ドグちゃんはもはやファム・ファタール

  • 57 自由の幻想

既存の構造を解体し、超越していく映画。俺、ルイス・ブニュエルは「アンダルシアの犬」しか観てなかったんだけど、それと基本は同じだよね。
これ見て思い出したんだけど、俺は前から一つの少年マンガのアイデアがあってさ。例えばドラゴンボールで、悟空とフリーザが戦ってるとするでしょ。その時、どんなに悟空が劣勢でも、最後には悟空が勝つってわかってるじゃん。そういう安心感あるでしょ?セルでも魔人ブウでも、最後には勝つって分かってるじゃん。
俺が考えたのは、主人公が変わることがあり得るマンガなんだ。もしかするとフリーザが勝って主人公になることもあり得るんだ。今まで悟空の正義のヒーロー視線だった話が、フリーザの悪目線の話に代わることもあると。そしたら、毎週ハラハラするでしょ?最後には主人公が勝つ、っていう安心感を完璧に取り払ったら、毎週の緊張感が半端じゃないじゃん。
この映画ってそれだよね。話の本線からいつ外れるか分からない、それによって生み出される緊張感とリズム。今進んでる面白い話が、いつ途切れてもおかしくない、その裏切りの連続で成り立つ全体としてのドラマ。これは凄いな。物事を理屈と構造で考える脳に対する挑戦だ。




俺、昨日の17時30分の時点で、清水でアウスタから東京へ戻るバスの中にいたんだよね。そう、昨日の津波の影響で尋常じゃないくらいの渋滞になって全く動かないバスの中。そして俺の手元には20時45分からスタートのこの映画と、井口昇谷澤恵里香森田涼花西村喜廣の舞台挨拶のチケットが。
気付いたら俺、ギリギリで間に合うための新幹線に乗ってたよ。バスから飛び降りて清水からタクシーで静岡駅へぶっ飛び、そこから新幹線だ!!俺そんなにこの映画観たくなかったはずなのに、なぜか猛烈に行かなくちゃいけない気分になったのさ。
そしたらあんた。そのバスが東京に到着したのは深夜だったんだって。あぶねー!!早めに見切りをつけて新幹線を選択してよかった。これもドグちゃんのおかげだ。ありがとう。


これ、東京でいまだに放送されていないこのドラマのこれ以上ないプレゼンだよね。まあ、宣伝ともいうwご丁寧にもエンドロールは東京の夜景と谷澤さんの一人芝居だったしな。
特に素晴らしかったのは西村喜廣によるドグちゃんパイロット版。でもあれ本当にパイロット版か?ww斎藤工のドキゴローと、亜紗美のドグちゃんは、オリジナル版のあのキャラクターを十分に熟知した上で、思いっきりパロディ化してるようにしか見えないんだけどww亜紗美は本当に素晴らしかったwww
でも谷澤さんは本当に素晴らしいと思います。あの人は絶対に痩せてはならない。そしてスーパースターになってください。あと「戦闘少女」は絶対観るだろう。すうちゃんと杉本有美井口昇軍団の組み合わせなんて完璧じゃないか。血まみれのすうちゃんとか素晴らしすぎる。
てか俺、アイドリングよく知らないんで、演技をしてないすうちゃんを久々に観たんだけど、ああいう人だったんだなwwあの人は今ものすごくおかしな立ち位置にいるよね。とてもいいと思います。すっごいファンです。




あとはまあ、アイドリングファンの皆さんさ、映画の途中で携帯の液晶をガンガン照らしながら時間を確認するのはナシですよね。終電が気になったのかもしれないけど。そして本編が冒頭の舞台挨拶だったのかもしれないけど。あんなにモラルの低い映画館体験久しぶり。
あとヲタ特有の「自分が思ったことを声に出さないとガマンならない」人っているじゃん。そういう人が俺の近くにいて参っちゃったぜ。お前に言われなくても、パイロット版のOPがウルトラQウルトラマンのパロディだって事くらいわかるよバーカ。




バウスの爆音上映で鑑賞。最近なぜか「虐げられた愛」の映画に出くわす事が多いんだけど、それは俺が無意識のうちにそれを求めているからなんだろうかww
しかしこれを爆音上映しようと考えたバウスシアターのスタッフ、boidの担当者は本当に偉い。暗闇と部屋の冷たさの中で生まれてくる些細な音、そしてそれをぶち破るヘリコプターの爆音、燃え盛る炎の低音・・・これ以上爆音向きな映画はないよね。この映画の主軸は、「吐き気がするほど不器用でインモラルな愛」ってテーマと、影と光の映像美、だと思うけど、実はもう一つは沈黙を劈く色んな音であるという事を、爆音によって気付かされた気分だ。
この愛は、献身なのか、一方的な片思いなのか、父性なのか、支配欲なのか。色んな可能性を含ませつつ、最後の最後にそのすべての可能性を一つの壁で拒絶する、あのラスト。痺れた。