【レビュー】11年第1節 福岡戦@レベスタ

アビスパ福岡 0-3 アルビレックス新潟
スタッツ
黒崎久志監督 試合後コメント
3 / 1.83 = +1.17



今年から1.83基準に対する達成度も記して行きますwww今のところ達成度+1.17!

つーわけで開幕戦勝利。よしよし。最低でもACL行くつもりなんだよ、このチームは。これで満足するのはまだまだまだまだ早い。あくまでnot enough!!行くぜ行くぜ!


試合開始は新潟ペース。アグレッシヴ&スピードを掲げた今年のチームの片鱗?なんて思うくらい前から積極的にプレスに走る。慶行あたりは去年の序盤戦が嘘のようにガシガシプレスに行くし、注目のブルーノも完全に上手くいっているとは言い難いながらも、プレスをかけるって意識自体はしっかりしてる。もうこの時点でアレッサンドロじゃない!この人!って事で一安心。あーそうそうブルーノ・ロペス。結構無理な状況でも踏ん張ってボールを持てるし、体も強いようなので、あとはボールをどうやって受けて前線の起点になるか、って所だよね。意識の問題。やり方の問題。そこは時間が解決してくれるはず。頑張れ。で、連動がうまく行ってない時でも、個の力で結構相手のボールを刈れちゃうので、序盤はペースを握る事に成功する。
ただ、次第に福岡にリズムが出てくるのだけど、この原因の一つは、新潟のラインが元々ちょっと深くなってて、それに加えて福岡が徹底的にロングボールを左右に走る城後を中心に当ててラインを押し込もうとするので、アタッキングサードに入ったあたりで福岡の中盤の選手と、キム・ミンジェが起点を作るスペースが生まれてきた事だと思う。
これは千葉ちゃんも「今日はオフサイドも取れなかったし、危ない場面も作られたし、ラインの上げ下げを修正しないといけないです。ラインを高くしてコンパクトにした中で速く攻めるというのがスタイルなので」って話をしているけど、これは千葉ちゃんと石川のキャラクターの問題だと思うんだよね。大雑把にざっくりと言うと、石川はどちらかというと深くステイして守って的確にカバーリングをやっていくタイプで、千葉ちゃんは前にアタックに行くタイプ。その辺の微妙な差異だと思うんだよね。そこでラインの上げ下げに関する意識がちょっと乱れた。でもこれって実は瑣末な問題な気がする。あとで言及するけど、後半の立ち上がりはその辺の意識の統一をしてラインをしっかり保ちつつも、それぞれの個性を発揮してた感じだったしね。まー擦り合わせでどうにかなるっしょ、多分ww
それに何より、押し込まれたように見えたシーンでも、2人のセンターバックを中心とした守備陣は大きな穴を作ることなく、しっかり守れていたしね。石川のカバーリングのタイミングの的確さとスピードは見事だったし、千葉ちゃんの落ち着いた対応と、ボールを刈り取ってからの一発目のパスの殺傷能力も健在。福岡の攻撃陣のクオリティの問題も大いにあるだろうけど、このやり方をブラッシュアップしていけば、どのチームでも簡単には破られることはないはず。頑張れ。

あとこの時間帯で相手にリズムを渡した理由の一つはやっぱ右のユニットの不調だと思う。15分の最初のピンチ、つまりキム・ミンジェと中町のユニットの第一波を跳ね返した後に、松浦が慶行とミカを外して前に向いて、藤田の横を走ったキムからクロス→右の岡本シュート→こぼれを末吉がきわどいミドル、ってシーンもそうだけど、右のユニットはいまいちポジション取りがはっきりしていない感じで、結構ポイントを作られてしまった。特に藤田はどうやって守るか分かってないっぽい動きが目立つ。これ、守備時のポジションだけじゃなく、左のヨンチョル&ゴートクの圧力とビルドアップの構成力のような攻撃力を発揮出来てなかったのも一因だろうね。藤田は去年大伍が右サイドバックデビューを果たした名古屋戦を思い出すような、「どうやってビルドアップに参加したらいいかわかんない!」感全開で、能動的にビルドアップに参加して効果的な攻撃を組み立てたシーンは殆どなかった。ミカもそこを引き出す事は出来ずに、右が死んじゃってる状態。まあ、これはさっきのラインの上げ下げみたいな瑣末な問題じゃなく、結構根深い問題かなーとは思う。ただ、後半は中々おもしろいシーンが作れていたのだけど、それは後述。


ただそんな中でも、縦に強引にボールを当てて雑でも構わず圧力をかけたり、左でゴートクとヨンチョルのコンビで圧力をかけたり、バックラインとGKから一気にヨンチョルに展開したシーンでは、実にあっけなく福岡の守備の組織に穴を作る事に成功した。後半にペースを一気に握った、って意見を散見するけど、前半から守備の突破口はちらほら見えていたと思う。
23分、右からのクロスが流れた所をフォローしたゴートクが、勲に戻し、そこからバックを背負ったヨンチョルに縦パスが入り、それをミシェウに落とすと、ギャップに入り込んだゴートクへスルーパス・・・も、わずかに合わず。
29分、左でゴートク、ヨンチョル、慶行、ミシェウで起点を作って、そこから千葉ちゃんに戻し、そこから一気に縦に走るヨンチョルへ完璧なフィードを通し、決定的なチャンスも神山が弾き、それをミシェウが押し込もうとするも枠外。
・・・と、福岡の守備の明確な綻びを突き始める。あとこの試合を通してヨンチョルに一気に展開するシーンが本当に多かったけど、これって多分去年の福岡の試合を分析した結果の賜物だよね。俺、去年の福岡の試合は5試合ほど観たけど、ぶっちゃけ、右サイドバックタツノリが守備に問題を抱えてるのは明白。去年はその前に入った工藤が涙ぐましい献身でその守備を支えてたけど、今年はいない。で、この試合ではその位置に岡本が入ったけど、彼は攻撃力を評価されてる選手で、守備に関してはからっきし。「守備しない」じゃなくて「守備のやり方が分かってない」類の選手だと思う。となれば、ヨンチョルでそこを徹底的に突くのは当然だよね。それに岡本がガンガン上がってくるゴートクを全く捕まえられないと来れば尚更。後半見事に福岡はここが瓦解するわけだけど、前半からの圧力が猛烈にきついフックとして相手を消耗させていたのは間違いないと思う。
42分にはまさにその展開、千葉ちゃん→ヨンチョルと繋いで、最後は勲のミドル。前半アディショナルタイムでは左でミシェウ、ヨンチョル、勲で起点を作って、ミシェウからPA内に入り込んだミカ→それを落として最後はブルーノがシュートも枠外、ってシーンを作って前半終了。



後半、冒頭こそ成岡のシュートで幕を開けたものの、後半は完全に新潟劇場。前述の通り前半よりラインがコンパクトになり、次第に落ちてくる福岡の運動量と比べ、勲いわく「生まれて初めて限界かもしれないと思った」という地獄の走り込みを経験した新潟の選手たちの体力は落ちずに前線で圧力を掛けまくる。それによって去年の夏の川崎戦、清水戦のような圧倒的な攻撃陣の圧力と、攻撃を返されても高いラインをキープした守備陣がセカンドボール奪取とファーストディフェンスを徹底することで連続攻撃に繋げる、って形が出てくる。
しかも福岡にとって悲惨だったのは、早々にタツノリがイエローカードを食らった事。「あわよくばファウルで止める」の選択肢を失った右サイドバック。これによっていよいよ前半から徹底的に狙われてきた福岡の右サイドがぶっ壊れ始める。
そしてもう一つのポイントは新潟の右サイド。前半は全くビルドアップって発想さえ生まれなかったこのサイドだけど、後半はミカが中に絞って相手のバイタルに入り込んで、中町と末吉のコンビを狂わせて松浦も中に入らざるを得ない状態を作ると、藤田の前に彼の最大の武器である(というか、今のところサイドバックの資質として求められる能力の中で、唯一彼が完全に自信を持って発揮できる)、縦へのスピードを活かした直線的なランニングと、球威・コースとも高レベルなクロスを送り込むためのスペースが出来始め、ようやく右サイドに効果的な攻撃力が生まれ始める。
これ、福岡の守備の問題も大いにあるけど、この形が常に繰り出せるならば、これは新潟の新しい武器になるはず。これがステディな武器になるまでは結構時間がかかりそうな気がするけど、ここがどう成長するのか、それとも他の選択肢を模索するかは、今年の大きな楽しみの一つだと思う。ミカもセイヤも超頑張れ。


で、先制点はその右サイドから。全くプレッシャーが掛かっていない藤田が前を向くと、ヨンチョルが田中誠キム・ミンジェの間のギャップを突いて一気に縦に走る。そこに完璧なパスが通り、完全に裏に抜け出したヨンチョルが溜めて溜めて、センターでフリーになっていたミシェウに勝負パス→ミシェウがゴール左端に流し込んで先制!!!!この先制点で完全に流れをつかんだ新潟は、ボールを保持しつつガンガン縦への展開を繰り出す。
それに対して福岡は56分、岡本に代えて重松。城後と重松の2トップっぽい形になり、右に成岡がスライド。
しかしそれでも新潟の流れは止まらない。58分、福岡のCKの崩れから、ゴートクが50M近くをドリブルで突進して、右のブルーノへ渡すと、切り返して左足でシュート。
もうこの辺になるとゴートクもヨンチョルもノリノリで、右に入った成岡も全くこの二人を捕まえられず、タツノリが一人で猛烈な攻撃を被弾し続ける。60分にはゴートクが一人でゴリゴリ打開して左からクロス→ブルーのヘッドもGK正面。
61分には返す刀で重松が見事な切り返しからミドルを狙うも、わずかに右に外れ、攻撃も単発に終わる。
64分、ヨンチョルとブルーノのワンツーでヨンチョルがあわやGKと1対1。
67分、ハーフウェーライン左サイド付近で受けたブルーノがドリブルで中に切り込むと、止めに来た丹羽を吹き飛ばしてミドルを放つも枠外。あー!これyoutubeで観たヤツやー!!!
とまあ完全な新潟ペースの中、ここで黒さんが突如動く。68分、慶行→大輔で、これでDFラインが左から石川、千葉ちゃん、大輔、ゴートク。中盤は勲とミカのボランチに、右に藤田、左にヨンチョル、ミシェウとブルーノがトップ。この交代の意図としては、いわく「1−0のリードという難しい状況だったんですけれども、あの配置はキャンプからずっと取り組んでいたという理由もありますし、小林の状況も考えて、あのタイミングで配置を変えたということです」との事。正直良く分からんけどww、慶行の体力的なところと、キャンプでやってきた形のテスト的な所を擦り合わせて、1-0の状況でこれをやっちゃう。すげえ。
で、何よりすげーのはその直後に2-0になっちゃうところ。ヨンチョルの左からのクロスから、ブルーノが田中誠の視界から消えて、最後にニュルっと田中誠と神山の間に現れてヘッドでたたき込むという、見事なゴールで追加点。素晴らしい。
73分、福岡は松浦→田中佑、そして今日散々な目にあったタツノリ→鈴木惇。末吉がサイドバックに入る。
しかしその苦肉の右サイドのケア策も全く実らず、75分にはミシェウがワンタッチで中町と重松をぶっこ抜いて前を向き、そこからのスルーパスをヨンチョルが末吉と丹羽の間を抜けて完全に裏に抜け出し、ボールを受けてシュート→こぼれ球を藤田がごっつぁんで押し込んで3-0。勝負はこれで完全に決着する。
78分、新潟は藤田に代えて川又堅碁投入。ミシェウが右サイドハーフ、ケンゴとブルーノの2トップに。
80分、福岡に更なる悲劇。奪われたボールを取り返しにタックルに行った成岡が2枚目のイエローで退場。泣きっ面に蜂。蜂だけに。
しかしここで福岡の左サイドバックキム・ミンジェが孤軍奮闘の活躍を見せる。単独でガンガン仕掛けてクロスを何度も供給。で、これって明らかにミシェウが彼を抑える守備をやらなかったからだよね。キムが上がった時についていくプレーを全くしてなかった。やっぱミシェウサイドハーフじゃないな。彼はセンターを主戦場に自由にやらせるべきなんだろう。あ、そういえばこの時間帯、その位置にブルーノが降りてきて守備してたんだよね。偉い!!この人アレッサンドロじゃない!!
※追記。最後のほうボケーっと録画観てたので、現地で観たときの事を今思い出したんだけど、ここのシーンってブルーノが右ウイングみたいな形だったのかもな。ヨンチョルがずっと高い位置で、ミシェウが右よりだったから4-4-2のまんまかと思ったんだけど、3トップ気味だったらブルーノがあの位置に下りてるのも分かるか。まあ、何にせよ守備の面からはイマイチうまくいってなかったなw

で、これを見て85分、ブルーノに代えてうっちー投入。これでうっちーが右サイドバック、ゴートクが右サイドハーフミシェウはセンターの定位置に戻る。そしたらものの見事にキムの攻撃が封殺される。うっちーとゴートク偉い。そしてこれは黒さん名采配。



で、そのまんま決定的なシーンもなく試合終了。開幕戦を見事に飾った。まあ、こっからだね。過信も過小評価もせず、まずは難敵・小林伸二を迎え撃とう。今はただそれだけだ。