チェンジリング

まず最初に、このエントリーはネタバレを含むことになると思います。だから、、まだ観てない人でこれから観る予定の人はこっからスクロールして下は読まない方がいいと思います。ただ、一つだけ言っておくと、これをアカデミー作品賞にノミネートさせないアメリカ人ってアホじゃね?素晴らしいよ。というか凄いよ。本当に凄い作品。久々に早く家に帰ったのでフラッと観に行ったら心の底から打ちのめされちゃったもの。びっくりした。絶対に観るべき!ってお勧めしたくなる凄まじい作品。
では以下ネタばれアリですよ。













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これはね、一言で言ってしまえば「超絶技巧」の映画だと思う。クリント・イーストウッドという老練かつ、ある意味海千山千の作家が、映画を作るというその作業の技術を存分に発揮した凄まじい作品。音楽でいえばグレン・グールドが弾くバッハみたいなもん。いやあ、何度考えてもすごいわ。俺が映画監督を志してる人間なら、何度もこの映画をメモ取りながら観ちゃうと思う。
これは実話を元に作ってるって事なんだけど、これだけいろいろなエピソードが並ぶ「実話」なのに、しっかりそれぞれにカタルシスと説得力を持たせることに成功してるってのが本当に巧みだと思う。権力に対する抵抗だとか殺人鬼の行動だとか、エキセントリックに描こうとすればいくらでも描けるネタを、あくまで淡々と丁寧に、ただし濃厚に描いてる。そのさじ加減の妙。だから1歩引くことなく、ずっとスクリーンの中に集中できる。
で、これってそのエピソードの全てが「母親の息子に対する愛情」で貫かれてるからなんだろうね。すべてのエピソードのきっかけやストーリーテリングが、その「愛情」っていう要素によって支えられ、加速される。その土台があるから、絶対に散漫にならないし、観客をスクリーンから離させない。それはもちろん、アンジェリーナ・ジョリーという女優の素晴らしさもあるのだけど。というか、アンジーってあんなにいい女優だったんだな。なんか甘く見てたわ。完全に降参です。
でも凄い映画って大体この「話をまとめる1本のぶっとい軸」があるよね。そういう意味でも、やっぱりこの映画は本当に巧みなドラマツルギーを持つ作品だって言えるし、映画を知り尽くした人間でしか表現できないエスプリに富んでる。
で、ラストシーンだよ。その「母親の息子に対する愛情」が、爆発することで最大のクライマックスと言えるシーンになるんだけど、それが起こるのがこれまで中心を担ってきたアンジーじゃなくて「別の親子」っていう残酷さと、それでもやっと辿り着いた「希望」をアンジーが受け取るって言う、その悲しくも美しい対比。上手すぎる!!ホント、なんて巧妙なんだろう。いちいち上手い。



ちゅーことで、これ俺の人生ベスト映画に30位以内くらいには余裕でランクインするレベルの作品になりましたよ、と。これは本当にいろんな人に観てもらいたいなあ、と心から思える久々の作品だわ。