【レビュー】09年ナビスコカップ予選第6節 大分戦@スワン

アルビレックス新潟 1-2 大分トリニータ
スタッツ


俺はここにレビューを書くとき、数年後に「アルビレックスアーカイブス」として閲覧できるように、って事を主眼としているので速攻性は他の人に任せてww、現地で観た試合は現地で受けた印象をテレビ映像で埋めながら詳細なレポートを書き、テレビ観戦しかできなかった時は血眼でテレビ画面と睨みあいながら書いてるんだけど、この試合に関しては映像での補完が出来ないので、消化試合って事もあって珍しくメモを取りながら観戦したんだよね。
で、新潟のチャンスの時はA、大分のチャンスの時はTって記してメモ取ってたんだけど、そのノートを見返すと殆どがAなんだよね。そう、この試合は単純な試合内容だけ見れば、間違いなく新潟がその対価として得るべきは最低でも勝ち点1である、という試合だった。
だけど、それと同時にその圧倒的な内容を一発で瓦解させる2つのイージーな失点があったのも純然たる事実。これ、淳さんが珍しくコメントとして明言しているので断言しちゃうけど、結局モチベーションの部分で甘い部分があったって事なんだと思うんだよね。
この前のナビスコ予選突破の可能性が消えたマリノス戦の後に痛感したのは、結局現時点ではこのチームってタイトルを取るって事をリアルに感じられるチームではないって事なんだよね。死ぬほど悔しいけど。
じゃあ何をすべきかって言ったら、そりゃもう「さすがに今年はタイトル取りに行くしかないでしょ!」って誰もが思うだけの実績と言う説得力を獲得する事に尽きると思うんだよね。だけど、この試合を見る限りはまだその実績作りへの貪欲さってのはなかったんだと思う。まあ、これは「モチベーション」という要素を議論の俎上に載せる余地が一切ないリーグ戦が再開して初めて判断できるものだと思うから、その辺を語るのはまだ保留しておくけどね。



新潟のスタメンはGKが北野、4バックは左から松尾、永田さん、千代、うっち、アンカーに勲、センターハーフにマルシオとゴートク、3トップは左にヨンチョル、右に松下、トップにオオシ、の4-3-3。
大分のスタメンは表記上は3-5-2だけど、実際は藤田が右サイドバックに入って右から藤田、井上、上本、坪内の4バックに、ボランチに梅田と西山、サイドハーフは右に小手川、左に清武、ちょっと下がり目のトップに家長、トップにウェズレイの4-4-2。


試合はいきなり動く。開始1分足らずで、家長が右サイドに流れてボールを運ぼうとしたところで永田さんが上手く体を入れてボール奪取。そしてそのボールを松尾に渡す、っていう特に何のプレッシャーもかかってないなんてことないシーンだったのだけど、二人の意思の疎通が全く通っておらず、あっけなく大分にボールが渡る。あとはそれを拾った小手川がバイタルエリアでフリーになっていた梅田へ。そして梅田がPA外正面から綺麗に左足を振りぬくと、実にあっけなくゴール左上へと突き刺さって大分先制。フワフワしてた所を、あまりにも見事にぶち抜かれてしまう。

その後数分間は大分のペース。左のFKからウェズレイが直接ゴールを強襲し、新潟もマルシオからオオシに繋いでオオシが見事なターンでPAギリギリの位置からシュートを放つっていうシーンを作るのだけど、その直後のCKでウェズレイが実に彼らしいキックで直接ゴールを狙ってくると、ボールは左ポストを叩く。いきなり失点したゲームでその10分後にゴール・オリンピコなんてやられたらもう目も当てられない状況だっただけに、これは命拾い。


しかしその後は新潟ペースがずっと続く。そのペースを作り出していたのは松尾だったと思う。この試合の大分の守備は、4バックながら中に絞る傾向が強く、特に新潟の左サイドバックが掛け上がるためのスペースが随分と広大に空いていたってのもあるのだけど、松尾がそこを実に上手いタイミングで突いて相手を押し込んでいく。それとこの試合の勲のレジスタっぷりも見事で、最高のタイミングでその松尾を使うロングパスを披露して新潟の攻撃を描いて行く。なんせ俺のメモに「15→28」っての頻発してるしね。いや、この試合の勲マジで「レジスタ」だったよ。彼のセンスの良さが存分に発揮された試合だったと思う。

で、もう一つ大分の4バックの怪しいところは、ラインを上げるもののどうもラインの足並みがそろっていなくて頻繁にギャップを作っていたって所。この試合、松尾が中へと切り返して右足で巻いてくるクロスをチャレンジしたシーンがよく見られたけど、あの気持ちはめちゃくちゃ良く分かる。確かにああやってカーブを掛けながら入って来るボールがそのギャップに飛び込んだ選手に合えば即1得点だもんね。だから、これは完全たらればになってしまうけど、前半のあの時間帯でペドロと貴章の両翼が揃っていれば大きく試合内容は変わっていたと思う。松下とヨンチョルの両翼はその嫌らしい所へ飛び込んでいく、ってタスクに関しては物足りなかったしね。


この時間のチャンスは、15分の松尾→ヨンチョルで裏に抜け出すもGKキャッチ、とか勲→松尾でクロスを上げてオオシが飛び込み、そのこぼれをゴートクがフォローして流した所でマルシオが倒されてFKゲット、とかやっぱ松尾絡み。
その結果段々と新潟ペースを掴み、バイタルにボールが入るシーンが増えてくる。20分には勲の縦パスを受けた松下がミドルを狙うと、上本の足に当たってゴールギリギリで切れてサイドネットに舐めて外れていく、という決定的なシーンも出るし、25分には散々松尾が蹂躙した逆サイドのスペースを上手く突いたうっちーが見事なドリブル突破で坪内を交わしてシュートを放つも西川正面、27分にはヨンチョルが左でボールを受けた所で、松尾やオオシがそれに呼応して動いてデコイとなってヨンチョルがミドル、などなどいい形を連続で作っていく。


ただ32分には右からのクロスを永田さんがヘッドでのクリアをミスして、大分のバイタルに入り込んでいた梅田か西山にプレゼントパスになってしまい、そこから放たれたロビングの勝負パスに抜け出した家長が北野と1対1となるものの、北野が最高のタイミングで飛び出してそのシュートを体を張って止めて難を逃れる、など淳さんのコメントを裏付けるようなシーンも。


だけどその1分後には、北野のロングキックから、センターに入り込んでいた松下が上手くボールを収めて、それを追い越したヨンチョルにパス。そしてヨンチョルが左からクロスを上げてマルシオが飛びこんだこぼれをゴートクがフォロー!!も、ボールはゴール上へと切れていく、という決定的な形を作ってすかさず応戦。

36分には松尾がボールを受けて攻め上がり、そこから勲とマルシオを経由してうっちークロス→ゴートクもGKキャッチ、その直後にはまたしてもうっちーのクロスから松下が飛び込んで、こぼれを勲がミドル、などなど圧倒的に攻め続ける。


そしてようやく歓喜の瞬間が訪れたのは44分。勲から見事なロングパスが松尾に通るという、この試合の前半のホットラインとも言える形がまた出ると、松尾が完璧な切り返しで藤田を交わし、右足でクロス。それに松下が「それどこのセンターフォワードだよ!!!」なDFの背後で視野から消えつつ、最後の最後で頭を入れて押し込むという見事なヘッドで同点。やっと。ホントやっと獲れた得点だった。




とまあ、これは勝たないとダメだろ、な流れで前半終了。




後半も新潟ペースが続く。49分にはするするっとサイドバックセンターバックの間を抜けたヨンチョルがボールを受けると、一発切り返しを入れて右足でシュートするも西川セーブ。
で、この辺から前半は微妙に消える時間もあったゴートクが守備→攻撃の切り替えスイッチとして機能しだすと、マルシオだけでなくもう一枚の推進力が生まれてくる。この試合のゴートクは後半になって一気に良くなったと思う。65分に交代になってしまうのだけど、あれはペドロを入れて点を取りに行くっていう戦術的なもので、ゴートクのクオリティ云々ではなかったことは明記しておきたい。

で、その新たな推進力を手にした新潟は、奪ってからの速攻で小気味良いショートパスを交換しながら相手に攻め込んでいくっていうシーンが増えることになる。その真骨頂は58分。松尾がボールを高い位置でカットすると一気に前へとそのまま掛け上がり、マルシオへとパス。そこでマルシオの選択肢は真ん中も左も右もあったのだけど、選んだのはオオシの足元。と同時にマルシオはゴールへと突っ走る。それをオオシが完璧なタイミングでリターンを返して、スペースのないど真ん中でワンツー成立!!すげえ!!しかし西川とマルシオが1対1になるものの、西川がそのシュートを見事なセーブ。
まだまだ手綱を緩めない新潟はその1分後に、今度はゴートクが高い位置でカットして猛然とドリブル開始。右サイドに流れた松下とワンツーでボールを交換してゴールに迫り、ゴートクが流したボールをマルシオが右からミドルシュートも左へ。


その後、大分もウェズレイの個人技で単発的なチャンスは作るものの、新潟ペースは変わらず。
それを見てか、シャムスカが選んだカードは井上→エジミウソン。藤田、上本、坪内の3バックに、中盤は西山とエジミウソンボランチウイングバックは左に清武、右に小手川、トップ下気味に梅田、トップは家長とウェズレイ、の3-5-2にシフト。

対する新潟もゴートクに替えてペドロが満を持して登場。淳さん勝負に出る。ペドロが左ウイング、ヨンチョルがセンターハーフ

で、いきなりペドロが鬼キープとドリブルで大分ディフェンスに突っかかり、一端はボールを奪われるものの、そこにペドロ、ヨンチョル、松尾がぐわーっと強烈なプレスを掛けて新潟のスローインをゲットし、そこから波状攻撃を仕掛ける、なんてすげーいいシーンも出てくる。ああ、こりゃやっぱ勝つしかねーよ!!とこの時点では心の底から思ってた。

69分にはマルシオ、オオシと繋ぎ、オオシのポストプレーを受けたヨンチョルがミドル、71分にはマイボールのスローインだと思いこんだ上本が新潟ボールであると宣告された瞬間、派手にばたーんと地面に倒れこむという吉本新喜劇、もしくはドリフか!!なリアクションかまして場内爆笑。あいつは本当に一体何がしたいんだろうwwwwちゃんとしてwwww(ちなみに俺のノートには「上本ドリフ」って書いてあったwww)
で、その上本ドリフからスローインをマルシオが右サイドをするするっと抜けだして角度がない所から強烈なシュート!!!!西川が弾いた所にペドロ!!!だったのだけどギリギリで合わず、とまあやりたい放題。



・・・・・だったのだけど、この試合の決勝点は唐突に大分に生まれる。
74分、右サイドに流れた梅田がボールを受ける。そこに松尾とヨンチョルがプレスを掛け、完全にサンドする。一瞬、問題なくボール奪取をしたかに見えたのだけど、ヨンチョルと松尾が中途半端な位置取りをした所で、奪ったはずのボールは梅田の足元に渡り、梅田が粘った結果、ヨンチョルの背後に流れる。それをエジミウソンが完璧なタイミングでフォローすると、必死に食らいつく永田さんの裏を取ることに成功。あとは北野のニアをぶち抜いてゴール。1-2。まさに千載一遇のチャンスを活かされてしまった。そして何より、間違いなく防げた失点だった。意識を研ぎ澄ませているチームなら、こんな失点はしないだろう。



それを見てシャムスカは75分に小手川→小林で再び4-4-2で守備を固める。新潟はヨンチョルに替えてフミヤ。そのままセンターハーフに入る。


その後、ペドロが相変わらずちょっと高くて不安な大分ディフェンスの裏をやっと突いて決定的な形を作りそうになったり、ってシーンはあったのだけど、基本的にはゲームをクローズしに行った大分の前に攻めあぐねる展開が続く。なんせ大分は5分以上残してコーナー付近でキープしたりしてたしね。それだけ、ずっと勝ってていないという負の連鎖を断ち切りたかったんだろう。それに対してウチはただの消化試合。その差はやっぱあったと思う。


その後、87分にうっちーのクロスからペドロヘッドも枠外、ロスタイムにはオオシが落としたボールを勲が凄まじいステップで相手を振り切ってバイタルからミドル!も西川が完璧なセーブ、CKから松尾の鼻先で合わずにチャンスを逃す、などなど攻めあぐねて試合終了。




1分5敗。得点3、失点14。つまり勝ち点1、得失点差-11。堂々たる、文句なしぶっちぎりの最下位。このあまりに凄惨な成績が、09年のアルビレックス新潟ナビスコカップ予選の結果だ。ぐうの音も出ないくらいの、圧倒的な大惨敗。




繰り返すけど、このチームが今後やるべきは自分たちの価値を証明する実績を作ること。当面はそれを達成するのはリーグ戦での勝利しかない。ここで現状の3位と言う成績を必死でキープし、かつもっともっと上を目指すこと。それしかもう道はないんだ。闘え!!!!!!!!!!!!!!!!新潟!!!!!!!!!!!!!!