【レビュー】08年第18節 清水戦@日本平

清水エスパルス 3-0 アルビレックス新潟
スタッツ
最低。最低の試合。
俺は病的なオプティミストだから、基本的に負け試合でも「まぁ次だ次にゃは〜ん」「ここがまずかったな。だからそこ修正してくれにゃは〜ん」とまあ飄々としてる方だとは思うんだ。それにここにアルビネタ書く時は、今後アルビレックスアーカイブスになるかもしれないって事を考えながら書いてるから、一時の感情で書きなぐるような事はしたくないってのもあるしね。
ただ、俺は一つだけ絶対に許せないことがあって、それは「前の試合の反省点を全く活かせずに負ける」って事なんだ。完璧なチームなんてありえないんだから、ミスや修正すべき部分が出てくるのは当然の事だし、それで負ける事だってあるだろう。でもそれを修正して次の試合に臨むってのはプロチームとしての最低限の仕事だと思うんだよな。なのにそれを怠った訳だからだから、この試合は最低であったと言うしかないんだよ。あー腹立つ。馬鹿じゃないの。


で、その「前節の反省点」が何かって言ったらそれはもう言うまでもなくセットプレー。マリノス戦の後半からちょっと見えていた「守りに入ったときの要所の潰し方」が曖昧になってたのをセットプレーで完全に露呈してしまった前節千葉戦の失点。これはこの前の試合のレビューでも書いたけど、それまで貴章がゾーンでフリーマンで守って、残りがマンツーで相手選手を放す事無くしっかりと見る。だからこそ16試合でセットプレーから完璧にヘッドで叩き込まれたり、マークがずれて失点したりって事がなかったのだ。
なのに前節に続いて完璧にマークを外しての失点。まずこの試合で最初のCK。大外の高木をびっくりするくらい外してドフリーでヘッドを許して、北野がセーブしたところを青山に詰められるもののボールは上へと外れ失点にはならず。で、俺は最初のCKだったからマークの付き方だけを注視して観てたんだけど、もうはっきりと一枚足りないんだよな。で、あっけなく集団からするすると後ろに逃げた高木にぴったり合わされちゃってる。いやいやいや、そんなのありえないだろ。前節の失点の原因を咀嚼してないの?
で、そこで勲と松尾だったかが(他の選手だったかも)なんやかんやと言い合って、マークの確認をしてたんで、次こそはしっかりしてくれるもんだと思ってたんだけど、前半も終わる所で与えた2本目のCK。これがまたファーで後ろに逃げていくボールで、そこでまた岩下が完全に集団から抜け出してヘッド→こぼれ玉をこれまたファーで逃げてた高木に詰められて失点。あれ?1本目のCKの時に確認してたのって何だったの?ふざけてんの?
で、2-0というしんどいスコアになって、アトム投入してようやく試合がちょっと動き出してきた所で与えた3本目のCK。藤本のキックが放たれるとウソみたいにフリーになってた西澤が実に楽々とヘッドを流し込んで3-0。何あれ?マークに付くとか、ゾーンで一枚守るとか、それ以前の問題じゃん。
俺は千葉戦からこの試合までの練習を見学したわけじゃないからヘタな事は言えないけどさ、どう考えても準備して来なかったよね?てかセットプレー軽くみてたよね?じゃなかったらあんな集中力を欠いたお粗末な守備はしないよね?この試合で清水のCKは4本あったけど、そのうち2本でゴール奪われて、1本はあわやって形作られたんだぜ。4本のうち3本だぜ?これがどんだけマヌケなことかって事だよ。


だからこの試合は運動量云々を話す試合じゃないんだよ。もちろん両チームとも本来の運動量を見せた試合じゃないけどさ。
だって前半に清水に自由に攻撃されたのって清水の右サイドの構造=市川とマルコス・パウロに、新潟の左=松尾とテラが全く対応できなくて、片方で基点を作られて一気にサイドチェンジしたときの対応が遅れまくったのが一番の原因だよ。相手と比べて別段走れてなかったわけじゃない。片方にプレスを掛けに行って全体がスライドした所で一気に逆サイドに持っていく、という戦法に最後まで対応できてなかったのが一番の原因。前節の谷澤の浮きっぷりもそうだけど、松尾とテラのコンビは局地的な守備での連携では大いに問題がある。そこを本当に効率よく突かれたって印象だ。
それと枝村の上がりを気にして千葉ちゃんが引っ張られたのと、その枝村の変わりに後ろに下がってボールを受ける西澤のマークの受け渡し方が全く上手くいってなかったんだよな。そのせいでバイタルを使われちゃうのと、真ん中での相手のポゼッションが上がったので、全体を押し上げる事が出来なかった。その結果新潟の武器である高い位置で奪っての速攻がほとんど繰り出せなかったし、単純なロングボールと遅攻に終始してしまったのだ。
で、それって本当に構造上の問題で、ある程度は修正可能な問題だったんだよ。だから運動量云々の問題で片付けちゃいけないと思うんだよな。守備のやり方の工夫でいくらでも解決策が見出せた問題に、最後まで着手できなかったってのが最大の反省点だ。
それに後半の清水は運動量が落ちて、走る事を諦めて相手にポゼッションさせて後はピッタリ組織作って跳ね返す事に終始したわけだから、走れてないとか、覇気がないとか、そういう曖昧な理由を主眼に置いてこの試合の敗因を考えるのってマズいと思うんだよな。もちろん、互いに連戦と気候の影響で運動量が落ちてたのはあるけど、この3-0という結果を分けるほどの差は無かった。


で、そのスコアを分けたのっていうまでもなくセットプレーだったわけだ。こういうしんどいゲームでモノを言うのはやっぱりセットプレーだったんだよな。なのにサイドに抜けて無理やりCKをもぎ取るとかそういうプレーが皆無で、相手が明らかにセットプレーの守備に問題があるのにたったの2本しかCKを取れなかった新潟と、4本で効率よく2点獲った清水。そこの差だよ、この試合は。


前節のレビューで書いた事繰り返すけど、今年のチームは「踏ん張るべき所で完璧に全体の意思を統一して守備の出来る」チームでなくちゃいけないんだよ。それが出来なかった開幕4連敗という悪夢があって、その反省を踏まえた上でその堅守を手に入れたわけだろ?絶対にその時の反省ってのは今年のチームの根幹にあるはず、いや「あるべき」なんだよ。
で、この前「その緊張感が薄れかけてる気がする」って書いたけど、この試合を見る限りその可能性は高いと言わざるを得ないよ。そこが壊れたら、全て壊れてしまうんだよ。それこそ、開幕4連敗の時の様に。


で、次節は札幌戦だ。超絶リアリスト・三浦トシヤが、札幌の選手のクオリティやJ1のレベルを考えて、得点に関してはセットプレーで点を獲る事だけにほぼ特化してるチームだ。馬鹿でかいの並べていかにして一発のセットプレーで点を獲って、いかにしてそれを守るかってチームだ。そして実際に彼らはそれで点を獲っているし、どんどん調子が上向いてる。
だから札幌戦こそセットプレーの守備に関する反省が生かされてるかを量る格好の試金石だ。しかも新潟の「高さ」の面で大きな武器である貴章が出場停止。セットプレー時に一人ゾーンの守りで跳ね返しまくっていた貴章がいないのだ。さぁ、どうする。


もう一度言う。このチームは、全体として統一した守備意識を持ち、守りきる時はしっかり守るという事が出来なくちゃ瓦解してしまうチームなんだ。そしてその守備と攻撃が表裏一体のチームなんだ。守備と攻撃が互いに影響しあうチームなんだ。ウチにはカカもリバウドマラドーナもいない(ルカ・モドリッチロナルド・クーマンはいるけどなw)だからこそ、全体で守って、そして攻めるしかねーんだよ。


もう一度、確認しよう。話そう。すり合わせよう。それができれば、4連敗の後にあれだけの成績が残せるチームなんだから。それは選手・スタッフ自身が一番わかってる事だろ?もっともっとやれる。このチームは絶対にもっともっとやれるはず。
歩みを止めるな。