ゴーストワールド

文句なしの大傑作。「人間関係が上手い奴は全員馬鹿よ」の台詞にグッとくる老若男女全員にとっての青春映画だ。
「自分は人と違う」を寄りどころとして、高校の縛りを脱してモラトリアムを手にした自由の謳歌と、いつまでもそこに留まる事ができないというどうしようもない現実。自分の大切な理解者が、自分とは違う別の理解者を得て変わっていくのを目の当たりにする時の胸の痛み。いつのまにか自分が一人「ゴーストワールド」に取り残されてしまった事に気付いた時の尋常じゃない焦り。
最後にイーニドが乗ったバスの解釈は二つあると思う。どう見ても先が長くないであろう老人が乗ったバスである、という暗喩を掬えば、彼女が「ゴーストワールド」に行ってしまったという事だろう。対して、もう一つは彼女が陥った「ゴーストワールド」からの脱却と旅立ちであるという事。
是非とも後者であって欲しいなあ。イーニド、大丈夫だぜ。君の人生はまだ始まったばっかりだ。君の理解者の一人であるシーモアは、母親同伴でカウンセリングを受けるような「ゴーストワールド」に戻ってしまったけど、君はまだまだ大丈夫。頑張れイーニド。



10年前の公開時に観たら、絶対こんな文章書けなかっただろうな。きっとイーニドの姿に涙が止まらず、どうしたらいいか分からなかったはず。一応モラトリアムに対して、それなりのケジメをつけることが出来て、ダメならダメなりにどうにでもなるって事がわかり始めた今だから、こういう事が言えるんだろう。ああああ!!頑張れ!イーニド!!




それにしてもスティーヴ・ブシェミが名優過ぎるwwwこの人、「こういう映画」に似合いすぎwあとソーラ・バーチの「顔から下」が最高過ぎる。やっぱ女は肉付きだ。皮下脂肪だ。


そしてさっきから「デケデケデケデケデケデケ♪」が頭の中から離れない!名作だ。素晴らしく名作だ。