【プレビュー】09年第2節 鹿島戦@スワン

この試合のプレビューをする前に、考えなくてはならないことがある。


何故鹿島はアジアで勝てないのか?


重くて深いピッチ、日程、試合条件・・・と細々とした理由はいくらでもあるけど、一番の大きな理由は単純明快だと思う。


それは「鹿島が相手のことをよく知らないから」


鹿島がなぜあれだけ強いかってことを考えた時に、その最大の理由は「事前に、もしくは試合中に相手の情報を精査して、それに合わせて冷徹に狡猾にアジャストする力が尋常じゃなく高い」からだと思う。つまり、相手のサッカーの特長をぶっ潰し、自分たちの武器をその弱点に容赦なくガッツリぶつけてくるリアリストとしての能力の高さ。
例えばゼロックスなら、ガンバの急増3バックと、ガンバのCBが横へとスライドさせられた時の脆弱さを計算に入れ、徹底的にサイドのスペースへボールを送り込むというサッカーを選択して完勝。浦和戦なら、ポゼッションサッカーへと移行する過程の浦和の不完成な部分を突くために、決して自分からラインを無理に上げず、ただしコンパクトに中盤を保ち、相手のミスからのカウンターを狙い続けるというサッカーで完勝。(しかも2点リードしたらあとは相手にポゼッションさせて時間を潰す展開にシフト)。こうやって、鹿島は勝ってきたんだと思う。
となると、これは情報を豊富に仕入れる必要がある。だから、その情報の絶対量が圧倒的に多い国内リーグでは功を奏する。ただ、海外のチームだとなかなかそうはいかない。
鹿島の選手・スタッフ陣が、試合前に水原のサッカーをどれだけ知っていただろうか?あんなに中盤をすっ飛ばしてロングボールを蹴ってくるチームだって知っていただろうか?3バックから途中で4バックに切り替えられるって事を知っていただろうか?守備時にキム・デウィを左サイドで余らせておいて、攻撃に移り替わったら彼に一気にサイドチェンジのボールを入れるカウンターの形を知っていただろうか?
答えはノーだと思う。だから、鹿島は惨敗した。今回の敗戦は、鹿島の最大の特長である「相手のスカウティング」がうまくいかなかった時の脆弱さを如実に現わしていたと思う。



で、この試合だ。
俺は今年の日程を見た時に思わずガッツポーズしてしまった。鹿島と2節目で当たる。それは、ACLの予選リーグの真っ只中で相手の疲労というアドバンテージを手に入れることが出来る事、そして毎年関東のチームでは慣れていない悪条件の天候を期待できること(観てるこっちはクソさみーけどな!!w)、そして何より、今年のチームの情報を1試合分しか相手に渡さずに済むこと(しかもこっちは相手のデータを3試合分持ってる)。


・・・となると、この試合は鹿島目線から「新潟の弱点ってどこだろう」って事を主眼としてプレビューすべきだと思うんだ。ちゅーことで、なんかここまでちょっと堅苦しく書いてきたからいつも通りで行きます。てか、今最初から読み直したらちょっと壮厳な気分で書きすぎた気がするw


で、開幕戦の反省点。これは大きく考えて2つ。セカンドボールの対応と、左サイドの守備の怖さ(ていうか主にジウトン君の話なんだけどw)

まず最大の反省点はやっぱセカンドボールの対応だろう。ここの未熟さは淳さんも試合後にはっきりと明言してるけど、この試合でリズムを取れなかった時間帯が起きた最大の原因はセカンドボールが上手く取れなかった事だし、失点のシーンはセカンドボールを相手にあっけなく渡して繋がれた結果、がら空きのバイタルエリアを使われたものだ。
どうやらこれに関しては淳さんもチームもみんなハッキリ分かってるようで、セカンドボールの対応に関してはかなり練習を重ねてるみたいなんで是非とも期待したい。てか、ウチにとってはまさに天敵の小笠原がボランチに戻ってくるようだし、ダニーロも野沢もサイドハーフの位置から真ん中に入ってくるのを好む選手(というかサイドバックを上げるために中に絞ってくるんだけど)なので、セカンドボールを相手に奪われるのだけは絶対に避けたい。
ていうか中盤のプレスから奪ってショートカウンター!が最大の武器の新潟に対して、その中盤での争いを避けるために鹿島は絶対にロングボールを蹴ってくるはず。それをしっかり跳ね返した後のボールの奪い合い。そこで負けたら相手の思う壺だ。がんばれ、主に勲とマルシオと松下!



そしてもう一つの課題、左サイドの守備。鹿島の最強の槍は間違いなく内田篤人だ。というか、鹿島はリーグスタート時から、それこそジョルジーニョだの(あ、ジョルジ−ニョはボランチだっけ?w)、名良橋だの相馬だの、そして今のアライバとアツトだの、ず〜〜っとサイドバックの攻撃参加こそが最大の武器のチームだ。もはや鹿島のフィロソフィーって言っていいだろう。
となると、その武器を開幕戦で脆弱なところを見せまくった新潟の左サイドにぶつけてくるのは間違いない。オリベイラは絶対にハァハァ言いながら「ジウトンを突けー!!!」って指示するはず。間違いない。恐らく、サイドでボールを受けることが多いコウロキもマルキーニョスも主に新潟の左サイドを突いてくるだろう。
これはもう、ジウトンに頑張ってもらうしかないんだよなwwホント頼むぜジウトン!!!!不用意に飛び込まないでくれ!!そしてその周りの選手たちのフォローだね。特にジウトンパパこと永田充パパ。岡田監督が永田パパを視察に来るらしいこの試合で、どれだけそのカバーをこなせるか。
ただし、実はこれって新潟の攻撃のチャンスでもあるんだよね。
さっき鹿島はリアリストであると表現したけど、鹿島が唯一ロマンチストとしての面を見せるのが、このサイドバックのオーバーラップを絡めたサイドアタック。ここだけはどの試合でも共通してある程度のリスクを冒してもやってくる形。ここで起点を作られちゃうと、水原戦の最初の15分やゼロックスの前半のように、そっから中へと展開されて鹿島の強烈な攻撃を被弾することになる。
ただし、やっぱりそのサイドバックの裏には一発でゴールに通ずる道が開けてるのも事実なんだよね。となると、新潟の最大の武器である「奪ってから攻守の切り替えを素早く行う速攻」を繰り出すのはここしかないんだよね。開幕戦の後半の怒涛の攻撃で何度も見せてくれた、ウイングが深い位置でしっかり守ってボールを奪ったら、貴章やペドロ、そしてセンターハーフ2枚がオオシが作る起点をめがけて一気に飛び出していくあの形。あれを繰り出せるチャンスはここにこそある。淳さんもこの「攻守の切り替え」って攻撃面でも守備面でも、今週の練習でかなり入念にやってるみたいだしね。
恐らく、リアリストとしての性格を前面に押し出してる鹿島のセンターで勝負するのは困難を極める。ただし、ロマンチストになってるサイドは別だ。水原のキム・デウィ、あいつはその鹿島の数少ないロマンチストの部分を徹底的に狙ってたじゃん。目指すはあれだと思う。
ちょっとカッコよく言えば、この試合は互いにリアリストとロマンチストの境界線を行ったり来たりする中で、攻守の切り替えの早さを競うゲームだと思う。ああ、そうか「リアリストとロマンチストの境界線」ってそれまさにジウトンだなwwwヒロシを使えば守備が安定するのは分かってる。でもジウトンも捨てがたい。あーこれ来た!ジウトンのキャッチコピー「リアリストとロマンチストの境界線」でいいんじゃね?かっこいいいいいい!!!



で、ここまでは鹿島目線で新潟をスカウティングした結果。ここからは、まだ1試合目で相手に渡してないデータについて考えたい。つまり、相手のガチガチのスカウティングに狂いを生じさせる「意外な武器」。1試合しか相手にデータを渡してないからこそ出来る攻撃。
今年の新潟で期待される形の中で、4点ぶち込んで快勝した開幕戦でまだ披露してないモノ。それはオオシを中心としてセンターでキープしてポゼッションを上げるって形だと思う。オオシの真価、そしてオオシの下にキープできるマルシオを置いてる意味っていうのは、まだ開幕戦では見られなかったと思う。
んでこれって、俺がここまで書いてきた事と真逆なんだよね。センターは鹿島のガチガチのリアリストとしての性格が出るところだし、攻撃時に攻守の切り替えを重視する、って事とは真逆。
だけど、相手のスカウティングを狂わせるって意味では、これは是非とも武器の一つとしてこっそり備えておきたいのも事実。例えば浦和が戦前の予想・情報に反して、ブッフバルトオジェック時代のような堅守・速効スタイルで戦ってきたらあんな結果になっただろうか?多分なってないと思う。
鹿島はとにかく大人なチームだ。試合中の全ての情報を精査して、一番確実な方法を11人全てが共通意識を持てるチーム。だとすればこっちも狡猾にそれに立ち向かうべきだ。まずは、前述の通り「切り替えの早さと縦への早さ」「サイドアタック」というこれまでの新潟の武器を使って全力で戦う。ただし、それがすべて上手くいくことはないだろう。上手くいかない方が多いかもしれない。その時に慌てず、相手の狙いを理解し、別の要素をこっちから提示することが重要だと思う。鹿島戦は心理戦だ。
それに仮にセンターでの戦いで優位を保てれば、最も狙いたいサイドでの戦いで優位に立てる。オリベイラは新潟に対して、絶対にセンターで負けることはないと考えていると思う。うん、今のところ俺もそう思うwwただ、そこで勝てれば、相手のスカウティングを狂わせることができるはず。水原の狙い通りみたいな展開が期待できるはず。
もちろん、仮にそういう展開になった時は前述の通り、「攻守の切り替え」をしっかり意識することだ。センターで奪われたら一気にカウンターを食らうことになる。それを全員が常にリスクマネージメントすることだ。




で、最後にセットプレー。これはうっちーや松下も言ってるけど、今年の新潟の大きな武器だと思う。それにこれは1試合分のスカウティングじゃカバー出来るもんじゃないからね。今年の鹿島のセットプレーの守備は、基本的には真ん中に人数をかけるゾーン気味の守備。これを破るには、馬鹿でかい男たち(183、184、184、182、184、185の壮絶な並び!!)が中で動き回ってマークを引き剥がしていくことが重要になる。
開幕戦では・・・あー、これはあえて細かいことは言わないでおこうw、まあ観れば分かるけどホント色んなことが出来るチームになったみたいだ、ウチは。それを活かせば、相手のスカウティングを超越する事が出来る。ここは大いに期待したい。



ということで先週まずはいいスタートが切れた。ただそれで満足してるわけにはいかない。あーそういえばさ、何かいろんなところ見てると雰囲気として「鹿島に勝てるかなあ」じゃなくて「鹿島にどうやったら勝てるかなあ」って話が多いような気がしない?それってチームの可能性を信じてないと出てこない言葉だよね。
いいねいいね。やっぱこのチームが開幕戦でちょっぴり見せてくれた可能性は、多くの人の猜疑心を吹っ飛ばす事に成功したみたいだ。でも、そんなんで満足するわけにはいかない。その可能性を収縮させちゃダメだと思う。勝ちに行こう。このチームの可能性を支えよう。鹿島倒してスタートダッシュ切るぞおっらあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!