パク・チャヌクはバケモノだ

やっと観れたこの作品。なんかもう凄すぎてぐうの音も出ねーよこれ。何だよこれ。すげーなこれ。
「何故」「誰が」を追い求めるばかりに、最も重要な罠を見落とす獣。鑑賞後によく考えたら、なんであいつは娘の存在を忘れてたんだ?って気付いたんだけど、「何故」「誰が」の虜になった只の獣に過ぎなかったんだよな、って基本に立ち返ったら途端に納得してしまった。すげえ。隙がねえ。そのくせ、最大の罠に気付いた瞬間に、獣から父親に戻るんだよな。うひゃー隙がねえ!!
最後に彼は「獣以下でも生きていく権利はあるでしょう?」という甘い蜜にすがる訳だけど、最後の表情を観る限り、思いを託した催眠は効いていない気がする。大罪を背負って獣は獣以下の人生を送っていくんだろう。


これは国家の話なんだと思う。国家を仕切るのは具体的な指導や力じゃなく、人民を扇動する説得力があれば十分なんだ。戦争を起こさせるのも、結局それだけで事足りる。最後にキャロルがマックスに反旗を翻す姿は、クーデター以外の何物にも見えなかった。
そしてその「扇動力」の源が、子供の想像力という原初的で純度の高いモノであるという事の力強さと、そして何よりその「怖さ」こそが、この映画の肝だと思う。


それと音楽が素晴らしい。この映画で最も優れた部分はそこだと思う。そういやかしゆかがこの映画のサントラを気に入ってるらしいよね。なんかわかる気がする。サントラ買おうかな。カレンOはソニック・ユースエピゴーネンみたいな事やってないで、こういう路線で行けばいいんじゃないかな。

あと鑑賞後に劇場を出た所で次の回を待ってる人たちが列をなしていたんだけど、子連れがすごく多かった。子供たちはこの映画をどう見るんだろう?ってのはすごく興味あるなあ。

とても良い脚本だと思うんだけど、なんか端々が雑なんだよなw
その雑な所を作品の勢いで誤魔化せない所が弱点な気がする。好きだけどね。