【レビュー】08年第3節 浦和戦@埼スタ

浦和レッズ 3-0 アルビレックス新潟
スタッツ
ただ今ふらふらと戻ってまいりやした。寒い。これ多分風邪がぶり返す予感マンマンだぜヽ(゜∀゜)ノ 埼スタのゴール裏に屋根作らなかったやつちょっと出て来いコノヤロー。


この試合は選手たちも言ってたけど「全体的に考えれば悪くない試合」だったとも言えるだろう。俺もこの試合をそう評価するのには同意する。ただ、そういう「全体的に考えれば悪くない試合」をされても勝つのが浦和の本来のサッカーなのだ。去年の浦和戦@埼スタも、一昨年も、その前もそうだ。そういう意味では、今までから成長してない試合だって一刀両断する事だって可能な試合。この試合を評価するならそういうことだと思う。
まずこの試合のスタメンを観てのサプライズはトゥーリオボランチとして出場していたという点。元々の攻撃力を生かすという意図があったのだろうけど、結局この試合を大きく左右したのがこの采配だったといえると思う。エンゲルスに代わってから、ワイドな展開が次第に出来るようになった浦和の攻撃の中で、一つだけ物足りないのはボランチの攻撃参加だった。しかしここにトゥーリオを置いた事で、新潟の守備を押し込む大きな要素になった。そして守備面では(特に後半)センターに入るボールをブチブチ潰しまくるという八面六臂の活躍。ある意味「奇襲」と言えるこの構成は、恐らく新潟にとっても想定外だったんだろう。
さて、この試合はアクシデントから始まった。開始たった9分で勲が怪我→木暮郁哉イン。ナビスコ大分戦でも結構長い時間使われていたのでこの試合でも出番あるかな、と思っていたのだけど、まさか80分以上出る事になるとは。
で、前半は初めて生で観る彼に注視していたんだけど、これが思いの外良かった。足元の技術は噂に違わぬモノだったし、一番驚いたのは18歳とは思えぬ気の利いたポジショニングと状況判断。浦和のカウンターの芽を的確に潰すシーンを何度か見せてくれたのは感心した。特に前半の途中でトゥーリオとのフィジカルコンタクトに競り勝って新潟の攻撃の起点を作ったのは見事。
で、前半は両チームともにそれぞれの攻撃の意図を明確に持って戦っていた。浦和は奪ってからのカウンターと、トゥーリオの前線への押上げによるバイタルエリアでのパス交換。そして新潟は浦和の3バックのサイドのスペースを突くという狙い。前半のスタートポジションは右にダヴィ、左に寺川という並びだったのだけど、左のテラとヒロシ、右のダヴィとうっちーというコンビはサイドで起点を作り、それに木暮と千葉ちゃんが後ろからフォローしていくことで新潟のリズムを作り出す。
ただ、そうやってリズムを作ることは出来たのだけど、その後のクロス・パスの工夫を欠いたのが痛かった。これはパスの質の問題もそうだけど、やっぱり中で待ち構える選手がどうやって動くかって事が未だに整理されていないってのが一番の問題だろう。前半の最後にファーの貴章の頭→折り返してアレッサンドロがあわやゴール、ってシーンがあったけど、ああいうオートマティズムをもっと作り出して行かなくちゃいけないだろう。なんせ、今の貴章はいいハイボールさえ入れば高確率でしっかり落としてくれるのだから。
前半の守備面で言えば、今までと比べてファーストディフェンスの意識は高かったといえる。特に浦和のカウンターが発動しそうなタイミングでは、守備陣が集中力を高く持って動いていたし、永田のエジをマークするって仕事は前半に関して言えばほぼ完璧だった。
ただ、せっかくこれまでの悪癖である前半での失点を防げそうな流れだったのだけど、永田の不用意なボールロストから素早く展開され、サイドで一枚余ってしまった相馬に流れてズドン。
そして後半の立ち上がりに一気にラインを上げて勝負してきた浦和の攻撃に面食らって、バタバタしたまま、セーフティで切るっていう判断も出来ないまま、前半から危険な匂いを漂わせていたトゥーリオを捕まえきれずたったの40秒で2点目。
結局この試合も取られたくない時間、取られたらキツい時間、絶対に取られちゃいけない時間に失点をしてしまった事がゲームを決定付ける事になってしまった。
すると後半を通して浦和はウイングバックをそれほど上げずにスペースを潰すという形にシフト。するとサイドバックを使うためのスペースが全然作れなくなり、新潟の攻撃に手詰まり感が増してくると、これまでの「ダメな時間帯」の再現が始まる。それはつまり、「意図の見えないセンターへのクサビのパスが多くなる」というもの。
特にアレッサンドロがそれを受けることが多かったのだけど、やっぱり今日もその後でどうやって展開するかって言う事が整理されておらず、ボールロストのスウィートスポットになってしまう。貴章が踏ん張ってボールを捌いてサイドに展開してクロスを上げる、ってシーンでは何度か可能性を感じさせるプレーにはなるのだけど、単発で終わってしまい浦和を脅かすには至らない。後半のポゼッションは新潟の方が上だったと思うのだけど、こんな風にサイドでスペースを見つけられない時にどうするか。これは今後の重大な課題になっていくだろう。
で、67分。新潟の攻勢の中でふっと生まれた浦和のチャンスに、またしてもDFがバタバタしてしまい永井にズドン。3-0。
で、その後に寺川→アトム。淳さんとしてはダヴィを馴染ませるという意図もあったのだけど、正直、個人的にはこの試合ではテラを残しておくべきだったと思う。というのも、この交代で右にアトム、左にダヴィという形になったのだけど、その結果左が完全に死んでしまった。それまではテラとヒロシのコンビが左でリズムを作っていたのだけど、ダヴィとヒロシのコンビは全くかみ合わない。ダヴィが左でボールを持つと共にヒロシが上がってくるのだけど、ダヴィが右往左往しているうちにボールを奪われ、ヒロシが上がったスペ−スをあっけなく突かれるというシーンが2回連続で起きちゃうとか、ちょっとありえない状況だった。
ただ、ここで一つ可能性を見せてくれたのは右サイド。後半の手詰まりの時間から木暮が右でボールを触ってうっちーと絡むシーンが結構あったのだけど、アトムがそこに一枚絡むことでさらにサイドが活性化した。その後にアレッサンドロ→河原で更にその流れが加速したのだけど、ここまではベンチに甘んじてる選手たちが確実にそういうリズムを持ち合わせているって証明してくれたのは大きいだろうね。特にアトムは彼らしいポジショニングの上手さで決定的なシーンを20分間で少なくとも3回は作ってくれた。
とりあえず木暮とアトムの絡みはもう少し観てみたい。とりあえずこの二人はこの閉塞感をぶち破るためのきっかけの一つになり得る存在だと思う。ポジティヴな化学反応を起こすための触媒になれるかどうかは、もっと時間をかけて観てみないと分からないからね。



さあ、ゴチャゴチャ考えてる暇はないぞ。なんせ3日後には鹿島戦、そしてその4日後には柏戦だ。とりあえず今は必要以上にギスギスした雰囲気を作り出さない事だ。
そしてあの選手はいらねーだの、あの選手使えだの、監督変えろだの、フロントの責任云々だのを騒ぎ立てる前に、こっちがやるべき事を考えるべきでしょ。不毛な議論してる暇があるなら、その分勝利を願え。なんせ今日の試合、選手たちは一人残らず全員戦ってたでしょ?それがはっきりした以上は、こっちが戦ってなかったらウソでしょう?