んまくっく

その昔、フグ田サザエさんは次回予告の際に今のジャンケンではなく、毎週食べ物を喉に詰まらせていたわけですが、それは今の小学生、いや高校生、ん?大学生?、いや、下手したら社会人でも知らない人がいるんじゃないのか?って思って調べてみたんですけど、あれは91年までなんだそうです。俺が9歳の時にフグ田さんところの奥さんは、アクロバティックかつ喋りながら物を食べると喉に詰まるよ、ってことに気付いたんですね。と言うことは、俺の世代から3つ下くらいまでが、ギリギリ彼女が毎週性懲りもなく食べ物を喉に詰まらせていた事を後世に伝える語り部となれる最後の世代ってことでしょう。
しかしある日突然、彼女が物をアクロバティックかつ喋りながら食べることをやめて、こちらにいきなりジャンケンの勝負を挑んできた時には驚きましたよね。俺はその日の事をよく覚えてます。ウチの実家から車で30分弱のところに温泉施設があって、そこで温泉に入って夜はそこの食堂で定食を食べるのが週末の定番になっていたんですけど(俺は焼肉定食だったか、しょうが焼き定食だったかをよく食べてた気がします)、そこで彼女がジャンケンをこちらに仕掛けてきた瞬間を目撃したのです。
事件でしたよね。普段馬鹿にしてて、そしてそいつ自身も馬鹿にされていじられてるのを楽しんでたと思ってた奴が、突然カッターナイフを取り出してこちらに襲いかかってきたような、そんな驚きでは、ええ、なかったですね。すいません。「あれ〜サザエさんどうしたのかな〜?」くらいでしたね。まあ、来週にはまた喉に詰まらせてくれるんだろう、くらいに思っていた気はします。二度と詰まらせてくれなかったですけどね。だからってショックを受けたりはしませんでしたけど。俺にとってフグ田さんってその程度の女です。
ところでいきなりジャンケンに切り替わった理由はwikiを引用すると

1991年10月13日放送分までは、予告の最後にサザエがクッキーなどを投げ食いしていたところを視聴者に見つかり、慌てて隠しながら「来週もまた、見てくださいね〜」とナレーションした直後、喉に詰まらす仕草をして「んが、ん、ん」とも「んがっくっく」とも聞こえるような声を発していたが、これは実際は「詰まっちゃった」と言っている。東北大学医学部附属病院耳鼻咽頭科と国立小児病院小児科の医師が投げ食いは、子供がまねると気管をつまらせ呼吸困難になり最悪死亡する危険性があることを指摘。これを受けて長谷川町子の了解を得て変更された。制作会社のエイケンは少しでも危険があるものは放映してはいけないと判断したという

らしいんですが、本当になんでしょうかね。本当っぽいですけどね。日本人の喉に詰まらせアレルギーってありますよね。こんにゃくゼリーとかね。給食を早食いした中学生が喉に詰まらせて死んで、フードファイターが軒並み失職したりね。喉に詰まらせるものを徹底的に排除するのがこの国です。そんな中、日本の喉に詰まらせ王者は間違いなく餅なんですが、餅は既得権益ですから潰されませんよね。毎年正月にご老人が餅で他界されるケースが頻発してますけど、既得権益ですから。日本の既得権益イゴール・ボブチャンチンくらい強いですよ。そういう意味ではサザエさんのこれも完全無欠の既得権益だと思うんですが、自らその幕を下ろしたということなのでしょうか。
あとこのwikiの引用で見逃せないのは

「んが、ん、ん」とも「んがっくっく」とも聞こえるような声を発していたが、これは実際は「詰まっちゃった」と言っている。

の一文なんですが、やっぱり「つっ、まっ、ちゃった」が正解なんでしょうか?俺はずっと「んまくっく」を推しているんですが。これについては、中学生の頃に議論になったのを覚えています。「彼女はなんと言っていたのか?もしくはあの声を何と表現するのか?」についてです。当時13歳くらいでしょうから、フグ田さんところの奥さんが急にジャンケンを仕掛けはじめて4年くらい経った頃ですね。
その当時は、あれは詰まってしまって慌てて出た声にならない声だから、そもそも「彼女はなんと言っていたのか?」という議論は存在せず、あとはひたすらあの声をどんなオノマトペで表現するか、という事のみに議論の焦点はあったのです。ただ、その時に一人だけ「あれは『詰まっちゃった』だ」と力説する人間がいて、彼の存在によって根底から覆され四散した議論は、大いに荒れたのを覚えています。すなわち「どうやったら詰まっちゃったに聞こえるんだよ!」という罵声と「詰まっちゃった、なんだからそれしかねーだろ!」という2つの論のぶつかり合いです。
ここで問題だったのは、その当時既に彼女は喉に詰まらせるのを止めていたということなのです。確認をする方法がなかったのです。4年前の映像を残している人などそこにはいなかったのです。しかし今はすごいですね。探したら当然のように、やっぱりありました。

「んまっくっく」じゃねーか!!!!!!!!!!!!!!どこが「詰まっちゃった」だよ!!!!!


・・・というどうでもいい事を思い出して、どうでもいいことを書いてるのは、先日もやしが喉に詰まったからです。中国にももやしってあるんですけど、こっちのもやしって細いんですよ。それが喉にすっぽりと入ってしまったんですね。その時は同僚数人と中華料理屋で食事をしていたんですが、もやしが詰まって苦しむとか、そんなの恥ずかしすぎるじゃないですか。だからできるだけ声を押し殺して、周りに気づかれないように喉に詰まったもやしと格闘していたんですが、その時に「詰まっちゃった」なんて声を出す余裕なんてありません。例えば溺れそうになった人間は「溺れるー!」なんて言いません。んがぼごごごぐはぼっごぼご、みたいなことしか言いません。それと同じです。俺は小さな声で「こっ、こははっ、かっかっ、ごほほほ」みたいな事を言ってたと思います。
だからやっぱり彼女は「んまっくっく」なんです。間違いないです。