、今年は互いの関係性をしっかり理解して(そしてエジはすっきり痩せて!)、非常に機能的な動きを見せているね。
特にこの二人のサイドに流れる時のプレー精度は抜群。これはジュビロ戦で顕著だけど、相手のサイドの脆弱なポイントを見逃さずにどちらかがサイドに開いて、もう一方がセンターに走り込むというタスクを巧妙に遂行できるようになった。これによって今年の武器であるサイドバックの駆け上がりを呼び込み、相手のバイタルエリアを混乱させる事ができる。
新潟は守備も攻撃も個人技よりも全体が一つのユニットとして動くチームだけど、攻撃はこの二人の献身的で機能的なプレーによる所が本当に大きいね。この二人が揃わなかった浦和戦、名古屋戦、大宮戦の攻撃の停滞はそれを証明してると思う。
それとここでもその二人を一番近い位置でフォローするマルシオの存在も忘れてはいけない。ゴール数もシュート数もトップ3のこの貴章、エジ、マルシオのトライアングルの中で最もアクセントの付けられる選手であり、内田と絡んでも最高の仕事をする職人でもある。この極めて柔軟で豪壮な魔法使いこそが、今年の補強の最大のアタリである事に異論を挟む余地はないよね?

今年の大きな変化として、先制されても同点・逆転に持ち込めるようになったと言う事と、アウェーでも勝ち点を拾えていると言う点があると思う。この原因については色んな所で語られてるけど大抵が「精神的な強さ」という表現をしている。そして「坂本の加入によって」とか色々と理由を付けているけど、それって間違ってはいないけど、個人的には余りに曖昧と言うか、何か腑に落ちない気分だったんだ。でも今週のサカマガに乗っている淳さんのこの言葉で、すっかり溜飲が下がったのでちょっと紹介します。
「今年は試合の中で相手を肌で感じる事で、現実的な戦い方が出来るようになった」
というもの。そうそう、それそれ!!精神的な強さ、という表現よりは「賢くなった」って方が近いと思うんだよね。試合の中で状況に応じてアジャスト出来るようになったのが今年の最大の成長だと思う。
例えばガンバ戦なら3トップに移行してきた相手に対して、勲を下げて3バック気味にして坂本を極端に前線に張らせることで相手の守備の混沌を生み、そのたった数分間のチャンスを逃さずに貴章のゴールを生んだ。神戸戦ではアクシデンタルな失点の後も焦る事無く、むやみなロングボールを放り込んで神戸のカウンターの餌食にならないように、じっくりと試合を進め、チャンスと見るやサイドバックの位置を高くして一気にシフトアップして3点をぶち込んで早々に勝利を決定付けた。
これはあくまで一部だけど、こういう試合中での状況判断が本当に上手くなった。さっきちょっと言及した「どこで自分達の特徴を発揮するか」「どこにポイントを絞るか」「どこが勝負所を把握できるか」って部分をしっかりとチーム全体で意思統一できるようになった。我慢するときは我慢。相手の脆弱な部分を見つけたら一気に攻め立てる。そんな「大人なアルビレックス新潟」になりつつあると思う。
だから坂本がチームにもたらしたのは「精神的な強さ」というよりは「賢さ」なんだと思う。淳さんの言葉を借りれば「実力の差があるのに精神力でどうにかしろって言うのは無茶ww」って事だよね。まだまだ本当にトップクラスとは言いがたい実力しかないウチが、トップチームとのを埋めるのはチーム全体での賢さ。これしかないんだよな。冷静に、賢く、ただし熱く。この思考のバランスが上手く働いているのが今年の新潟の充実を支えているんだと思うよ。
そして何より、こういう状況判断の上手さこそが、強豪チームになるために必須な要素だと思う。かつて鹿島が恐ろしいほどの強さを誇っていた時は、こういう状況判断が呆れるほど上手かった。そんなチームに、ちょっとだけなりつつあると言ってもいいと思うよ。ただし、開始早々の相手の猛攻に冷静さを完全に失った清水戦や、最後のフィニッシュの集中を欠いたせいでグダグダに終わった横浜FC戦、そして悪夢のようなマリノス戦のような青い部分もまだまだたくさん残ってる。冷静に現状を分析するのは続けていかなければならないだろうね。
だから、いつか本当の強者になるために、今はこの大人になりつつある状態を止めてはいけない。7位という目標は極めて正しい目標だと思う。ただし、最後まで上を見続けて欲しい。あくまで勝利を狙う姿勢の中にしか、将来本当に勝つための経験値は得られないからね。

  • 4月・6月の好調、5月の不調

ここまでの成績が大変素晴らしいのは間違いない。ただし、一つ今後の反省材料にしなければならないのは5月の連戦での質の低下。(このタイミングにナビスコの予選突破のための重要な試合が集中したのは不幸としか言いようがないね。改めて悔しすぎる!)
とにかく、走れなくなった。そして判断も極端に鈍重になった。それは間違いなく目に見えるようで見えにくい「疲労」というシーズンを通して戦わなくてはならない敵に、ボロボロにされてしまったのが原因だろうね。
そして中断開けにいきなり迎えるこの夏の連戦。9日で3試合の後に、7日で3試合という悪魔のようなスケジュールが待っている。ここで、5月の経験をどう活かすか。
全試合走り通すのは絶対に無理だ。ただし、走ればウチはべらぼうな強さを発揮できるのも間違いない。では、どこでどう走るのか。どこでサボるのか。大人になりつつあるアルビレックス新潟の次なる課題はここだ。ここでその回答を見事に導き出す事が出来れば、誇張じゃなく、3年以内にリーグ優勝を現実的な目標に設定していいチームになれると思う。



後半戦の新潟は、ネクストレベルに行く可能性も、現状維持に留まる可能性も、落ち込む可能性もそれぞれ大いに孕んでると思う。だから、やっぱりこのチームは楽しい。というわけで後半戦のファーストラウンドにして最強の相手、ガンバ戦を見るべく大阪行って来ます。ガンバ戦のプレビューは高速バスの中で携帯で書くか。
何だこのモチベーションは!!きゃっほい!!!!!