【レビュー】08年第1節 大宮戦@NACK5スタ

大宮アルディージャ 2-0 アルビレックス新潟
スタッツ
淳さんも言ってたけど、現時点での完成度の違いが勝負を分けた試合って事だろうね。開幕のこの試合に向けてどれだけいい準備が出来たかどうかの違い。代表に選手を取られず、怪我人がほぼ皆無だった大宮と、貴章がずっと代表に取られてて実質2週間くらいしか練習に参加できず、千葉ちゃんもアメリカ遠征に取られ、怪我人続出の新潟。その差が分けたのだと思う。不確定・曖昧な部分が多かった新潟に比べ、大宮はよく整理されてた。
試合の立ち上がりは圧倒的な新潟ペース。貴章とアレッサンドロの2トップがアタックポイントを絞りきれない大宮のディフェンスを左右に翻弄し、ダヴィがスタートポイントの左から中に入り込むことでボールに積極的に絡む。その結果新潟の前線を捕まえきれない大宮の守備陣をかいくぐって千葉ちゃんのミドルとか(ああいうミドル持ってるんだから今年は積極的に狙ってね。)アレ→貴章→ダヴィと繋いで決定的なシュートを放ったシーン、そして貴章が波戸をぶっこ抜いてクロス→ダヴィとアレが絡む混戦、などなど決定的なシーンを作り出す。
それと効果覿面だったのは縦へのロングボール。特に永田のボールは今年もセクシー過ぎる弾道を描きまくり。それと貴章が色んな形で動き出してボールを引き出し、その空中戦を高い確率でマイボールに繋げてくれるのが大きかった。
しかしその流れはあまりに唐突にぶっ壊されてしまう。25分まで決定的なシーンが皆無だった大宮に訪れた最初のチャンス。小林大悟の縦パスがペドロ・ジュニオールに渡る。ここで永田がびっくりするくらい緩慢なプレーで交わされてしまいズドン。1-0。ほとんど前触れがなかった中でのこの失点以降、新潟が掴み取っていた流れは停滞してしまった。
特にその得点以降は大宮のレアンドロ・富田のCBとボランチの関係が整理されて、新潟の前線をしっかり捕まえられるようになったのが大きかった。その辺が現時点での完成度の差なんだろう。
ただ、大宮に猛攻を仕掛けられたかといえばそうでもなく、両チームともチャンスを潰しあって前半は進む。なので、このゲームは絶対にこのスコアのままで折り返さなくてはならなかった。しかし、ロスタイムに入って大宮のCKから始まった嫌な流れの中、絶対に取られちゃいけない2点目を取られてしまう。この2点目が本当に痛かった。特に千代はDFリーダーとしてそつなく終わらせる責任があったと思う。あの軽いプレーはマズ過ぎた。
千代と永田という新潟の守備の絶対的な柱2本に起きてしまった不具合。これが結局このゲームを決定付けてしまったとも言えるだろうね。ここはしっかり反省して次に繋げてくれ。そこが崩れるとこのチームは瓦解してしまうのだから。
そして後半。前半同様、立ち上がりは新潟ペース。前半は影を潜めた内田の攻撃参加が増え始め、それに伴ってダヴィが右に顔を出すシーンが増えると攻撃にリズムが生まれ始める。そのいい流れが爆発したのは60分過ぎ。貴章が反転でレアンドロを抜き去る→シュート、CKから貴章ヘッド→江角スーパーセーブ、再びCKから千代が落として貴章シュート、という決定的なシーン連発して作り出せたのだけど、不運にもゴールラインをギリギリで割ることは出来なかった。
そうすると新潟の流れは次第に停滞し始める。この辺で大宮に上手くしてやられたのは、大宮が前半に比べてラインをちょっと深めにした所。その結果、新潟の最大の武器である「高い位置で奪っての速攻」を殆ど繰り出せなかった。そうなるとダヴィの一歩目の上手さで数的優位を作ってもスペースが生まれないので勝負パスを出しても勝負できない、って状況が続く。
それを打開すべく、消え気味だった寺川に替えて河原を右サイドハーフとして投入したのだけど、大きな影響は生まれない。それどころか、全体的に攻撃→守備への切り替えが遅くなり始めた新潟の流れの中で、河原が波戸や土岐田や片岡と守備で対峙しなければならないシーンが増えてしまい、試合はどんどん膠着する事になってしまった。
とまあこんな感じで、後半は2点のリードを手に入れた大宮の守備に上手くうっちゃられてしまい、試合終了。
正直、もっとギッチギチの試合になると思っていたのだけど、互いに上手く守備組織にギャップを作り出そうという意識が働いて、オープンな展開もありながら要所では締まりのある試合になったって印象だね。まさか大宮戦でこんな話をするとは思わなかったがw



で、こっからはやはり新加入選手、アレッサンドロとダヴィについて言及せねばなるまい。まあまだ1試合しか観てないから分からない部分は多いけどね。
まずダヴィだけど、彼はもっとこのチームに慣れてくれば、新潟の攻撃の中心の一人なれるポテンシャルはあると思う。言われてた通り技術はしっかりしてて上手いし、よく走って守備をするし、何より大きいのは守備→攻撃に切り替わった時の一歩目で相手をいなして前を向ける所。去年マルシオがあれだけ新潟にフィットしたのは、アグレッシヴな守備から一気に攻撃に転じるという新潟のスタイルの中で、その「一歩目」のクオリティの高さが存分に活かされたからだと思う。それと同じ形、ダヴィにも期待していいんじゃないだろうか。
で、ダヴィとマルシオの違いって事で考えると、マルシオがどちらかというと自分自身が動いて攻撃に絡む1.5列目タイプだとすれば、ダヴィはパスを供給していくタイプって印象。特に今日は成功率低かったけど、縦に勝負パスを送ろうとするシーンが多かった。この「勝負パス」って今まではあんまり新潟のサッカーでは重要視されてなかった要素だけど、アレッサンドロという新しい選手が入ったこともあるし、新たな新潟の攻撃の一手になる可能性あると思う。
あとはサイドバックとの関係性。去年の新潟の最大の武器は右サイドのうっちー&マルシオのユニットだったのは間違いない。そのユニットが中心となってポゼッションし、サイドアタックを仕掛けていたからね。それを左でも作り出せるか。ダヴィは中に入ってリズムを作る事も多いタイプのようなので、そのスペースを松尾や洋司が上手く使えるか。さー練習あるのみじゃ!
次にアレッサンドロだけど、思った以上に守備をするし、ポストプレーも巧みな選手だという印象。特に守備面で中盤と一緒にガシガシ的確なプレスに行くのには驚いた。最初はただ右往左往してた04年序盤のエジとは大違いだw
で、今日の試合では彼にクロスやスルーパスが渡って、フィニッシャーとしての実力を見せるシーンがあんまりなかった。開始早々に勲のパスから抜け出してシュートを放ったシーンくらいか。これはひとえに、彼がどこで欲しがる選手なのかをまだチームが理解してないからなんだろう。それと彼はやっぱりボールを受けてパスを配給してリズムを作っていくタイプなので、チームとして彼を含めた組織自体がまだ不十分な現状ではまだ真価は発揮されないだろうね。それにはただひたすら時間が必要だ。で、その組織構築のために必須なのは次に話をする人だ。
で、今日はやけに長々と書いてきたけど、結局一番言いたいのはこれ。
矢野貴章、ついに目覚め。素晴らしいプレーだった。
やっぱりアルビレックス新潟というチームは、貴章のバケモノのような機動力を生かすサッカーをするべきチームなんだと思う。前線からチェイスしまくって守備の第一陣となり、ロングボールのターゲットとなって空中戦をマイボールに繋ぎ、左右に動きまくってボールを受けてキープし、時にドリブルで守備をかき回す。そして何より、ゴールを決める。
これはずっと貴章が担ってきた仕事だけど、これを彼が行うことを前提としてチームを構築するのが新潟のチーム作りなんだと、今日の試合を観て改めて強く思った。なので貴章が代表に取られてた時期を埋めるのが序盤戦の新潟の課題になるだろう。もう一度貴章がいる事でどう守備が動くのか、どこにスペースが生まれるのかって事をチーム内ですり合わせしていく必要があるだろうね。特にアレッサンドロとはね。スペースに飛び込んで一瞬の勝負をするのがアレッサンドロの真骨頂なんだろうしね。


という訳でクソ長文だったけど、要はホーム開幕戦のFC東京戦には絶対に勝つぞ、って事だよ。今の道筋は間違いない。今後は精度をどう高めるかって事が重要だろう。そして怪我人が早く戻ってきますように。