【レビュー】08年第30節 浦和戦@スワン

アルビレックス新潟 0-1 浦和レッズ
スタッツ
なんか中居さんの映画の宣伝@スワンと浦和サポのブーイングが東スポの一面になってたなwwwくだらねーwwまーあの茶番は「千葉で河童発見」とか「UFO発見」みたいな、これまでの輝かしい東スポの一面に比肩するレベルのネタであるという事が東スポ自身によって宣言されるという、素晴らしいオチがついてちゃんちゃん、って感じかな。中居君すべり倒してたし、東スポに拾ってもらってよかったね。

まあそんな事はどうでもいい。この試合はここ最近の新潟の問題点、もっと過激な表現をするならば「病巣」が凄く良く見えた試合だったと思う。そして確実に言える事は、今アルビレックス新潟が患っているのは原因不明の奇病ではないという事だ。はっきりと患部が場所が分かってる以上、あとはそれを誰がどうやって治療するか、ってことを考えればいい。傷は浅いぞ!!新潟!!



この試合で最初の注目点は浦和のスタメン。色んなパターンが考えられるスタメンだったけど、トゥーリオ・坪井・堀之内の3バックに、細貝と阿部のボランチで、ウイングバックは右に平川、左に山田。後はトップ下にポンテ、2トップがエジと高原。
試合の立ち上がりからどちらかといえば新潟ペースで試合は進む。まず新潟の守備は、2トップはセンターバック2枚が離さずに見て、ポンテがトップ下の位置にいる時はボランチが、サイドに流れたらサイドバックか、もしくはスライドしたセンターバックが見るという形を徹底。これによって浦和の前線の3枚に当てるという攻撃はほとんど効果を発揮しなかった。それに加えて相手の両ワイドに対しては4-4-2の利点であるサイドハーフサイドバックの2段構えの守備で対応。サイドで起点を作られても、サイド2枚が的確なプレスを仕掛けて流れを停滞させる。結局、この試合で平川と山田の両ウイングバックがサイドをぶち抜いてクロスからチャンスを作るというシーンは数えるほどしかなかったしね。
そんな守備のベースが新潟のリズムを作ると同時に、前半はこの試合の注目点の一つだったアトムが左サイドハーフというスタート位置だけでなく、逆サイドやバイタルに顔を出す事で、そのリズムを加速させていた。やはりスペースの侵入を奪い合う展開になると彼は強い。ただ、そこはなんだかんだ言っても浦和のディフェンス。決定的なスペースを与える事はなく、アトムが触りまくって新潟のポゼッションは上がるものの決定打を出すまでには至らない。
貴章がすんばらしいドリブルからシュートを放ったり、意外や意外な河原のプレースキックの精度もあって(てかまじでこれブラッシュアップすれば新潟の武器になるんじゃね?)セットプレーから中々惜しいシーンは作るものの、決定的なシーンは訪れず、逆に浦和の決定的なシーンもセットプレー以外ではなく前半終了。試合開始から互いに勝負所を見極めながら戦ってきたけど、前半はその勝負所ではないと判断したような印象だった。



そして後半。浦和はメンバーは変えずに、山田と平川の位置が逆(山田が右、平川が左)になる。なんか新聞報道では浦和の控え室で選手が自発的に山田と平川の位置を変えたとか何とか。へえ、そうですか。んで、新聞記事ではそれが奏効して勝利に繋がったって文脈だったけど、それは違うと思う。後半に右サイドからの展開が増えたのは、主にエジとポンテが前半に散々キツイプレスを仕掛けられたセンターを嫌がってサイドに起点を作ろうとしていたから。それは山田のサポート云々が生んだ状況じゃなくて、エジとポンテの個人的なスキルによるものだった。
とまあ浦和の攻撃は前半に比べるとエジのポストもやっと機能してきて(てかエジはこの試合結構良かったな。このやろ!)、少しずつリズムを作り始める。またそれに加えてやっぱり浦和らしい「PA内にボールを放り込んで中での一発の勝負にかける」という形は段々と運動量が低下してくる後半になると効いて来る。


逆に新潟もその全体的な運動量の低下の恩恵を、前半よりも攻守の切替え時にスペースが生まれるようになるという形で享受するようになる。新潟の攻撃はその広大なスペースを使うべく前線へのロングボールを多用し、それをアレが踏ん張って競り合うという形が目立つ。正直、アレにとっては決して得意ではないこのプレーが浦和の守備陣を苦しめていたのは事実だと思う。恐らく、新潟側が思ってる以上に浦和はこの攻撃嫌だったと思う。
それが顕著に表れたのは65分過ぎくらいからの浦和の3バックの位置。前半は横に開いて広範囲をカバーしていた3バックが、極端に中に絞るという形がちょくちょく目に付くようになったのだ。この試合の新潟最大のチャンスって76分に河原が右サイドのスペースがぽっかり空いた所に走り出し、ふわふわしたまんまだった浦和ディフェンスをかいくぐる事に成功して、GKとほぼ1対1になったシーンだけど(てかあれ決めろよ!!!!あれ決めないでどれを決めるんじゃああああ!!)、あれはまさにずっとトライしていた浦和DFへのロングボール戦術が結実したプレーだったと思うんだよね。ロングボールが直接チャンスになったわけじゃないけど、ロングボール繰り返した挙句に浦和の守備が中に集中した所で、サイドが空いたって意味で。
ただ、その上手く行っていたトライをもっと有効活用できなかったのって、端的に言っちゃうとロングボールを競り合うアレをフォローすべき選手達、サイドハーフ2人やボランチ、そして何よりも矢野貴章のポジショニングが余りにお粗末だったからだと思うんだよね。あそこをもっと早くフォローできていれば、間違いなくもっとチャンスは作れていたし、びっくりするくらい広大に空いていた相手のサイドのスペースはもっと有効活用出来ていたはず。

そう、やはり今の新潟の最大の病巣は「点が獲れない」って事。そしてそれはやっぱり点をとるべき前線の選手、特に2トップに大きな責任がある。

あとこの試合でクロスが入ったときにアレと貴章が被るシーンがまた増えていた事も正直萎えた。これは本当に問題だと思う。マリノス戦のレビューでも書いたけど、今の新潟はサイドからクロスを上げるという一連の流れ自体はそんなに悪くない。ただ、それがサイド攻撃の為のサイド攻撃になってしまっているのが最大の問題。もっとそのクロスに対して中で工夫がなければ、絶対に点は獲れない。
その象徴的なシーンが、何分だったか忘れたけど、貴章が右サイドから堀之内(だっけ?)の股を破ってドリブルでペネトレイトしてきたシーン。その後貴章はグラウンダーのクロスを選択して浦和のDFに弾かれてチャンスは潰えてしまった。あれは、明らかに中で準備する選手達(もちろんアレに限らずね)に大きな問題がある。
だって、これまで貴章とどれだけプレーしてきたのって話だよね。貴章が右サイドでああやってボールを持ってDFと対面した時に考えられるプレーは大体3つだ。20%は縦に突っかけてそのまんまクロス。50%は一旦後ろに戻してビルドアップし直す。そして残りの30%はゴリゴリとゴールライン際にえぐってくるドリブルのトライでしょうよ。そしたら何で誰もニアに走ってあげないのさ。ドリブルでそのスペースに入ったら一番考えられるのはグラウンダーのパスでしょ。ならニアでそれに触るのって定石じゃん。俺、貴章が堀之内と1対1になった時点で、その30%の可能性にかけて中の動きを注視してたんだけど、誰一人その可能性をポジティヴに考えてないんだよね。動かないんだよ。そりゃ点取れないわ。



今の新潟の状態って川の下流が塞がってて、滞留物がたんまりたまってる状態だと思うんだ(浦安鉄筋家族なら、国会議員のパンツが破裂しそうにパンパンになってて、あとは花丸木登場でそこにピリッと傷を付けるのを待ってる状態ww)。だから、その塞がってる所にどうやってヒビを入れるか。多分その一つのヒビをきっかけにどばーっと出てくるたんまりの滞留物って、今シーズン絶対に必要な勝ち点分くらいは余裕で含んでると思うんだよね。
淳さんはこの状況を打破する為に「明日シュート練習をしたところでどうにかなるわけじゃない。チャンスを多く作る事が必要」って言ってるけど、その通り。まずはこれまでどおりチャンスを作る事に専念すべき。そこまでは出来てるし、それのブラッシュアップは必要不可欠。ただ、その後にその多くのチャンスの一つを活かす為の工夫を、必死で選手達が自発的に考えるべきだろう。貴章でも、アレでも、マルシオでも、松下でも、河原でも、アトムでも、ケンゴでも、千葉ちゃんや勲、それこそ永田さんや千代であってさえいいんだよ。誰がそこを破るのか。誰がどうやって連動するのか。それをこの中断期間と天皇杯横浜FC戦で必死で考えて欲しい。



あれ?言いたいこと全部言ってしまったwwあとはまあ、細貝が「PA内にボールいれて後は中で勝負!」な浦和らしい、なんていうんだろう、「準パワープレー」みたいな形で失点して、新潟もチャンスあったけどその1歩が届かず惜敗。実に惜しい試合を落としてしまった。


次節に向けてただやる事はとにかく、いい準備をすること。そして勝利の為の1点をどう奪うかをもう一度選手が死力を尽くして考える事。それだけだよ。