DANIEL JOHNSTON@ラフォーレ・ミュージアム原宿


本当に感動した。俺は何でも「感動した」なんて安易な言葉で表現するのは好きじゃないけど、これはそれしかない。ただただ感動した。ライヴを観て鳥肌が立って涙が出てくる経験なんて、そうあるもんじゃない。


ライヴはダニエルのガットギターの弾き語りでスタート。使うコードの80%くらいはCとGとDという、最も抑えやすいコードばかりなのに弦がビビりもこもこした音になってしまっているけど、そんなことお構いなしに突っ走るギターと、あのダニエルの声。改めて、生で聴いて、心の底から思う。この人の声は直接こっちの心を侵略してくる声だ。物凄いオクターブが広いわけでも、テクニックがあるわけでもないけど、こんなに深くまで突き刺さってくる声を俺は知らない。本当にすごかった。
ま、ほとんどがローポジションのCDGのコードの中で、たまにハイポジションを抑えると途端にガサガサになっちゃったり、最後にバーン!と白玉鳴らして終わらせようとしたのに押さえ方が甘くて全く音が伸びなかったり、ってのは愛嬌だよね。あ、あとマウンテンデューじゃなくてスプライト飲んでたねwwそれと日本と言えば、彼の人生の中でも特にエキサイティングな映画体験だった「キングコング対ゴジラ」を思い出すらしく、何度もそのことに言及してたのが可笑しかった。


その次はピアノの弾き語りで2曲。俺はダニエルの作品の中ではライヴ盤の「Why Me?」がすごく好きなんだけど、特にその中でもピアノ弾き語りの曲が大好きなんだ。「I Had a Dream」とかもう最高過ぎて倒れそうだもの。だから、今回のライヴで2曲だけしかピアノ弾き語りがなかったのは残念と言えば残念だったんだけど、ブレイクを挟んで次に披露された、ギタリストにギターを任せてダニエルがヴォーカルに専念するパートが素晴らしすぎたので、もうどうでもよくなってしまった。


もう、後半のヴォーカルに専念したダニエルの凄いこと凄いこと!!やっぱりあの声こそダニエル・ジョンストンの凄さそのものだ。腕を震わせながら、時にマイクスタンドを両手でつかんで熱唱するダニエルに鳥肌が止まらなかった。途中でビートルズの「'You got to hide your love away」のカバーを披露してたんだけど、あのサビの「ヘイ!」に入る前の1小節のタメの所で、ダニエルがマイクを両手で掴んでグッと集中して貯め込んだ思いを吐き出すように、そして彼が敬愛するジョン・レノンへの畏怖や尊敬を表現するかのように、丁寧に「ヘイ!」って歌うんだよ。もう、その姿と声が、あまりに美しくて涙が止まらなかった。このパートでは観客が待ち望んだであろう「スピーディング・モーターサイクル」も披露されて大盛り上がり。素晴らしかった。



そして1時間ちょっとの演奏が終わってダニエルが引っ込んだ後、客電がついて客を追い出すBGMも流れているにもかかわらず、全く止まらない観客の拍手と歓声。あれは「ダニエル、もう1曲!」っていうこと以上に、素晴らしいライヴに対しての称賛の拍手だったと思う。そう、「ありがとう、ダニエル!」を高らかに鳴らす拍手だった。
そしてその拍手に応えて最後にダニエルが登場して、アカペラで歌って終了。去り際のダニエルの笑顔は忘れないと思う。
明日は大阪か。大阪に行く人、期待してていいと思いますよ。本当に素晴らしかったです。